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今までマクラーレンを誤解していた。新しい考え方を持つ最新コンセプト「GT by MSO」はどういったクルマなのかを見てみよう

2019/08/15

| マクラーレンはダテに同じようなクルマばかりを作っていたわけではないようだ |

マクラーレンが「GT by MSO」をペブルビーチにて公開する、と発表。
「GT」はマクラーレンの最新モデルで、その名”GT=グランドツーリング”が示すとおり、サーキットよりも長距離を快適に移動することに主眼をおいたクルマ。※MSO=マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ。マクラーレンのカスタムカー制作を手掛ける部門

マクラーレンは一貫して「SUVはない。スポーツカーのみに集中する」としており、プラットフォームやエンジン、トランスミッションについても基本的に全ラインアップ共通。

つまり「同じようなクルマばかり作る」メーカーであり、ぼくは常常「もっと違うクルマを作ればいいのにな」と考えていたわけですね。

そこでマクラーレンが出してきたのがこの「GT」。
マクラーレンいわく、570GTを発売した際、「スポーツカーに快適性や積載性を求める層がいることがわかった」ことがGT発売の契機だとしているものの、そのGTも、どう見ても「代わり映えしない、いつものマクラーレン」。

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ただ、今回のGT by MSOを見るに、明らかに「これまでのマクラーレンとは違う」ということがわかるものとなっており、今更ながら「マクラーレンがGTで実現したかったのはこれなんだな」とようやく気づくことに(正直スマンカッタ)。

マクラーレンは「同じ材料から、違うものを作り上げる」手法を身につけた

そんなマクラーレンGT by MSOですが、いたずらに異なるレイアウト、異なるセグメントへと進出せず、「似たようなクルマ」ばかりだけを作ってきたマクラーレンだけに、「似たようなクルマの中で、どうやって差別化するか」を昇華させたような一台に仕上がっています。

どうやって「これまでのマクラーレンとは異なるクルマ」を作り上げたのかを見てみましょう。

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まず、ボディカラーはマクラーレンMSOのオリジナルカラー、「フラックス・シルバー」。
ドアスカート、フロントスプリッター、ドアミラー、リアバンパー/ディフューザーに採用されるのは光沢・色調ともにコントラストをなす「サテン・グラファイト」。

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そしてブレーキキャリパーもサテングラファイト(サテン仕上げではない)、さらには「MSOブライトパック」も装着。
このMSOブライトパックには、クローム仕上げのウインドウサラウンド、ポリッシュチタン製のエキゾーストパイプ(しかも凝ったカッティングが施される)、グロスブラック仕上げのダイヤモンドカットホイールが含まれます。

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マクラーレンは軽量性そしてシンプルを追求し、走行性能に直結する部分以外にはコストをかけてこなかったメーカーですが、そのためこういった「クローム」「ポリッシュ」というのは今までに見られなかったフィニッシュでもありますね。

GT by MSOの特徴はそのインテリアにある

そして外装もさることながら、内装にも「新しい手法」が用いられるのがGT by MSO。

マクラーレンいわく、「このクラスで最もエレガントで洗練され、快適で実用性に優れる」と主張。
ここで内装をチェックしたいと思いますが、まず「キー」はこんな感じでボディカラー同色。
これまでの他車種に使用されていたキーとよく似ているものの、ちょっと形状やボタンの配列が異なるようにも思えます。

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内装全景はこんな感じ。
ジオフォーム・ステッチと題された、幾何学模様っぽいステッチが目を引きます。
こういったステッチは、最近のBMWやレクサスにも見られるもので、「何かが他とは違う」という印象を受けますね。

ちなみにマクラーレンの場合は、大英博物館の屋根に用いられる幾何学(ジオメトリック)模様にインスパイアされている、とのこと。

ルーフのガラスは、電気的にその濃さを変更できる「エレクトロクロミック」ルーフが採用されています。

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このパターンが採用されるのはシートの他、サンバイザー、ドアインナーパネル、アームレスト。
なお、このジオフォームステッチが用いられる部分のカラーは「フラックスホワイト」、その他部分は「サテングラファイトレザー」。

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そして「MSO」の証でもあるロゴプレートも装着(これまでのMSOプレートとは異なり、MSOの文字が小さく、そしてモデル名が大きく)。
シガーソケットも装備されていますね。
そのほか、このMSOロゴはシートのヘッドレスト等にも再現されています。

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そしてセンターコンソールやダッシュボードには「これまで通り」カーボンファイバーが用いられるものの、その周辺やパドル、ステアリングホイールには「これまでとは異なる」シルバーの加飾が付与されます。
これも「機能最優先」であった、これまでのマクラーレンとは異なる部分ですね。

かつ、こういった装備や、遮音・制振のためにマクラーレンGTは720Sよりも200キロ以上重くなっており(1530kg)、これもまた「マクラーレンの新しい一面」。

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そしてもっとも驚かされるのがこの「アンビエント照明」。
これも「ほかのマクラーレン」では「いらん!そんなものはいらん!」ということになっていたかと思いますが、GTとはいえど、まさかマクラーレンにこういった装備が追加されるとは、という思いです。

全体的にはこんな感じ。
ドア以外にもアンビエント照明が仕込まれ、ドアパネルと同様の意匠を持つ照明が助手席ダッシュボード側にも見られますね。

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このマクラーレンGT by MSOのパワートレインは、ベースとなる通常のGTと変わらず、4リッターV8ツインターボ、620馬力。
トランスミッションは7速デュアルクラッチ、駆動輪は後輪のみ。
0−100キロ加速3.2秒を誇ります。


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