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フォードがマスタング・マッハEを123万円値下げ→販売ペースが一瞬で6倍に。やはりEVの販売を阻害していたのは価格であり、適正価格であれば「売れる」ことが証明される

2024/04/03

フォードがマスタング・マッハEを123万円値下げ→販売ペースが一瞬で6倍に。やはりEVの販売を阻害していたのは価格であり、適正価格であれば「売れる」ことが証明される

| フォードはこの事実を目の当たりにするにつけ、なんとしても安価に販売できるEVを開発せなばならないと気づいたはずである |

やはり消費者がもっとも敏感なのは「価格」だと考えていい

さて、フォードがマスタング・マッハE(マスタングのクロスオーバー型EV)の値下げを行ったところ、販売台数が一気に6倍になったとの報道。

これはフォードが「作ったはいいが、全く売れずにディーラーの敷地を専有するだけのマッハE」の2023年モデルの在庫を一掃するために81,000ドル(現在の為替レートにて約123万円)の値引き販売を行ったところ、その直後の週には(前週に比較して)販売が3倍に、そして直近の週では販売が6倍に増えたという内容です。

やはりEV普及のカギは「価格」なのか

つまり、マスタング・マッハEの販売不振の理由が「価格にあった」ということ、人々は「安ければEVを買おうと考えている」こと、実際に「EVの価格が下がれば買う人がいっぱいいる」ことが今回の件によって示されたと考えてよく、現在世界中で報じられるEVの需要減退を解消するには「価格政策」がもっとも有効であるという事実を示唆しています。

ただ、これは「言うは易し、行うは難し」の典型であり、というのも値下げ前の状況であってもフォードは「EV1台を売ると、450万円相当の赤字が出る」とコメントしているためで、よって今のマスタング・マッハEの販売価格だと573万円も赤字が出ることになり、常識的に考えるならば、現在の販売価格を継続することも、その価格で利益が出るようにすることも「不可能」のように思えるから。

マスタング・マッハE

なお、450万円相当の赤字を覚悟してでもフォードがEVを販売する理由としては、将来に備えてEV市場での一定のシェアを確保したいこと、CAFE規制による罰金を減らしたいこと、とにかく生産を開始して投資したコストを少しでも回収してゆかないといつまで経っても黒字化できないことなどがあるかと思われ、しかしEV普及に向けた障壁が「価格」であるとわかった以上、フォードとしてもなんとか販売価格を継続して引き下げるための手法を模索する必要がありそうです(フォードは値下げ後のマスタング・マッハEの動きについて、”即時的かつ劇的”とコメントしている)。

今回の在庫一掃セールはフォードに(さらなる)損失を与えることになったのは間違いなく、しかしフォードは身をもって価格の重要性を理解することになったため、これは「必要悪であった」と解釈してもいいのかもしれません。

現在、EV購入に際し「航続距離に対する不安」は取り除かれつつある

これまでEVを購入する際の(消費者の)不安や懸念は「航続距離」「価格」であるとされてきたものの、最新の調査だと(充電ステーションの拡充や、EVそのものの性能向上もあってか)航続距離に関する不安は取り除かれつつあるといい、逆にクローズアップされているのが「価格の高さ」。

消費者が「価格が安い製品を好む」のは驚くべきことではなく、しかしEVセグメントにおいては「EVの購入に最も積極的である、18歳から34歳の一部の購入者が、価格の高さのために購入をためらっている」という統計もあるそうで、これはすなわちEVが直面する困難を浮き彫りにしています。

まだまだEVの価格が「消費者が適正だと考える水準」に落ち着くには時間がかかり、そしてその水準で自動車メーカーが(EV部門単独で)利益を出せるようになるまでには長い道のりが待っていると思われるものの、ある一定の線を超えた時点でEVが「割安な選択肢」となる可能性もあり、そこからは一気に普及が進むことになるのかもしれませんね。

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参照:Autonews

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