2017年発表のメルセデスAMG Oneがようやく開発（ほぼ）終了との報道。開発期間18ヶ月の予定が大きく遅れて2022年夏から生産開始、やはりF1用エンジンは神経質だった

｜　メルセデスAMGはF1用エンジンを「一般のクルマ」に転用することを甘く見ていたとも報道されている　｜

それでもようやく開発完了、あとは納車を待つばかり

さて、これまで生産開始が「延期に延期」されてきたハイパーカー「メルセデスAMG One」ですが、ようやく2022年なかばに組立ラインが稼働するとの報道。

このメルセデスAMG Oneは2017年に発表され、当時でも「開発に18ヶ月（1年半）かかると言われており、しかし実際にはそれよりもずっと多くの時間を開発に要したということになりそうです。

なぜここまでメルセデスAMG Oneの発売が伸びたのか

なお、ここまでメルセデスAMG Oneの発売が伸びた理由は「F1由来のパワートレーンを搭載しているから」。

このメルセデスAMG OneにはF1マシン（W06）から移植した1.6気筒6気筒ターボと4基のエレクトリックモーターが搭載されますが、「高回転をキープしノンストップで走る続ける」ことが前提のモータースポーツ用エンジンを、「ストップ＆ゴーが多く、低回転中心で高回転まで回す機会のない」公道走行用のクルマに転用したことに第一の難関があり、基本的な信頼性を確保することが非常に難しかった模様。

そのため、プロトタイプが幾度となく機能停止してしまったり再始動できなくなったりする様が報じられていますが、当時のメルセデスAMGのCEO、トビアス・メアース氏は「F1でのアイドリングは5000回転であること、AMG Oneでは4000回転になること」に言及しており、しかし当然これでは環境規制を満たせず、さらにアイドリング回転数を引き下げることを決定しています。

そしてこれがエンジンの安定性を失わせる結果となってしまい、同時にエミッションも不安定になったために開発が大きな暗礁に乗り上げてしまったわけですね。

さらにはモータースポーツ用のエンジンであるために繊細な扱いが必要とされ、非常に短い期間でのオーバーホールが必要となるなど「メルセデスAMGは、F1用パワートレーンを公道用にコンバートするという難題を甘く見ていた」と報じられることに。

問題はトップエンドではなくローエンド

そしてメルセデスAMGは信頼性を高めるため、許容回転数をF1マシン搭載時に比べて3,000回転低く設定しているそうですが、問題は「トップエンドではなくローエンド」にあるといい、やはり日常性をいかに確保するかが問題だとも。

実際のところF1マシンは限られた一部の（非常に優れた）ドライバーが、限られた環境のみで使用するものであり、それを「いかに275人の厳選された顧客」といえど、どういった環境でどういった使い方をするか（ときにはオーナーさえも）わからないような状況でも完璧な性能を発揮するように作り変えるのは容易な作業ではないと思われます。

そして現在、ほぼ開発が終了しており、上述の通り来年の夏以降には生産が開始れるわけですが、納車後には相当な数のトラブルが報告されることになるのかもしれません。

ちなみにメルセデスAMGのクルマ（メルセデスAMG G63、メルセデスAMG GT、メルセデスAMG GT 4ドアクーペ）はけっこうトラブルが多いといい、メルセデスAMG GT 4ドアクーペについては「トラブルに耐えられないオーナーが出現」しクルマを燃やしてしまったことも話題になりましたね。

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参照：Autocar