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日本と欧州の自動車メーカーの戦略における決定的な相違、「バリエーション展開の戦略」についての考察

2019/05/24

| 欧米は選定必勝の攻撃型、日本は状況対応の臨機応変型 |

日本の自動車メーカーと欧州の自動車メーカーとでは考え方に大きな差があると感じることがありますが、今日はその「モデルラインアップに関する戦略」について考えてみたいと思います。

大きいところから話をすると、欧州の気動車メーカーは、「一気にそのモデルのバリエーションを展開」し、日本の自動車メーカーは「ボチボチ展開してゆく」傾向が強い、と考えているわけですね(あくまでも傾向の話であり、ひとまとめには出来ない)。

BMWの拡大戦略は凄まじい

たとえば欧州自動車メーカーの「一気に拡大例」で端的なのは新型BMW 8シリーズ。
これは一発目の8シリーズ・クーペ発売前から「8シリーズ・カブリオレ」「M8」「M8カブリオレ」「8シリーズ・グランクーペ」の拡大が見えていたわけですね。

メルセデス・ベンツも同様であり、これはSクラスを一気に拡充させたことからもそのアグレッシブな戦略が理解できます。

この戦略の考え方の骨子としては、そのモデルを発売する際に「最大どこまで展開するか」を考え、最初から全ラインアップを同時期に開発着手し、あとはそのモデルの話題をや絶やさないよう、定期的にバリエーションを増やしてゆく、という感じですね。

ポルシェ911だとそのバリエーションは25程度にも及びますが、911カレラや911カレラS、911カレラT,GTS、911 GT2、911 GT3、ターボ、ターボS、タルガ、そして殆どに設定されるカブリオレなど。

モデルライフが8年だとすると、その前半の4年=48ヶ月の間に(たとえば3ヶ月づつ)新しいバリエーションを展開してゆけば、常に人々に「新型911」のニュースが届くことになり、これによって販売済みモデルのセールスも維持できるわけです(実際に911は年々販売が増え、モデル末期に咲いた販売台数を記録している)。

日本の自動車メーカーは「安全運転」

反面、日本車だと、「まず1モデルを発売し、様子を見てからバリエーション追加」という例が多い模様。
マツダの場合だと、「ロードスター”RF”は最初、予定になかった」としています(ロードスターRF発売時のマツダのコメントによれば)。

つまりソフトトップのロードスターが十分に売れたので「次」の展開としてRFが出てきたということになりますね。
そうなると、これにかかる開発労力が「二度手間」になっているということになり(ロードスターはリトラクタブルハードトップを当初想定していなかったので、RFの開発は難航したとされる)、企業側にとっても浪費、消費者にとっても車両価格が高くなるといったデメリットも。

要は日本の場合、「そのモデルが売れたら、その時点で次を考えるが、売れなかったら次はない」。

ぼくが時々思うのは、トヨタ86について、まずベースグレードを発売し、翌年にハードコアモデルを発売し、その翌年にはカブリオレ、そして翌年にカブリオレのハードコアモデルを発売して、次の年にはベースグレードをフェイスリフトさせ、あとは順にマイナーチェンジしてゆけば「毎年86の新型が出る」ことになって、安定したセールスを維持できるんじゃないか、ということ。

これはレクサスLCやホンダNSXとについても同じで、セールスが落ち込んでから「テコいれしないとヤバいな・・・」と考えて新バリエーションを投入するのではなく、最初から「落ち込むことを想定して」、落ち込まないようにニューモデルを投入するという「攻めの戦略」が必要じゃないかという意味。
言うなれば「二輪車で、倒れないためには速く走らねばならない」という現象にもよく似ています。

LEXUS

その意味では、日本の自動車メーカーは「せっかく見えている可能性」を、展開の遅さによって逃している可能性もあり、「輸入車は年々販売が伸びるが、日本車は発売以降どんどん販売が減ってゆく」という既定路線の原因なのかも。

ただ、これは一概に良し悪しで判断することも出来ず、言い換えれば日本の方法は「安全」で会社に損害を与えず、従業員の雇用を守るということに結びつくのかもしれません。

そして欧米では「結果を出さねばクビ」という危機感もあり、「チンタラやってる暇はない」ということなのかもしれませんね。

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