| ソリッドステートバッテリーは空飛ぶ車や自動運転同様、「見果てぬ夢」に終わるのか |
フィスカーが「ソリッドステートバッテリーを(EVに)使用することを諦めた」と正式にコメント。
理由はもちろん実用化が難しいからですが、フィスカーはソリッドステートバッテリーについて数年に渡って研究を行っており、2018年には「実用化の目処がたった」としていただけにちょっと驚きでもありますね。
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「あと10%が難しい」
フィスカーによれば、「新しい技術を開発する際、90%まで来たら”もう完成間近”と思うだろう。しかし、残りの10%は、それまでの90%よりも遥かに難しい。我々はその事実に直面し、よって”完全に”ソリッドステートバッテリーを諦めた」。
なお、「90%までは行けても、そこからの10%が難しい」のはすべてにおいて共通することで、よってぼくのモットーは「100%を目指さない」。
100%を目指すと時間と労力がかかってしまい、やり遂げた頃にはすでに時期を逸している可能性が高いためで、100%を目指すよりもまずやってみるということを重要視しています(ぼくは完璧主義者だが、完璧よりもタイミングのほうが重要だと考えているため)。
そしておそらく、フェイスブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏の「完璧を目指すより、まず終わらせろ」という明言も同様の意図だと解釈しています。
ただしEVで「90%」は許されない
ただ、自動車のように安全性が要求されるプロダクトにおいては「90%」ということは許されず、フィスカーの抱える「あと10%」が生産性にあるのか安全性にあるのか、はたまた別の問題なのかは不明ではあるものの、それがどんな理由であろうとも「90%のまま生産したり、世に送り出すことは許されない」のもまた事実。
なお、フィスカーは最近、iphoneの下請けで知られるフォックスコンと複数年の契約を結び、フォックスコンへと生産を委託することで「安価な」EVを発売する計画を明らかにしています。
これまでフィスカーは「E-MOTION」「オーシャン」のようなプレミアムクラスのEV計画を進めてきたものの、急に「普及価格帯」へと舵を切ったのには「ソリッドステートバッテリーを実用化できない」という現実を突きつけられたからなのかもしれません。
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ほかの自動車メーカー/サプライヤーはどうなる?
なお、このソリッドステートバッテリーは、現在主流のリチウムイオンバッテリーに比較して3倍のエネルギー密度を持つと言われ、軽量・コンパクト化が可能なために未来を嘱望されている技術。
この実用化を待つがためにハイブリッド/EVの発売を遅らせている自動車メーカーもあるほどで、しかしもし「どのメーカーも、そしてどのサプライヤーも」ソリッドステートバッテリーを実用化できないのであれば、各社ともEVに関する計画を見直す必要が出てきそう。※実際のところ、多くのメーカーが2020年には実用化できそうだと発表していた
現在ソリッドステートバッテリーの実用化に近いとされる自動車メーカーはポルシェ、アウディ、リマック、BMW、トヨタだとされ、サプライヤーとしてはウィリアムズも。
反面テスラはソリッドステートバッテリーについては最初から「無理」と判断しているフシもあり、むしろリチウムイオンバッテリーを追求する姿勢を見せています。
さらに言うならば、多くの自動車メーカーが”夢”見る「空飛ぶ車」についても(テスラは)荒唐無稽だと一刀両断しており、このあたり現実的な取捨選択を行う会社だということが改めて浮き彫りとなっていますね。
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参照:The Verge