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どうしてこんなことに・・・。破竹の勢いだったマクラーレンが一転して窮状に陥り、債権者に訴えられたとの報道

2020/06/25

| 投資を回収できないうちにコロナウイルスに襲われたようだ |

さて、資金難そして従業員の解雇、コレクションの売却など苦難が伝えられるマクラーレン。

以前は1200人規模の解雇が報じられていますが、ちょっと前にはマクラーレンF1チームがその株式売却を検討している、ともスカイニュース経由で報じられていますね。

そして今回出てきた話が、「マクラーレンが債権者に訴えられている」という穏やかではない話。

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マクラーレンは名門中の名門だが

マクラーレン(F1チーム)は1963年に設立され、全チーム中ではフェラーリに次ぐ歴史を持ち、かつてはアラン・プロストやアイルトン・セナを擁した名門中の名門。

ドライバーズタイトルについてもやはり全F1チーム中「2番めに多い」という由緒あるチームですが、2008年以降はタイトル争いから遠ざかっており、分配される資金も減少する一方、コストばかりが嵩むチームになってしまった、とも言われます。

そして実際のところF1経由で得られる利益はマクラーレングループの12.5%に過ぎず、83.9%は市販車販売によって得られているそうですが、頼みの綱の市販車販売は2020年の第1四半期には307台と振るわず、これは前年同期比の953台に比較すると1/3以下。

今よりも「後」のほうが恐ろしい

そうなると当然ながら資金不足に陥るわけですが、もっと恐ろしいのは「今後」。

およそ5週間に渡って工場を閉鎖していたために車両を生産できておらず、かつ未だ閉まっているディーラーもあり、クルマを売れない状況が続きます。

もちろんF1も開催されていないので収入も無く、第2四半期は「第1四半期よりもさらに悪くなる」のは明白であり、マクラーレンはさらなる苦境に立たされることになりそう。

もちろんマクラーレンはそういった「来たるべき悪夢」に備えて手元に現金を残そうとしており、サプライヤーに対する支払いを遅らせることでキャッシュフローを改善しようとしているそうですが(月末までに請求書を送ったサプライヤーに対して60日後に支払う)、一部サプライヤーはこれを不服としてマクラーレンを訴えるという行動に出ているようですね。

つい昨年末までは「販売が非常に好調」と伝えられており、破竹の勢いで成長してランボルギーニを抜こうかという状況にあったマクラーレンではあるものの、一気に状況が変わってしまったのはまさに青天の霹靂。

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積極政策が裏目に

マクラーレンは市販車ビジネスに関しては「新参者」で、しかしそのビハインドをはねのけるべくプラットフォームやエンジン、トランスミッションを絞ることで効率性を追求しているものの、本社社屋やカーボンファイバー製造工場など大きな投資も行っており、想像するに、これらの投資に対する返済が現在の状況をさらに悪化させているのかも。

ただ、投資を行わなければ先行するメーカーに対抗はできず、マクラーレンに「投資しない」という選択肢が無かったことも明らかで、もしコロナウイルスの影響がなければ「非常に成功したスーパーカーメーカー」としてマクラーレンが名を残したということも容易に想像できます。

そう考えると、「昔から」のスーパーカーメーカーは、一部設備が古くとも、それらを償却していることで固定費がかからず「経済後退に対する耐性がある」とも考えられ、今回ばかりは(予想外の事態でどうしようもありませんが)マクラーレンの積極性が裏目に出たということになりそうですね。

参照:Forbs

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