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テスラの5番目のニューモデル、「25,000ドルの」格安EVプロジェクト名はレッドウッド?2025年6月から生産に移されるとのウワサ

テスラ

| テスラはなんらかの手を打たねばBYDはじめ中国勢にそのシェアを奪われてしまうことに |

直近ではテスラは競合に対抗できるだけの手段を持たないものと思われる

さて、テスラが2023年第4四半期の業績について発表したことは既報のとおりですが、その発表に際してはいくつかの興味深い数字、そして内容が語られています。

まず数字の面だと、納車した台数は494,989台で、このうちの461,538台がモデル3とモデルYであったこと。

2023年通年だとテスラは1,808,581台を納車していますが、この中に占めるモデル3とモデルYは1,379,707台であり、つまり現在のテスラはこの2モデルによって支えられていると考えてよく、さらにその内訳を見るとモデルYが120万台以上を占めているといい、これは「2023年、単一車種としてはもっとも売れた」クルマとなるのだそう(モデルYは安いクルマではなく、その価格帯を考えると驚くべき偉業である)。

テスラは現在「次世代モデル」を開発中

そして今回の決算発表において言及されたのが「次世代モデルを開発中」ということ。

これはかねてより話題となっている「25,000ドルの」低価格EVを指していますが、直近では”レッドウッド”なるプロジェクト名にて開発が進められているもので、イーロン・マスクCEOは今回「テスラは現在、次世代の低コスト車両プラットフォームの開発に取り組んでおり、ギガテキサスや他のいくつかの工場で生産が開始される予定である」「世界のどの自動車製造システムよりもはるかに進んだ製造方法を取り入れている」とコメントしています。

このほか、イーロン・マスクCEOは「新型サイバートラックに関し、需要ではなく生産が問題である」と述べ、つまり受注は大量にあり、しかしその需要を満たすだけの生産能力が現時点ではないことに触れ(しかし2024年には相当数の生産が可能だと楽観視している)、2024年の全モデルトタルでの販売台数については「成長率が著しく予想を下回る可能性がある」として慎重な姿勢を見せています。

テスラ

テスラ「レッドウッド」はどんなクルマに?

今回の決算発表では「レッドウッド」に関するこれ以上の情報はなく、しかし「テスラに近い関係者」がメディアに語った内容だと2025年6月に生産を開始すると言われており、これが事実であれば、あと1年半後には路上を走ることになりそうです。

ただ、当初「25,000ドル」と言われていた価格については”実際にそうなる可能性は低く”、というのも昨今のインフレにより、最初にこの話が出た当時と比べると全く(現代の)物価水準が異なっているため。

しかしこの価格が3万ドル以上になってしまうと「38,990ドルの」モデルYとの競合が生じてしまい、この安価なEVが「世界で最も売れている」クルマであるモデルYの販売を侵食しかねないため、可能な限り両者の価格差を大きく取ることになりそうです(そうでないとBYDにも対抗できない)。

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しかしながらテスラとしては、将来的にテスラの販売の中心が(モデルS/Xからモデル3/Yに移ったように)この安価なレッドウッドに移行することを考慮に入れているはずで、実際にテスラはマスタープランにおいても「最初は富裕層に対して高価で利幅の大きなEVを販売し、そこで得た資金を使用して普及価格帯の安価なEVを作り世界中にて大量に販売する」ことを掲げており、そして仮にレッドウッドがモデルYの販売を侵食したとしても「むしろ儲かる」だけの製造面における根本的な改革を行ってくるのかもしれません。

もちろんテスラの障壁となっているのは中国のライバルたちで、これらは中国政府から支給される補助金を武器に車両価格を安価に設定していると言われますが、現在「EV市場の成長鈍化」は中国市場でも見られるといい、中国政府がさらにEVの普及を目指して補助金を追加投入するのか、それとも戦略を変更して補助金を引き下げるのかという判断によっても今後の状況が大きく変わってくるものと思われ、EVほど「自身でコントロールできる要因が小さい」不安定な自動車関連ビジネスはないのでは、と思うこともあります。

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参照:Tesla

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