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VWが「2025年までにテスラの販売台数を超える」と豪語。ただしボクは「そううまくは行かないだろう」と考えている

2021/09/21

VW幹部「ID.6は現時点では利益が出ていない。それは認めよう」

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多くの関係者がテスラの実力を見誤った

さて、フォルクスワーゲングループが2025年までにテスラの販売台数を超え、「世界最大のEVメーカーになる」という野心を抱いている模様。

フォルクスワーゲンは現在ID.3そしてID.4を発売しており、この後には「ID.BUZZ(ミニバン)」「ID.Aero(セダン)」の市販モデルを市場投入する計画を持っており、2030年までに70万台を販売したいと考えている、と報じられています。

ただ、この数字だとテスラを抜くのは難しいかもしれず、というのもテスラは現時点ですでに年間50万台を販売しているからですが、LMCオートモーティブのアナリストは、VWグループが2025年までにEV販売台数でTeslaを超えることは確かだという分析も公開しているようですね。

未来は誰にもわからない

なお、テスラに関する予測は「誰一人として」的中しておらず、つまりは予想のずっと上を行くのがテスラでもあり、ぼくとしては「フォルクスワーゲンがテスラを抜くのは難しいかもしれない」と考えています。

フォルクスワーゲングループにはアウディやポルシェといったブランドも含まれ、これらの販売が加算されることを考慮すればテスラを抜くことは可能かもしれませんが、現時点では不安要素も多々あり、まずは「信頼性」の問題。

ポルシェはタイカン発売当初、ソフトウエアの制御については「テスラのように、バグが出ない」と強気の姿勢を示していたものの、実際に発売されたのちに問題が見つかり、販売台数の多くをリコールするといった状況に陥っています。

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さらにはつい最近、フォルクスワーゲンID.3が発火するという事件も起きており、現在「EVを発売したばかりの」フォルクスワーゲングループにとって、待ち構えているのは「明るい話題だけではない」ということですね。

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テスラが自動車業界へと参入した際、多くの既存自動車メーカーは「まあトラブルに直面してすぐにテスラは消えるだろう。自動車業界はそんなに甘くない」と余裕を見せていたものの、実際のところテスラは様々なトラブルを乗り切って販売を伸ばしており、今度はEVにおいて「一日の長がある」テスラが既存の自動車メーカーに対して「EVはそんなに甘くない」と見おろす番なのかもしれません。

ただしフォルクスワーゲンはテスラを当初から高く評価していた

しかしながらフォルクスワーゲングループは比較的早い段階からテスラの実力を正しく評価していて、ほかメーカーが「テスラなど恐れるに足らぬ」と考えていた時期から対テスラ戦略を進めており、それが現在傘下のブランドから投入されている一連のEVということに。

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その甲斐あってかVW ID.3はテスラ・モデル3を、ポルシェ・タイカンはテスラ・モデルSの販売を侵食することに成功していますが、フォルクスワーゲングループのEVにはおそらく「外れ」が出てくることになると思われ(e-tronシリーズは余り売れていないようだ。中国ではIDも今ひとつふるわない)、しかし一方でテスラには「外れナシ」。

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この差は結構大きく、つまり外したぶんの開発コストについては大きくグループ内の負担としてのしかかることになり、さらにフォルクスワーゲンは「グレード構成が多岐にわたる」ので販売コストも比較的高いと考えて良さそう。

一方のテスラは「EVのみ」「車種が少ない」「グレードごとの変化内容も小さい」といった状況なので販売コストも低く(もともとテスラは直販体制を取るなど、コストを削っている)、そしてこれからは利益額の大きなサイバートラックや、これも利益率として悪くはないであろう「2万5000ドルの」EVが投入されることに。

テスラ・サイバートラック

つまりテスラの場合は「これからコストをペイし、利益が上積みされる」ものの、フォルクスワーゲングループの場合は「これからどんどんコストが響いてくる」ことになるわけですね。

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加えて、テスラには「アップルコンピューター並みの」ブランドバリューと信者がおり、これもテスラとフォルクスワーゲンとの圧倒的なさと言えるかもしれません。

なお、ぼくはテスラの戦略を高く評価し、「テスラの株」を買い続けているものの、テスラのクルマを買おうという気はなく、EVを購入するのであれば「アウディかポルシェ」だとも考えています(会社と製品とは別だと考えている)。

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参照:Auto News

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