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グリーンピースが「トヨタは自動車メーカー中、もっとも環境保護に真剣ではない」と結論づける。なおワースト2 / 3にはホンダ / 日産が入り、日本勢にとって悪夢のような結果に

トヨタ

| やはり日本は様々な意味でガラパゴス化しており、国際化とは程遠いのかもしれない |

日本企業の価値も下がり、ここまでの円安になったことも頷ける

さて、グリーンピースが「自動車環境ガイド2022」を発表し、その中でトヨタがもっとも「環境のために努力していない」自動車メーカーとしてランク付けされることに。

ちなみにワースト2はホンダ、ワースト3は日産となっていて、日本の自動車メーカーにとっては著しく不名誉な結果となっています。

今回の調査については、世界における主要自動車メーカー10社において、環境スコアカードという基準を用い、どの程度の成果を上げているかを判断するために、内燃機関の段階的廃止、サプライチェーンの脱炭素化、資源の削減と効率化という3つの柱に注目した調査を行っています。

「脱炭素化」は様々な要素を加味

なお、今回の調査を見てみると(英文が60ページもあり、全部読むと日が暮れそうだ)、まず脱炭素化への貢献度についてはこういった順位となっています。

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内容を見てみると、フォルクスワーゲンは、2021年にゼロエミッション車(ZEV)の販売台数が多かったものの、ICE車(ガソリンやディーゼルなど内燃機関搭載車)の段階的廃止を十分かつ積極的に計画しておらず、サプライチェーンの脱炭素化を十分かつ効果的に進めていないとして減点されています(昨年からポジションをひとつ下げている)。

つまりは、いかに「ID」ブランドにて電気自動車の販売を進めようとも、ブガッティやランボルギーニなど大排気量ガソリンエンジンを積むブランドを有しており、それらが響いた可能性もありそうです。

そう考えると、新しいフォルクスワーゲンCEOがポルシェCEOと兼任するようになった今、ポルシェもフォルクスワーゲンの意向に従い、さらに電動化を加速させることも考えられます(ポルシェの独立性が失われる、と常々言われている)。

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VW新CEOが「電動化を加速」と演説にて強調。ただし新CEOはポルシェCEOと兼任しており、ポルシェでは「内燃機関存続」としている矛盾を指摘される
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さらにGMはZEV販売において中国への依存度が高すぎると非難されており(それでも昨年と同じ1位ではある)GMとメルセデスは、「ZEVの販売台数は、道路交通の脱炭素化に必要な台数からは程遠い」という評価。

つまりは単にEVの販売台数のみではなく、販売する地域、そして全体に占める販売台数などを総合的に見ているということになりますが、トヨタと日産のZEV販売が昨年失速したこと、両社とも世界全体の傾向よりも遅いペースでしかZEVへの移行が進んでいないこと、ホンダとトヨタがサプライチェーンの脱炭素化において他の企業よりも著しく遅れていることも特記事項として挙げられています。

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そのほか、トヨタの政治的なロビー活動への取り組みも記されており、投資家の後押しにもかかわらずトヨタはZEVへの以降に熱心ではなく、さらに気候政策への関与意識が高くなく、2022年6月に日本政府に対し今後の経済政策においてハイブリッド車がZEVと同等にカウントされるよう手当をするよう働きかけたことがマイナスに(多くの国ではもはやハイブリッドはエコではなく、PHEVもしくはピュアEVしかエコカーとは認識されていない。しかしトヨタのメインはハイブリッドなので、トヨタはハイブリッドカーもエコだと認めるように働きかけている)。

資料の最後では、気候への影響を緩和するために業界がすべきこととして、グリーンピースは5つの提言を行っていて、それは「ICE車の段階的廃止を加速すること」、「再生可能エネルギーの充電と資源削減を促進すること」、「鉄鋼の脱炭素化を早急に進めること」、「工場や世界中の労働者の公正な雇用を維持する公正な移行を確保すること」、そして「自家用車保有率を低下させること」。

いずれも自動車メーカーにとってはハードルの高い項目ばかり(とくに最後は会社の存続目的と相反する)ですが、グリーンピースは「ICE車の段階的廃止と経済活性化の名の下に、自動車市場が拡大することの危険性に注意すべきである」とも述べており、「最終的に、真のゼロ・カーボン・モビリティの未来には、自家用車の数を大幅に減らし、より効率的な公共交通システム、カーシェアリング、徒歩や自転車のためのスペースを作るための都市の再設計が必要なのです」とも。

つまりグリーンピースの結論としては「個人でクルマを持つな」ということですね。

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参照:Greenpeace

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