| 一見してノーマルと差異がないように見えるが、KAMM ポルシェ912Cのボディはカーボン製 |
ホイールも高品質なセンターロックへと変更済み
さて、とにかくものすごい勢いで盛り上がっているポルシェ911のレストモッド。
もとはというとシンガー・ヴィークル・デザインが先鞭をつけたカテゴリですが、シンガーが開いたドアからどっとフォロワーがなだれ込んでおり、しかしいずれも独自の個性、そして武器をもって勝負しているもよう。
なかには圧倒的なパワー、もしくは軽量性、コンセプトカーのようなルックスなど様々なユニークさを持つものも存在しますが、今回紹介するハンガリーのKAMM マニュファクチュールはポルシェ911ではなく(その廉価バージョンとして販売された)912をベースとする新しいレストモッドを行うことで差別化を行っているようですね。
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ポルシェ912の武器の一つは「軽量性」
ポルシェ912は1965年から1969年にかけて製造され(1970年代半ばに912Eとして一時復活)、911のボディシェルと旧356の4気筒エンジンを組み合わせたモデル。
当時ポルシェは911を「高級車セグメント」へと押し上げたため、912は356の消滅によって生じたギャップを埋めることに貢献し、911のルックスはそのままに、しかし最高出力は90ps、時速100km/hまでの加速は12秒といった感じでパフォーマンスが「控えめな数字」となっています。
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ただし912は「911の廉価版」といえど軽量性という(911にはない)武器を持っており、その主な要因はフラット6ではなくフラット4を積んでいたこと。
そのため911ほどリアヘビーではなく、しかもエンジン搭載位置もやや後ろにずらされていたためにバランスが良く、そのため912を好むファンも存在するほどです。
もちろんKAMMが912を選んだのも同じ理由からであり、よってレストモッドにおいては「軽さ」「バランス」が重視されています。
KAMM製ポルシェ912レストモッド「912C」はこんなクルマ
KAMMの手掛けるポルシェ912のレストモッドは「912C」と命名されており、カーボンファイバーをボディパネルやエンジン周辺パーツに使用することでさらなる軽量化を達成したとされ(車体重量は公表されていない)、当然ながら搭載されるエンジンはフラット4。
ただしこのエンジンはスイスのJPSエアクールド社によって製造された2リッター・フラット(ボクサー)4で、その出力はもともとの912の倍以上となる170馬力。
トランスミッションは5速ドッグレッグ、さらにはZF製リミテッドスリップディファレンシャルが組み合わされ、サスペンションはカスタムメイドのコイルオーバー、さらにはアジャスタブルサスペンションアーム、カスタムダンパー、アンチロールバー、ベンチレーテッドブレーキディスク、フロントには964用ブレーキキャリパー、3ピースセンターロックホイール、ハイグリップなヨコハマAD08RSタイヤなどが組み込まれています。
見た目こそはかなりレトロではあるものの、エンジンルームやホイールを見ると、このクルマが非常に高い品質、そして溢れんばかりの情熱をもって製造されたことがわかろうというものですが、ボディやウインドウモールなども優れた技術を持って仕上げられているようですね。
今回KAMMはインテリアの画像を公開しておらず、しかしKAMM製カーボンシートとカーボントリム、電動エアコン、軽量カーペット、ティルトン製ペダルボックスが装備されるといい、軽量性や日常性、操作性を高いレベルでバランスさせているであろうことも推測可能。
このポルシェ912Cの製造は2023年から開始されるとアナウンスされていて、KAMMではすでに保証金とともに受注を受け付けていますが、注文する際には自身で改造用のドナー車(912)を提供するか、完成車を購入するかを選択することができる、とのこと。
なお、これだけの手間をかけたクルマだけあって安かろうはずはなく、その価格は32万5000ユーロ(約4660万円)に設定されており、こういった価格設定でもおそらくは人気化するのは間違いなく、これが「ポルシェのレストアが儲かる」理由なのかもしれません。
この912Cがもたらすドライビングエクスペリエンスとビルドクオリティを考慮すれば、この価格はじゅうぶんに正当化できるものと思われますが、こぞって購入に走るのはまず「生粋の912ファン」なのかもしれませんね。
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