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いったいなぜ?中国の自動車市場では今もなおセダンが主役、SUV時代でも「ステータス」として生き残る4ドア車

中国車

| それでも中国よりも多くのセダンを販売する国は少なくない |

世界を動かす中国市場、セダンはいまだ健在

SUVがグローバルなトレンドとなって久しいものの、中国ではセダンがいまだに「ステータスシンボル」として確固たる地位を築いています。

電動化、自動運転、AIなど最先端技術において先行する中国ですが、伝統的な4ドアセダンの人気は衰えておらず、米国や欧州などで”新しいボディ形状”であるSUVがセダンを押しのけていく一方、中国ではその逆の状態が起きているわけですね。

そして中国は日米欧の自動車メーカーにとっても「最大市場のひとつ」であり、そこでセダンが売れているという事実がセダンを生きながらえさせていると言ってよく、もし中国市場でセダンの人気がなければ、今頃はどの自動車メーカーもセダンを作らず、世界からセダンが消えていたかのもしれません。※実際、メルセデス・ベンツSクラスがもっとも売れる国は中国だとも言われている

世界のセダン販売の半数を中国が占める

今回Motor1が公開した2024年の世界のセダン販売データによれば、中国(香港・台湾を含む)は7.89百万台(前年比+1%)を販売し、世界全体の50%以上を占めており、これは”極めて異例”な数字です。

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中国市場では、セダンは「成功や富の象徴」として根強い人気があるといい、欧米の多くの自動車メーカーがセダンの開発・生産から撤退していく中においても「中国内で売れるから」中国の自動車メーカーはその生産を継続しているわけですね(シャオミがEV参入第一弾としてセダンを選んだことからもセダンの人気がわかる)。

なお、中国でセダンの人気が高いのは、「国家のトップが乗るクルマがセダンであった」からという説があり、さらには「大きく威厳のある車が好まれるのでコンパクトカーの人気がない」「商用車を連想させるのでミニバンの人気がない」とも。

実際のところ、「大きく無駄」なクルマこそが富の象徴だと捉えられる向きもあり、よってSUVでも「クーペ風」のスタイルが好まれることも報じられています。

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セダン販売台数の多い国トップ10(2024年)

そこでセダンの販売比率が高い国は以下の通り。

中国は全販売の3分の1がセダンであり、中国よりも「もっと多く」のセダンを販売する国も存在するものの、中国の自動車市場は「全体の規模が大きいため」結果的に「数量ベースだと」中国が”もっとも多くのセダンを販売する国”となっています。

国名自動車販売に占めるセダン比率
アルジェリア60%
エジプト47%
サウジアラビア46%
イラン46%
アゼルバイジャン41%
マレーシア36%
バーレーン33%
中国33%
タジキスタン33%
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トヨタがセダン市場で首位、しかし中国メーカーの躍進が鮮明に

メーカー別の「セダンの販売」では2024年もトヨタが1位を維持。

カムリやカローラなどが引き続き高い人気を誇りますが、同社のSUVラインアップの拡大によりセダンの販売は前年比7%減少した、とのこと。

その一方で、中国ブランドは大きな成長を見せています。

  • BYD:151万台(前年比+78%)を販売し2位に浮上
  • 吉利(Geely):528,000台(+36%)で7位
  • 長安汽車(Changan):236,000台(+19%)
  • 奇瑞(Chery):213,000台(+60%)

2024年 セダン販売台数ランキング(ブランド別)

ブランド台数
トヨタ1.75百万台
BYD1.51百万台
フォルクスワーゲン1.33百万台
日産974,000台
ホンダ938,000台
現代862,000台
メルセデス691,000台
BMW587,000台
テスラ560,000台
吉利(Geely)528,000台
シボレー514,000台
起亜474,000台
アウディ461,000台
IKCO(イラン・ホドロ)295,000台
紅旗(Hongqi)251,000台
レクサス247,000台
長安汽車236,000台
スズキ223,000台
奇瑞(Chery)213,000台
Saipa(イラン)174,000台
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まとめ:中国でセダンは「時代遅れ」ではない

中国においてセダンは単なる移動手段ではなく、社会的地位や成功を象徴する存在であるとも考えられ、この市場がセダンの命運を握っていると言っても過言ではなく、中国の嗜好は今後もグローバル市場に強い影響を与え続けることとなりそうです。

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参照:Motor1

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