| 幻のクルマだけに当事の記録がなく、レストアにあたっては当事のメカニックを再招集 |
昨年、BMW南アフリカが「希少な530 MLEが発見され、レストアを開始する」と発表したのは記憶にあたらしいところ。
この530 MLEについて何が希少なのかというと、「最初のMモデルが発売される前に、M部門によって改造された」車両であり、つまり事実上”最初のMモデル”。
公式には”最初のMモデル”は1979年のM1となっていますが、この530 MLEは1976年の登場なので、M1の3年前に作られていた、ということになりますね。
製造されたのはわずか217台
この530MLEは「Motorsports Limited Edition」の略で、E12世代の5シリーズがレース(南アフリカで開催された、”モディファイド・プロダクション・レーシングシリーズ)”に参加するにあたり、アフリカ市場限定で製造されたホモロゲーション取得用モデルで、当時実際に市販されています。
「530MLE」が製造されたのは1976-1977年で、1976年にタイプ1として100台ほど、1977年にタイプ2として117台が製造された、とのこと。
マニアにしか存在が知られていなかった「幻のクルマ」だけにその情報はほとんどなく、レストアにあたっては当時実際にこのクルマの改造に関わった人々を集めて行ったとされますが、実際に分解してみると、こんな感じで車体のあちこちはホールソーで肉抜きされて軽量化が施されており、当時の本気度がわかりますね。
「肉抜き」はリアバルクヘッド、リアトレーに無数に見られます。
そして裏から見るとこう。
相当に手がかかっていることがわかりますね。
フロアの補強パネルやピラーの内側までも軽量化。
勝つためにここまでやる、というのはさすが「M」。
こんな感じでエンジンも完全にリビルト。
必要なパーツは新品に交換されています。
なおエンジンそのものは3リッター直6、出力は197HP。
0-100キロ加速は9.3秒、最高速度は208km/hだと報じられています。
新品で手に入るパーツは新品にて、そして手に入らないパーツはリビルトにて。
今回発見された個体のシャシーナンバーは770100で、530 MLEのちょうど「100代目」。
当事の所有者も判明しており、カラーリングも当事そのままに再現しています(といっても製造された530 MLEはすべてこのボディカラーだそう)。
インテリアもしっかりレストア。
当事このクルマに関わった人もご満悦のようですね。