ポルシェはエンジンがなくともその伝統の命名法則にこだわる
ポルシェはそのブランド初のEV「タイカン」を発売しますが、そのグレード構成が「タイカン」「タイカン4S」「タイカン・ターボ」になる、とのこと。
タイカンはすでに予約を(一部地域で)実施しており、今回カーメディア「Drive」のエディターがポルシェ・タイカンを予約した際に、そのグレードが3つあること、そしてそれぞれ「タイカン」「タイカンS」「タイカン・ターボ」でることを告げられた、と述べています。
エンジンもターボも無いのに「ターボ」の謎
なお、タイカンはピュアエレクトリックカーでエンジンは搭載しておらず、したがってターボチャージャーも「ナシ」。
その状況でなぜターボなのかということですが、その答えはポルシェが1980年代から続けてきた命名法則にある、といえそうです。
わかりやすいように(1980年代には存在しなかったけれど)”パナメーラ”を例に説明すると、その構成はこんな感じ。※ハイブリッド除く
- パナメーラ
- パナメーラS
- パナメーラ4
- パナメーラ4S
- パナメーラGTS
- パナメーラ・ターボ
- パナメーラ・ターボ S
これはおおよそ他のモデルも同じで、まずはベースグレードの「無印」があり、ハイパフォーマンスモデルの「S」、そして4WDモデルの「4」、そのハイパフォーマンス版の「4S」、サーキット志向の「GTS」、そしてテクノロジーの結晶たる「ターボ」、さらにその上位モデルとしての「ターボS」というのがポルシェの定石。
そして今回の 「タイカン」「タイカンS」「タイカン・ターボ」 というグレード構成を見るに、ベースグレードの「タイカン」に「4」はついていないので2WDであろうこと、「4S」「ターボ」という既存モデルと同じ命名法則を持っていることがわかりますが、ポルシェはEVといえどもガソリンエンジン車と同じ構成を採用してきたということになり、これは「タイカンはこれまでのポルシェの延長線上にある」ということ、「ターボ」はこれまで「ターボチャージャー装着モデル」という意味合であったものの、今後は「フラッグシップとしての意味合い」を持つのであろうということも理解できます。
なお、「ターボ」という名称が用いられたのは1985年の「ポルシェ911ターボ」が最初で、その当時はまだターボ車が珍しく、ポルシェは他にターボエンジンを持たなかったため。
ただ、991世代の911では後期モデルから「(GT3系を除いて)全車ターボ」、ボクスター/ケイマンも718世代から「(スパイダー/GT4を除き)全てターボ」となり、つまりターボエンジンが普通になってしまったわけですが、それでも「ターボ」という名称が与えられるクルマはポルシェにとって特別であるということですね。
なお、今回はそのグレード構成とともにおおよその価格についても明らかになり、「タイカン」は90,000ドル前半くらい、タイカン4Sは90,000ドル後半、タイカン・ターボは130,000ドルくらい。
なお、パナメーラは86,300ドル、パナメーラ4Sはは104,000ドル、パナメーラ・ターボは151,500ドルからのスタートなので、タイカンでは「グレード間の価格差が小さい」とも言えますが(各グレードの基本構成は同じで、バッテリーの差がメインになりそう)、それでも「タイカン・ターボ」はタイカン4Sに比較して大きく価格差があり、それを考えると「ターボ」という特別な名にふさわしい「なんらかの機能(ブースト機能など)」が備わるのかもしれません。