Image:Gordon Murray Automotive
| 現時点で詳細はまったくわからないが、「軽量な車体とコンパクトなハイブリッドシステム」が核となりそうだ |
加えてこれまでの例から見ると「他社にも供給が可能な」汎用性の高いコンポーネントとなるもよう
さて、マクラーレンF1の設計者、ゴードン・マレーは自身の自動車メーカー、GMA(ゴードン・マレー・オートモーティブ)を通じてT.50、T.33といったハイパーカーを世に送り出していますが、少し前には「遅かれ早かれ、自動車業界ではすべてのクルマをEVにせざるを得ない」と発言し、GMAでもEVに関する研究を行っていたことが報じられています。
ただし直近では「EV計画を破棄し、V12エンジンを搭載するハイパーカー以外作らない」としてEV部門を売却したことも明らかになり、その明確な方向転換が話題になったばかりでもありますね。
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ただしゴードン・マレーは「一定の」電動化を行うもよう
しかしながら「V12で行く」とはいっても「V12エンジンのみで行く」という意味ではないようで、というのも今回英国政府が非営利団体のアドバンスト・プロパルジョン・センターを通じ、ゴードン・マレー・グループに対し新たに8,800万ポンド(1億1,630万ドル)のイノベーション基金の一部を授与したため。
そしてこの基金は、「クラス最高の未来の自動車のポートフォリオ」を支える「量産可能な超軽量、低CO2のモノコック構造」の開発資金に充てられるそうですが、ゴードン・マレー・グループが受け取る「基金の一部」は1/4つまり2200万ポンドであり、同グループはこの資金をインホイールEV用モーターメーカーのプロティアン・エレクトリックと共有するということも報じられています。
さらに「量産可能な超軽量、低CO2のモノコック構造」については”M-LightEn”と呼ばれており、しかしこれは「EV専用ではない」とも報じられているので、「ガソリンエンジンの搭載も可能であり、しかしインホイールモーターを使用した電動化を行うかもしれないということを示唆しています。
参考までに、ゴードン・マレーは数年前、ヤマハと共同して「手頃な価格の4輪スポーツカー」の開発を行っていて、この時の核となっていたのが「スチールパイプをカーボンファイバーでサンドイッチする、iStreamと呼ばれる量産可能な」モノコック(下の画像)で、今回報じられる”M-LightEn”となんらかの関係があることも想像可能。
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もう一つ参考までに、このiStreamはヤマハが発売を計画していたスポーツカーにも採用される予定ではあったものの、ヤマハ経営陣の交代によって「ヤマハは金輪際4輪を開発しない」という方針を採用し、ヤマハ側、そしてゴードン・マレー側それぞれによる新型スポーツカー(T.43と命名されるはずであった)はお蔵入りとなったわけですね。
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ゴードン・マレー・オートモーティブの新型車は2028年までには受注を開始
ゴードン・マレー・オートモーティブは現在全てのT.50とT.33を完売させていて、これを2027-2028年までかけて生産を行うとしており、よって次の(新型車の)受注スペースが開放されるのもまた2027-2028年だと言われます。
よってこの頃には新型車が発表されることになるかと思われますが、ゴードン・マレー・オートモーティブCEO、フィリップ・リー氏は「大型バッテリーや直列または並列ハイブリッド化による従来の方法ではなく、新しいハイブリッドを実現する巧妙な方法」を開発すると述べ、同社は「小規模シリーズおよび少量生産メーカーが完全電動化を強いられるのを防ぐ」ための活動を継続するとも。
つまりゴードン・マレー・オートモーティブは、今回の資金によって「軽量なモノコックシャシー」を開発して車体の重量を低減し、そして「インホイールモーター」によって汎用性の高いハイブリッドシステムを構築するということも考えられ、今後の発表に期待がかかるところでもありますね。
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