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アウディTT雑感。以前に乗っていたポルシェ981ボクスターと比較してどうなの?

2017/09/27

ポルシェ981ボクスターとアウディTT(8J)とを実際に所有した経験から両者を比較。ポルシェ、そしてアウディの考える「スポーツカー」とは?

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さて、アウディTTに乗っておよそ二ヶ月。
ほぼ毎日乗っていますが、同様に毎日乗っていたポルシェ981ボクスターとの比較について触れてみたいと思います。
駆動方式やエンジン、オープン/クローズといった違いはあるものの、直近でぼくが乗ってきた車の中ではもっとも比較対象として両者は「近い」のかもしれません。

数字で見るポルシェ981ボクスターとアウディTT

まずは両車のスペックを見てみましょう。

アウディTT 2.0TFSI quattro
発売:2015/8
価格:589万円
駆動方式:4WD(フロントエンジン)
トランスミッション:6速デュアルクラッチ
ボディサイズ:全長4180/全幅1830/全高1380ミリ
重量:1370キロ
乗員:4名
エンジン:直列4気筒 1984cc
出力:230馬力
0-100キロ加速:5.3秒
燃費:14.7km/L
最小回転半径:4.9m
ポルシェ981ボクスター
発売:2014/4
価格:661万円
駆動方式:2WD(ミドシップ)
トランスミッション:7速デュアルクラッチ
ボディサイズ:全長4374/全幅1801/全高1282ミリ
重量:1340キロ
乗員:2名
エンジン:水平対向6気筒 2706cc
出力:265馬力
0-100キロ加速:5.7秒
燃費:12.0km/L
最小回転半径:4.9m

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価格については両車大きく変わりませんが、TTのほうがLEDヘッドライト装着であったり、メンテナンスパッケージが付属したり、と「中身を考慮すると」相当に安い内容。
ポルシェ981ボクスターは「そのまま」だとヘッドライトがハロゲンで、オプションでキセノンを入れると40万円近い金額が必要となるなど、乗り出しがかなり高くなる車ですね(718では装備が充実しているものの、そのぶん価格も上昇)。

サイズについても大きく変わるものではないのですが、ボクスターのほうが「10センチも低い」のには驚かされます。
たしかにTTだと駐車場の発券機からチケットを取るのに苦労しませんが、ボクスターだと「発券位置よりも車のほうがかなり低く」、これには毎回手間取った記憶も。

大きく変わるのはエンジンで、TTは「ターボ」、ボクスターは「NA」。
くわえて駆動方式も「4WD」「2WD」という差異があり、そのためTTは230馬力、ボクスターは265馬力であるのに、0-100キロ加速は5.3秒(TT)/5.7秒(981ボクスター)と逆転しています。
これはやはりターボによるトルクの大きさ、そして4WDによるトラクションが「ミドシップ」の利点を上回っている、と考えられます(トランスミッション的にはボクスターのほうが7速で、かつ最高速重視のギア比でもなく、加速に有利と思われる)。

燃費についてはTTがリッター14.7キロ、ボクスターはリッター12キロ。
排気量が小さいためにTTは自動車税が安く、しかも加速に優れ、燃費もいい、ということになりますね。

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ここまでが「数字」という目に見える部分ですが、ここからは「ドライブフィール」「満足感」など、目に見えない感覚的な部分について触れてみたいと思います。

「感覚」でポルシェ981ボクスターとアウディTTとを比較してみた

まず、加速感については圧倒的に(数字通り)アウディTTが優れ、これは疑いようのない事実ですね。
コーナリング性能についてもTTのほうがクワトロシステム採用だけに安定感に優れ、安心感も高いと感じます。

ただ、これは「通常走行」での話であり、ちょっと車に鞭を入れるような「スポーツ走行」になると圧倒的にボクスターのほうが楽しい車に変化。
エンジン回転数を一定以上に保っての走行であれば、排気量がより大きな自然吸気エンジンを持つボクスターのほうがパンチに優れ、再加速においても(ターボラグがなく)即時性に優れます。
旋回についても「リアタイヤの駆動力で車の向きを変える」のはTTにはできない芸当で、オーバースピードでカーブに突っ込んでしまったとき、TTだと「アンダーを許容するよりもほかない」のですが、ボクスターだと意図的にオーバーステアに持ち込むことも可能。

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足回りの接地性についてもボクスターのほうが限界域においては分があり、ボクスターはメカニカルグリップに優れ(基本的なシャシー性能が高い)、TTはその「クワトロシステム」に依存したグリップを発揮しているようですね。

乗り心地についても接地性同様にボクスターのほうがシャシー性能の高さに起因して「快適」であるように感じられ、突き上げが少なく、細かな路面の凹凸にも追従し、しかもピッチやロールも少ない、という感じ。

かつてのポルシェは「足回りを固める」ことでスポーツ走行に対応しており、乗り心地についても犠牲を強いられたものですが、991/981世代からそのセッティングが大きく変わり(ホイールベースやトレッドの拡大で自由度が大きくなったのかも)、「スポーツカー」という前置きを抜きにしても「乗り心地が良い」と表現できる足回りを持っている、と言えます。

ぼくのTTは「Sライン」なのでスポーツサスが最初から入っていますが、これはかなりゴツゴツした印象があり、「固める」ことでスポーツ走行に対応している、という印象も。

ざっとまとめると、通常走行ではアウディTTのほうが安定しており速く感じるものの、スポーツ走行に移るとポルシェ・ボクスターのほうがロードインフォーメーションがずっと多くコントロール性に優れエンジンレスポンスに勝り、しかもボクスターのほうが通常走行においても乗り心地に優れる、と言ってよさそう。

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結論:ポルシェとアウディ、そのメーカーの考え方やバックボーンがよくあらわれた二台だった

これはポルシェ・ボクスターが「スポーツカー専用設計」のプラットフォームを持つことに起因していると考えられ、対してアウディのプラットフォームはフォルクスワーゲンと共通のものが多く、これはSUVもセダンもハッチバックもクーペも共通。

こういった環境(他モデルと共通のプラットフォームを使用せざるをえない)の中でアウディがそのモデルを「スポーツ走行」に対応させようとなると「(ターボ化で)パワーアップ、足回りを固める、4WDによるグリップ」となるのは必然の帰結で、これはポルシェとアウディの環境による相違、考え方の違いと言えるのかもしれません。

それぞれのメーカーがそれぞれの異なる事情のなかで、「最良」を目指したということになり、事情を考慮すると優劣を判断するのは難しいところ。

最後に「ブランド性」ですが、これは圧倒的にポルシェが勝ると思われます。
しかもボクスターは「オープン」で、世間一般の認識からすると「オープンカー=リッチ」というものがあり、やはり自分の満足度、ほかから見たときのステータスとしてもボクスターに軍配が上がりそうです。

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こうやって見るとポルシェ981ボクスターのほうがずっと優れるようにも見えますが、今もし「(ぼくの)TTと981ボクスターとを交換しないか」と持ちかけられたとしても、そこは迷うところ。
TTの維持費の安さ、スポーツカーにしては高い積載性や利便性、4WDによる安心感などを考慮すると「日常使いを考えたとき」に両車の総合得点は大差ないレベルにあり、どちらが優れる、というのは一概に判断できないのですね(ぼくはそんなにスポーツ走行をするわけでもない)。

なお、馬力あたり価格を換算すると、TTは25,608円、ポルシェ981ボクスターは24,943円と同じくらい。
ただしターボ化された718ボクスターだとこれが21,933円と大きく下がり、かなり割安感がでています。
参考までに718ボクスターSは24,342万円、アウディTTSは26,853円となりますが、「上のモデルになればなるほど割高になる」のはメーカーの戦略によるもの、と言えますね。

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