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ロールスロイスは2019年に25%成長し「116年の歴史で過去最高の販売を記録」。なぜロールスロイスはここまで富裕層に支持されるのか

2020/01/09

| ロールスロイスは、意外やマーケティングに長けた会社だ |

ロールスロイスが「2019年の販売は、前年比で25%伸びて5,152台になった」と発表。
なお、この数字は116年の歴史を通じて「過去最高」だそうで、この伸びは主に(ロールスロイス初のSUV)カリナンによってもたらされたもの。
ただしロールイスロイスはファントム、ゴースト、レイス、ドーンの需要も強いと語っており、全体的に販売が「伸びた」ということになりそうです。※BMWグループは車種ごとの販売データを公表しない傾向にあるので、モデルごとの数字はわからない

もっとも売れたのは北米、そして次は中国

ロールスロイスCEO、トルステン・ミュラー・エトベッシュ氏によると「2019年の成長はカリナンによってもたらされ、これは2020年にも安定をもたらすだろう」とのこと。
加えてこの成功はクルマだけではなく、顧客の忠誠心や情熱、クルマをつくるロールスロイスのグッドウッド工場の人々、それに関わるスタッフ、そして世界中のディーラーによって達成されたとも述べています。

なお、ロールスロイスのディーラーは現在世界中で135、そして50もの国にわたり、その中でも最大の販売規模を誇るのは「北米」。
その後に中国、欧州と続くそうですが、2019年に販売記録を更新したのはロシア、カタール、シンガポール、日本、韓国、オーストラリアといった国々だそう。

ただ今ロールスロイスは絶好調

ロールスロイスは創業116周年を迎えるという古い歴史を持つものの、それまでには幾度かの経営危機を経ており、現在(1998年から)はBMWグループに所属。
BMWグループに入ってからのロールスロイスは好調そのものですが、それは主にBMWによる資金援助やプロモーション展開によってもたらされた、というコメントも発せられています。

ロールスロイスCEO「BMWがいなければ我々は死んでいただろう。その援助がなければどこにも行けず、未来を見いだせなかったはずだ」

ただ、いかに資金援助や認知度を向上させる活動があったとしても「いいクルマでないと売れない」のが現代であり、つまりロールスロイスは本当にいいクルマをつくり、それが正しく理解されることで販売を伸ばしているということになりそうです。

実際のところロールスロイス自身も、自社のクルマをして「人類が作りうる、もっとも優れたクルマ」だと表現していますが、数々の高級車を乗り継いできた富裕層の支持がもっとも厚いということを考えると、これはうぬぼれではなく”単なる事実”だと言えそうですね。

なお、ロールスロイスがここまで伸びたのは「品質」に加えて「デザイン」が大きかったとぼくは推測していて、つまり「そびえ立つパルテノン(神殿をモチーフにした)グリル」のインパクトが強かったからだと考えており、どんどんスマートになってゆくメルセデス・ベンツやBMWのサルーンとは全く異なる魅力を(ロールスロイスが)放っているからだろう、と認識しています。

ただ、それはぼくの想像の範囲に留まっているわけでは無いようで、実際にロールスロイスの親会社であるBMWはロールスロイスの成功に倣ってキドニーグリルをどんどん巨大化させるという行動に出ており、BMWいわく「高級車には大きなグリルが必要」。
つまり高級車を求める人々は「見た目でわかる高級さ」を求めていて、その高級さを象徴するのが大きなグリルということになるのかもしれません(これはトヨタ・アルファードやヴェルファイアを見ていても納得はできる)。

そしてこういった「巨大グリル」を求める人々は比較的若くアグレッシブな性質を持つことが多いようで、その性質をうまく刺激する「ブラックバッジ」も大人気。

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さらに、ロールスロイスは「富裕層は自分の好みに合わせたものを持ちたがる」ことを理解しているので、車両注文時に選択できる範囲を拡大し、つまりは「オーダーメイド」によるカスタム範囲も拡大。
これによって「自分だけしか持っていない」「世界に一台」という所有する満足感を演出することに成功し、既製品に飽き足らない富裕層がこぞって選ぶ「ラグジュアリーアイテム」になったのでしょうね。

ロールスロイス「カリナンを購入する顧客の100%がオーダーメイドだ。ファントムは99%がカスタムされ、我が社全体での1台あたり販売価格は4500万円を超える」

そしてロールスロイスは顧客に対して様々な「極上体験」を提供するためにファンやオーナーが離れにくく、多くのオーナーが「複数のロールスロイスを購入する」という状況まで作り出しています。

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つまりロールスロイスの成功は、「いいものを作る」だけではなく、「”顧客が求める”いいものを作る」ことに加え、「ロールスロイスのある生活がいかに上質であるかを知らしめる」というところにありそうです(天上天下唯我独尊に見えて、けっこう細やかなマーケティングを行っている)。

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VIA:Rolls-Royce

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