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【動画】ポルシェ本社とポルシェUSAとが共同で「放置された996世代の911」をベースにワンオフの「911クラシック・クラブ・クーペ」を製作!ナナサンカレラを意識しエンジンはGT3スペックに

2022/03/21

【動画】ポルシェ本社とポルシェUSAとが共同で「放置された996世代の911」をベースにワンオフの「911クラシック・クラブ・クーペ」を製作!ナナサンカレラを意識しエンジンはGT3スペックに

| 今見ると996世代のポルシェ911はタイムレスな美しさを持っている |

ポルシェ911クラシック・クラブ・クーペをデザインしたのは当時の996のデザイナー

さて、ポルシェのクラシックモデル担当部門「ポルシェクラシック」と、アメリカのポルシェ公認のクラブ「ポルシェ・クラブ・オブ・アメリカ(PCA)」とが協力し、996世代の911をベースになんとも美しいレストア車両を製作。

このクルマは「ポルシェ911クラシック・クラブ・クーペ」と命名されており、外装には一部(同世代の)911GT3のパーツが装着され、ドライブトレーンは911GT3のものへと換装されています。

ポルシェ911クラシック・クラブ・クーペの計画は雑談からはじまった

このポルシェ911クラシック・クラブ・クーペを作ろうという話は、2018年にポルシェクラシックのスタッフと、ポルシェ・クラブ・オブ・アメリカの上位メンバーとが会食をしている際に「こんなクルマがあったらいいかもしれない」という雑談から始まったそうですが、そこからチームが結成され、チームが「放置されていた」996型ポルシェ911を購入するところから具体的なプロジェクトが始動します。

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その後このポルシェ911はポルシェ本社(ドイツのシュトゥットガルト・ツェッフェンハウゼン)に拠点を構えるポルシェ・クラシックへと輸送されることになり、そこで徹底したレストア、そしてカスタム(レストモッド)が開始されることに。

なお、ポルシェはこういった「ワンオフのレストモッド」車両を製作することがあり、過去には993世代の911をベースに「プロジェクト・ゴールド」を完成させたことも。

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デザインモチーフは「911スポーツクラシック」

そして今回の911クラシック・クラブ・クーペのデザインモチーフは、2010年に発売され、しかしアメリカには輸入されなかった「911スポーツクラシック」。

これは997世代の911をベースにしており、1973年のカレラRS2.7、つまり「ナナサンカレラ」をイメージしたクルマで、専用のフロントバンパー、ダックテールスポイラー、ダブルバブルルーフ、フックス風ホイールが与えられ、機能面だとカーボンセラミックブレーキに可変エキゾースト、インテリアだとシックなコーヒーブラウンレザーにペピータ(千鳥格子)柄のシートが採用されているという、「機能的には最先端、しかし見た目はレトロな」モデルです。

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この911スポーツクラシックのベースは911カレラSで、トランスミッションは6速マニュアルのみ、生産台数は250台に絞られ、発売開始後24時間以内にすべてが売れてしまった、と報じられています。

特別装備の装着やボディの加工が必要なために通常の生産ラインでは作ることができず、よって製造を担当したのはポルシェのパーソナリゼーション担当部門「エクスクルーシブ」となりますが、そのために価格が大きく跳ね上がってしまい、日本だとベース車両の約2.5倍となる2750万にて販売が開始されています(日本市場の割り当ては12台のみ)。

なお、992世代の911においても、同様のコンセプトを持つ、しかしさらにナナサンカレラに近いデザインを持つ「新型911スポーツクラシック」が追加されると言われ、過去にはプロトタイプが目撃されたこともありますね。

あのナナサンカレラの現代版、そして「史上最強のMT装備911」となりそうな新型ポルシェ911スポーツクラシックの姿が目撃される
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911クラシック・クラブ・クーペはこんなクルマ

そこで今回お披露目された「911クラシック・クラブ・クーペ」を見てみたいと思いますが、見ての通り911スポーツクラシックを強く意識しており、グレーのボディカラーにフックスホイールを装着、ダブルバブルルーフにダックテール形状を持つリアスポイラー装着といった手法が反復されています。

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車体には911スポーツクラシック同様のダブルストライプが入り、しかしブルーのアクセントが追加。

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サイドには「Classic Club Coupe」の文字、そしてストーンガードを連想させるグラフィックを持つストライプ。

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なお、興味深いことにヘッドライトには初期型の「ボクスターと同じ」ものが採用されています。

911は996世代から水冷化されていますが、その際に(おそらくは変化を主張するために)用いられたのが、それまでの丸目にかわる「ウインカーとポジションランプ一体型になったヘッドライト」。

ただしこのヘッドライトは、一足先にデビューしたボクスターと同じ形状を持っていて、これが「911にふさわしくない」と猛烈な批判を浴びることになり(それほど当時のポルシェファンは”911以外は認めない”という傾向が強かった)、2002年のフェイスリフト(マイナーチェンジ)においてポルシェは「911とボクスターとのヘッドライト形状を作り分けた」ほど。

しかし今回、当時れだけ批判が強かった「ボクスターとの共通仕様を持つヘッドライト」を採用していて、これはちょっと意外な事実でもあります(ある意味では、現在ボクスターが認められ、当時の否定派と”和解”したともいえる)。

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ただ、ヘッドライト内部にはナーリング加工が施されているようで、高級感がぐっと増しているようでもありますね。

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エンジンフードはもちろん「ダックテール」、そして「Classic Club Coupe」の立体ロゴが入ります(5マイルバンパーも取り付けられている)。

ちなみにフロントバンパーとサイドステップは初期型911GT3のものが装着されていますが、この911クラシック・クラブ・クーペのスタイリングを担当したのは当時996世代のデザインを受け持ったグラント・ラーソン氏(この事実を見ても、いかにこのクルマが特別なものであるかがわかる)。

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ダックテール式リアスポイラーの上部にはダクトがあり、スプリッターによって左右に分割され、グリルは「ハニカムメッシュ」という今っぽい仕様を持っています。

搭載されるエンジンは996世代の「(後期)GT3スペック」で、3.6リッターフラット6は最高出力381ps(284キロワット)、最大トルク284lb-ft(385ニュートンメートル)を発生し、許容回転数は8,000rpm。

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ホイールはフックスデザインを採用しており、広報用資料を見ると「ちゃんとフックス製」。

このフックス(FUCHS)はドイツのホイールメーカーですが、かつてポルシェにホイールをOEM供給しており、しかし997世代の911スポーツクラシックに装着されていた「フックスホイール」はフックス製ではないにもかかわらず「フックス特有のデザイン」を持っていたためにフックスが激怒したようで、「911スポーツクラシックに装着されるホイールは当社の製品ではありませんん」という注意書きを付与するに至っています。

ちなみにサスペンションやブレーキも996世代の911GT3(後期)スペックが装着されている、とのこと。

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参考までに、「フックスホイール」はこういったディスク部のデザインを持つことが特徴であり、本来は「フックス」のみが再現しうるものだとは思いますが、ポルシェが独自にこのデザインを(911スポーツクラシックにて)採用し、しかし訴訟になったとは聞いていないので、フックスはこのデザインをパテントとして登録していなかったのかもしれません(下の画像はシンガー・ヴィークル・デザインの車両に装着されるもの)。

911クラシック・クラブ・クーペのインテリアも特別だった

そして911クラシック・クラブ・クーペの見どころは外装だけではなく、そのインテリアもまた特筆すべき点が多数存在します。

まずシートは911スポーツクラシック同様の「レザーとクロスとのコンビ」で、クロス部分はもちろん千鳥格子です。

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ヘッドレストには「Classic Club Coupe」の刺繍。

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トランスミッションはもちろん6速マニュアル。

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ステアリングホイールの12時位置にはブルーのセンターマーク、そしてステッチはブルー。

このセンターマークは比較的最近になってポルシェが取り入れた手法でもありますね。

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メーターパネルにも911クラシック・クラブ・クーペのロゴ、そしてダブルストライプ。

このダブルストライプも911スポーツクラシックが製造された時代にはまだポルシェが取り入れていなかったと認識していて、つまり911クラシック・クラブ・クーペは911スポーツクラシックを下敷きにしながらも、最新のディティールを取り入れている、ということになりそうです。

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911クラシック・クラブ・クーペを紹介する動画はこちら

参照:Porsche Club of America

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