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【新型ポルシェ911カップ(992.2)登場間近】ワンメイクレースマシンがさらなる進化を遂げて2026年デビューへ

【新型ポルシェ911カップ(992.2)登場間近】ワンメイクレースマシンがさらなる進化を遂げて2026年デビューへ

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| 新型ポルシェ911 GT3カップカー(992.2)が今夏ワールドプレミア |

空力・安全性・環境性能を大幅に強化し、レース界の主役へ

ポルシェがワンメイクレース「ポルシェ・モービル1スーパーカップ」および各国の「カレラカップ」シリーズ向けに開発した新型911 GT3カップカー(992.2型)を2026年シーズンより投入すると発表。

正式デビューは2025年夏を予定しており、すでに開発フェーズの大部分を終え、その過程における画像も公開しています。

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世界で5,000台以上生産されてきた「最も成功したレーシング911」

1990年にドイツ国内でスタートした「ポルシェ・カレラカップ」。

1993年にはF1グランプリ併催の「スーパーカップ」へと拡大し、現在では世界12か国以上で開催され、北米、南米、ヨーロッパ、中東、アジア、そして日本でも展開中です。

2025年時点で、911をベースとしたワンメイクカップカーは合計5,381台が製造されていて、モータースポーツ用レーシングカーとしては異例のスケールを誇ることとなり、興味深いのは、これらの車両がシュトゥットガルトの量産ラインにて911の市販モデルと並んで製造されているという点で、現行の992.1型GT3カップカーだと約8時間で1台が完成するのだそう。

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このあたり、「市販車とモータースポーツ用車両との境界がない」ポルシェらしい事実でもあり、これが競技用車両のコスト定価にも繋がり、プライベーターにとって「維持しやすい」レーシングカーとなっているのかもしれません。

そしてもちろん、市販車であっても「最小限の改装によって競技に参加できる」だけのポテンシャルを持つということを意味しており、これは「市販車とレーシングカーとは全く別」と考えるほか多くの自動車メーカーとの相違でもありますね。

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ポルシェ911のラインアップは現在18種。これにらに限定モデルやオプション装着車両、さらにはレーシングカーまでもが同じ工場のラインで生産中。一体ポルシェはどうやってこれを成し遂げたのか?

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空力・電子制御・ブレーキなどを大幅刷新。eFuelを活用しサステナブルにも対応

ポルシェ・モータースポーツ部門(ヴァイザッハ)では、2024年1月から開発を本格始動。新型カップカーではフロントエアロの改善を筆頭に、車両ハンドリング、安全装備、電子制御、6気筒ボクサーエンジン、ブレーキ、駆動系に至るまで幅広い領域が進化しています。

テスト走行は、モンツァ(イタリア)、ラウジッツリンク(ドイツ)、ヴァイザッハ開発センターの3コースで実施。

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ステアリングホイールを握ったのは2023年のスーパーカップ王者バスティアン・ブース(デンマーク)、2024年FIA耐久トロフィー王者クラウス・バクリャー(オーストリア)、2024年IMSA GTD Pro王者ラウリン・ハインリヒ、そしてベテランのマルコ・ゼーフリート選手らだと説明されています。

eFuel使用でCO₂排出を66%削減、FIAの最新「サステナブル燃料基準」に適合

新型911カップの開発には、2025年のスーパーカップで使用される合成燃料「eFuelブレンド」が使用され、このeFuelは、FIAのAppendix Jに準拠する再生可能燃料であり、化石燃料と比較して66%ものCO₂削減を実現することに。

ブレンド中の79.7%は再生可能成分で構成され、主成分は「メタノールから生成された合成ガソリン(MtG)」、そして廃棄物や副産物由来のバイオエタノールも配合されており、酸素含有量とオクタン価(100.5 RON)を高めています。

ポルシェが合成燃料について語る。「環境を改善するには、新車をクリーンにするよりも既存のクルマをクリーンにする必要があります」。加えて精製プロセスも紹介
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この燃料は、再生可能エネルギーのみを使用してチリのHaru Oni試験工場で製造され、将来的には、DAC(直接空気回収)によるCO₂供給と、バッテリーによるエネルギー安定化を組み合わせ、持続可能なeFuel供給網の構築を目指している、とのこと。

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ポルシェが自社で開催するワンメイクレース「スーパーカップ」に合成燃料(Eフューエル)を採用すると発表。ポルシェは燃料においてもイノベーションを目指す
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開発責任者コメント:「現行モデルをベースに、さらに細部まで磨き上げたマシン」

GTレースカー担当マネージャーのヤン・フェルトマン氏は次のように述べており、新型911 GT3カップ(992.2)は、単なる改良版にとどまらず、モータースポーツの未来を見据えた革新的なモデル。

ポルシェのレースDNAを継承しながら、サステナブルな取り組みにも本気で取り組む姿勢が随所に表れたのが新型911カップだといえそうですね。

「現行911 GT3カップはすでに非常に高い完成度に達しています。今回は世界中のカップ戦シリーズからのフィードバックを活かし、あらゆる面でさらに磨きがかかったカップカーへと仕上げました。」

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参照:Porsche

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