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米ルシードは未だ赤字から脱出できずに手元資金を取り崩すのみ。かつてはテスラのライバルと見られていたが「高級EV」路線が災いして縮小した市場にて台数を伸ばせず

米ルシードは未だ赤字から脱出できずに手元資金を取り崩すのみ。かつてはテスラのライバルと見られていたが「高級EV」路線が災いして縮小した市場にて台数を伸ばせず

| ルシードは「存在しない」市場をターゲットとして製品を企画し主力に据えたことが「見込み違い」であったのだと思われる |

EVビジネスは「他社の後追い」では優位性を発揮できず、どこかに独自性を持っていなくてはならない

Image:Lucid Motors

さて、米にて「ポスト・テスラ」と称された新興EVメーカーのひとつ、ルシード(ルーシッド)が2024年第1四半期の決算を発表。

決算内容を要約すると、赤字幅が縮小し7億8000万ドルから6億8400万ドルへ、手元資金は13%減少して21億7000万ドルへ、一株当たりの利益(この場合、実際には損失)は予想の -0.25 セントから -0.30 セントへと減少することに。

つまりは赤字が縮小しつつも現金が減っており、収益が改善されていないことがわかりますが、この発表を受けて(これら数字がアナリストらの事前予想よりも悪かったこともあって)同社の株価は時間外取引にて3.06ドルから2.79ドルへと10%近く下落しています。

それでも「明るい光」が見えなくもない

なお、ルシードはテスラを辞したメンバーが主となって興された会社で、そのターゲットもズバリ「テスラ」。

ただしテスラの主力がモデルSであったころに設立されているという事情もあって、モデルSに対抗するためのラインアップが設立当初から計画されており、よって現在ルシードが持つのは高性能高価格な「エアー」シリーズのみとなっています。

そしてこの価格帯のEVは現在(モデルSの販売を見ても分かる通り)縮小しており、かつルシード同様にモデルSに照準をあわせたポルシェ・タイカンやメルセデス・ベンツEQS、BMW i7といった強豪がひしめいていて、正直「採算を取りにくいセグメント」。

よってルシードは「エアーを1台売るごとに」347,000ドル(現在の為替レートにて5345万円)もの損失を出している状態ですが、設立当初に「いずれは(当時はどのメーカーもテスラ・モデルSをターゲットとしていたので)その市場が過密になる」と読めなかった経営陣に判断がマズかったのかもしれません。

さらに2023年の販売台数は8,428台にとどまり、2024年の販売計画は9,000台だとされているために「販売台数増加によるマスメリットの創出、そして黒字化」を期待することは非常に難しいのですが、明るい材料としては現在のエアーの生産コストを引き下げること、そして新型SUVの”グラビティ”が投入されること。

おそらくルシードの成長は難しい

ただし具体的なエアーのコスト削減数値が示されず、かつグラビティの市場投入が(早くても)2024年後半になること、グラビティの投入を考慮しても昨年比で600台しか販売が増えないという弱気の計画が失望売りを誘ったのだと思われますが、正直なところエアー、そしてグラビティの価格帯にて「黒字化できるほどの」利益を出すことは非常に難しい(40万台ほど販売しないと利益が出ないとされるが、そんな市場は存在せず、ルシードが創出できるとも思えない)と考えています。

しかしここから(市場規模が大きい)トラックを開発したとしても、フォードやシボレー、そしてもちろんテスラやリビアンといった先行者に遅れを取っていることに変わりはなく、さらには「高級」を標榜したブランドであるだけに廉価版EVの販売も難しく(そしてこの土俵ではテスラには勝てない)、もはやルシードが生き残る道は閉ざされているのかもしれません。

一方、同じ米新興EVメーカーであっても、アクティブなSUVやトラックに特化するリビアンは「(そのデザイン性の高さもあり)独自の活動領域を切り開いたため」生き残れる可能性が高いのではないかと考えていますが、同じ新興EVメーカーで、かつ創業時期が近い(本社所在地も近い)場合であっても、そのコンセプトの相違にて明暗が大きく分かれたと考えて良いかと思います。

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