| この結果は予想の範囲ではあるものの、それでもショッキングではある |
おそらくはいずれの自動車メーカーも同様の状況に直面しているものと思われる
さて、発表時には大きな注目を集め「長い納車待ち」が報じられたフォードF-150ライトニング(F-150のEV版)ですが、いざ発売されてみると今ひとつ売れ行きが芳しくなく、値下げを行ったことでも注目を集めたものの、しかし今回なんと「4月1日から生産台数を1/3に減らす」との報道。
F-150ライトニングはミシガン州ディアボーンにあるルージュ電気自動車センターで生産されていますが、この工場ではかつて2,100人のスタッフが3交代でEVを製造しており、しかし来月からはわずか700人の従業員が工場に残るのみとなるそうで、700人がレンジャーとブロンコを生産するミシガン組立工場へと配置転換され、残る700人は5万ドルの退職金を受け取って工場を去ることとなるもよう。
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フォードがF-150ライトニングの価格を最大で16.6%値下げ。製造原価やバッテリー調達コストが下がったことが理由だとされ、今後はほかメーカーでも値下げを期待できそう
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今のフォードにとってEVは儲かる商材ではない
なお、フォードはF-150ライトニングの生産を「年間18万台」と見込んでいたものの、冷え込んだ需要のため「55,000台に」引き下げることを決定しており、その理由はもちろん昨今報じられる「EV需要の低迷」。※ただしフォードはこれについて全面的に認めてはいないようだ
とくにF-150ライトニングの場合だと「ガソリンエンジンを搭載した兄弟車(ただしプラットフォームが同じではない)」をずっと求めやすい価格にて購入することができ、わざわざ高価な電動版を購入して電欠におびえたり充電環境の不備に嘆く必要はなく、こういった問題が販売に直接影響したものと思われます。
フォードのジョン・ローラー最高財務責任者(FFO)はバンク・オブ・アメリカ証券の自動車サミットにて、「フォードは依然としてダイナミックに行動しており、常に市場の需要に応じるために生産調整を行っている」と述べ(ここでEVに固執するとなると投資家からの批判を浴びることになる)、さらには「EVの需要が予想よりもはるかに低い」ことにも触れていますが、少し前には「EV1台の販売あたり、500万円近い損失が出ている」ことにも言及済み。
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フォード「EVの販売1台あたりの赤字はさらに大きくなっている」。そのためフォードはEV製造を縮小しEV関連投資も縮小すると発表
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そのうえ現在の販売ペースでは「いつ投資した資金を回収できるか」まったく目処が立たず、この環境においてEVへの投資と生産を続けることはビジネス的に正しい判断とはいえず、今回の生産縮小もやむなしといったところかもしれません。
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