| 一時期は中国から資金提供を受けるのではと言われたが |
さて、昨年のジュネーブ・モーターショーにてコンセプトカー「マーク・ゼロ」を発表した新興EVメーカー「ピエヒ」ですが、今回は市販モデル「GT2」を発表。
このピエヒはスイスに拠点を置き、欧州のヘリテージや経験、革新的技術をを用いてクルマを開発・生産し、「クルマとドライバーとの関係を再発見すること」を目的としている、と広くアナウンスを行っています。
そして今回のGT2について、「最も重要な機能は、機能が少ないこと」だともコメントしており、それがGT2のピュアさを際立たせている、とも。
デザインは「タイムレスな美しさ」を追求したといい、アストンマーティン的な印象も受けますね。
ピエヒGT2はピュアエレクトリックカー
そしてピエヒの面白いところは、「運転する楽しさ」を追求したにもかかわらず、ガソリンエンジンではなくエレクトリックパワートレーンを選んだこと。
つまりEVでも運転する楽しさを提供できると踏んだのだと思われます。
パフォーマンスとしては0-100km/h加速3.0秒、80%までの充電にかかる時間はなんと4分40秒(にわかには信じがたいが、”完全に新しいバッテリーテクノロジー”だと紹介されている)、一回の満充電当たり航続可能距離はWLTPレンジで500キロ。
現時点で価格が公開されていないのでなんとも判断はできないものの、これらの数字を見る限りではかなり高い実用性、そして加速性能を持つということになりそうです。
なお、コンセプトカー段階のマーク・ゼロではフロントに1つ、リアに2つの「3モーター」を採用し、出力はトータルで600PSだと伝えられています。
経営陣は大手自動車メーカー出身者で固められる
このピエヒは、もともとポルシェ創業者一族であるフェルディナント・ピエヒ(女系一族なので婚姻によって名字が変わり、ポルシェではなくなっている)の息子、トニ・ピエヒ。
フェルディナント・ピエヒはポルシェで数々のレーシングカーを設計した後にメルセデス・ベンツ、アウディへと渡り歩き、アウディでは「クワトロ」を実用化した人物。
後にはフォルクスワーゲングループの会長にまで上り詰めますが、その過程ではブガッティ、ベントレー、ランボルギーニ、ポルシェ等を次々傘下に収め、現在のフォルクスワーゲングループの礎を築いた人でもあります。
さらに興味深いのは、今回会長職に、ポルシェを追い出されたマティアス・ミュラー(ポルシェの元CEO)が就いたこと。
そのほかピエヒにはBMW M部門でスポーツカー開発を主導してきたクラウス・シュミット、そのほかテスラやフォルクスワーゲンで要職についていたメンバーが多数在籍しており、「実力者揃い」という印象がある反面、「はみ出し者揃い」というイメージも。
しかしながらいずれもクセの強いメンバーであり、知見そしてコネクションも相当なものと思われるため、「古巣から追い出された者たち」の反撃がいかなるものかも興味があるところです。
今回のGT2のほか、セダンやSUVの展開を視野に入れていると伝えられますが、「EV」を選んだのは、その構造に起因して派生車種の展開を(小規模メーカーでも、低コストで)行いやすいということを考えたのかもしれませんね。
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参照:PIECH