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これからの自動車業界を生き抜くには舵取りが難しそうだ!調査によると多くの自動車メーカーがEV移行をスムーズにできず、VWは最大で2030年に270万台も売り逃す可能性も

2021/07/22

これからの自動車業界を生き抜くには舵取りが難しそうだ!調査によると多くの自動車メーカーがEV移行をスムーズにできず、VWは最大で2030年に270万台も売り逃す可能性も

| まだまだEVを売るには様々な準備ができていないが、ガソリン車を売っている場合でもない |

ひとつ方針を間違えば、一気に世の中に置いて行かれることになりそうだ

さて、昨今報じられる通り、多くの自動車メーカーが「ガソリン車の製造をやめる」という意思を表明していますが、そういった現実にもかかわらず、自動車メーカーは将来的な電気自動車の需要に対応できず、大きく利益を損なうだろうというレポートが登場しています。

これはCAM(Center of Automotive Management)がまとめたレポートの中に記されているもので、利益が減少する理由としては主に以下の3つ。

将来的に自動車メーカーが利益を失うであろう理由

  1. 未だガソリン車に投資を続けており、ここから急増するであろう電動車のニーズに対応できるだけの生産能力がない
  2. ガソリン車の需要は減り続け、開発費をペイできない
  3. 電動車の価格競争が厳しくなり、利益を確保できない

1.未だガソリン車を作り続けている

ここでそれぞれの内容を見てみたいと思いますが、まず「未だガソリン車を作り続けている」について。

フォルクスワーゲンやアウディは「脱ガソリン」を表明しているものの、まだまだEVの価格が高く、かつインフラの問題もあり、消費者側がすぐにEVへと切り替える準備ができていないのもまた事実。

実際のところ、これが理由でトヨタは「すぐにEVには移行しない」ともコメントしていますね。

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そして、ガソリン車を作り続けるということは、それだけEVに割くリソース(お金、生産設備、人)が少ないということになり、これは「EVしか製造していない」、そのため全力でEVを生産できるテスラに比較すると大きなビハインドだとされています。

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たとえば、フォルクスワーゲンは現在欧州でガソリンモデルが17車種あり、しかしEVは(ID.3とID.4の)2モデルのみ。

将来的にはガソリンモデル17車種に相当するだけのEVを発売しなくてはならないということですが、ガソリン車を製造しているうちはそれに対応できず、EVラインアップを増加させるペースがスローになってしまうわけですね(消費者の好みは多様化しており、多品種小ロット化が進んでいる。そして消費者は選択肢の多い方へと流れるので、ラインアップを増やさねばほかに顧客が流れる)。

なお、CAM社では複数のシナリオを用意しており、2030年の時点で、欧州では50~90%、中国では40~80%、米国では40~75%に達する可能性があるとしており、最も需要が高くなるというシナリオの場合、フォルクスワーゲンは「EVシフトが追いつかず」3つの市場で270万台の「売り逃し」があるとも。

フォルクスワーゲンID6(VW)

2.ガソリン車の需要は減り続け、開発費をペイできない

いかにガソリン車の撤退を決めたとしても、現行の製品をそのまま放置するわけにもゆかず、常に魅力を保つためにリフレッシュする必要も。

そして最近の自動車の開発費用はますます高額になり、厳しくなる規制に対応するためにはさらなる開発費をつぎ込む必要が出てくることに。

そして、ロータス・エミーラのように「発売時から、すでに寿命が決まっている」クルマが出てきたり、ランボルギーニも「あと10年くらいしか製造できないV12エンジンに開発費用を投じる」ことになりますが、この10年という短い期間では開発コストを吸収できず、これもまた自動車メーカーを苦しめるひとつの理由となりそうです。

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3.電動車の価格競争が厳しくなり、利益を確保できない

これもまた小さくはない問題で、CAM社ではバッテリー価格が1kWhあたり40ユーロから70ユーロまで上昇すると予想しており、これがEVの価格を高止まりさせ、しかしどんどん出てくる他社のEVに対抗するために市場価格を下げる必要があり、これが「1台あたりの収益を、最大で25%減少させる」と見られています。

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なお、バッテリー価格については反対の考え方を持つ自動車メーカーもあり、一定のところで「ガソリン車と逆転すると見る向きもあるようですね。

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