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米フィスカーが資金繰りに窮し「倒産寸前」だと報じられる。中国では500社あったEVメーカーが現在100社へ、アメリカでも同様に新興EVメーカーが相次ぎ破綻の可能性

米フィスカーが資金繰りに窮し「倒産寸前」だと報じられる。中国では500社あったEVメーカーが現在100社へ、アメリカでも同様に新興EVメーカーが相次ぎ破綻の可能性

Image:Fisker

| 多くの企業が「EVは容易にお金を稼げる」と考え参入したものの、実際はそんなに甘くはなかった |

あとに残るのは「修理すら受けることができないEVの山」なのかもしれない

さて、米EVスタートアップ、フィスカーが倒産の危機に瀕しているとの報道。

このフィスカーはアストンマーティンDB/ヴァンテージ、BMW Z9などのデザイナーとして知られるヘンリク・フィスカー氏が立ち上げた企業です。

ヘンリク・フィスカー氏はかなり早い時期から電動化車両に興味を持っており、およそ13-14年ほど前にも「フィスカー・カルマ」を発表していて、この際にはレオナルド・ディカプリオが購入するなどして話題となったものの、当初「EV」だと宣伝していたにもかかわらず実際にはPHEVであったり、米大手レビュー機関から「過去に例を見ないほど劣悪なクルマ」と評されたことも。

そういった経緯もあってヘンリク・フィスカー氏は「カルマ」を工場とプロジェクトごと中国系企業に売り渡し(こちらは別途”カルマ・オートモーティブ”として活動している)、心機一転出直したのが現在のEV専業メーカー「フィスカー」です。

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フィスカーのスタートは華々しいものではなかった

そこで新生フィスカーは様々なコンセプトカーを発表し、ソリッドステートバッテリーを採用する市販車第一号を発売すると息巻いていたものの、結果的にはソリッドステートバッテリーを(開発困難という理由で)諦め、第一号として発売したのはスーパースポーツではなくSUVの「オーシャン」。

こちらはなかなかに面白いデザインと機能を持っており、2023年の納車開始以降2億7300万ドルの売上を同社にもたらすものの、「駐車中に勝手に動き出す」などの重大なトラブルが相次ぎ報告され、技術系ユーチューバー、マーケス・ブラウンリー氏は「これまでレビューを担当したクルマの中では最悪だ」とコメント。

さらには米国道路交通安全局も様々な苦情を受けてこのオーシャンの調査に入っており、結果的にフィスカーは10億ドルもの負債を抱えることになったわけですね。

Fisker-Ocean (2)

そこへ来て米ウォール・ストリート・ジャーナルが「フィスカーが破産申請の可能性を検討するためにリストラアドバイザーを雇った」という報道を行ったため、これによって(破産保護申請を準備しているのではないかと見なされ)フィスカーの株価は1日で32セントから15セントへと半分以下に値下がりしてしまうことに。

なお、この株価の下落率は同社史上最大ではあるものの、すでに2020年からここまでで97%も株価が下がっており、もう下がりようがないところまで下がったと考えていいのかもしれません。

フィスカーは事態を収拾すべく緊急声明を出すことに

こういった事態を鑑み、フィスカーは深夜に声明を出していて、それによると「フィスカーは日常的にさまざまなアドバイザーと連携しており、他の自動車メーカーとのパートナーシップを最終的に締結することに引き続き重点を置いている」。

つまりアドバイザーを雇うのは”よくあること”で、会社の存続に向けて活動中であると述べたものの、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道、それに付随するウワサに対しては「ノーコメント」。

なお、ウォール・ストリート・ジャーナルは報道の中で「破産手続きの支援の一環としてFTIコンサルティングと法律事務所デイビス・ポークに強力を仰いだ」「フィスカーは、事業を継続する能力には重大な疑問がある」「米国で製造を行うために投資家から積極的に現金を募っている」「従業員を15パーセント削減する計画を持っている」といった具体的な報道を行っていますが、現在の「競争過多」「金利高」が続く状況では事業の巻き返しを行うことは難しいのかもしれません。

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現在EV市場は混乱を極めていて、まずは中国が国策としてEV製造を推奨したためにEVメーカーが多数誕生し、その結果中国内でEVが溢れかえったところへと中国国内を不況の波が襲ってEVが売れなくなってしまい「EVの墓場」が誕生することに。

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ただ、一部の中国EVメーカーは余剰となったEVを海外へと輸出することとなるのですが、これらが格安であるために日米欧の自動車メーカーが思いっきり「あおり」を食らっているというのが現状です。

ちなみに中国のEVメーカーはピーク時に500社ほど存在していたものの、現在は100社程度に減っているとされ、ものすごい速度で淘汰が進んでいることもわかりますが、それはアメリカでも同様で、ちょっと前だとローズタウン、今回のフィスカー、そしてリビアンやルシードについても苦境が報じられており、最終的にはほとんどの新興EVメーカーが消え去ってしまうのかもしれません。

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EV
中国で「ピーク時には500社もあった」EVメーカーが今では100社へ。すでに市場は雌雄が決し、テスラとBYDでEV市場の半分、上位4社で66%を占める

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そしてここで思うのは、「もしフィスカーが倒産したら、フィスカー・オーシャンを買った人はどうなるんだろうな」ということ。

アフターサービスがどこかに引き継がれるのかどうかもわからず、そしてもちろん売るときは「二束三文」となるわけですが、中国ではこういった問題が現実になっているものと思われ、「多くの人々が目新しいEVや安価なEVに飛びついたものの」、痛い目を見ることにより、結果的には実績のあるテスラに顧客が戻ってくるんじゃないかと考えています。

テスラ
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参照:MarketWatch

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