| ただし2025年はポルシェ930ターボ登場から数えて50周年に相当し、ポルシェは「何か」をやってくるはずである |
「MT、後輪駆動」の911ターボが導入されるとすれば、それは限定モデルとなるだろう
さて、ポルシェは5月28日にフェイスリフト版となる新型911を発表するとアナウンスしていますが、現時点ではどのグレードが発表されるのかはナゾのまま(おそらくは911カレラ、911カレラSだと思われる)。
そして今回、その992世代後期型つまり992.2世代の911ターボに関する新たなるウワサが登場しており、それは「マニュアル・トランスミッションのみ、後輪駆動」というものです。
これは画像掲示板レディット、そしてポルシェ専門掲示板であるレンリストにてホットな話題となっているもので、現在のところ具体的な根拠は示されていないものの(根拠はあるがそれを出すことが許されないのかもしれない)、これについては「アリ」と思える部分、逆に「ナシ」と思える部分も存在します。
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ポルシェ911ターボに「後輪駆動化はアリ」なのか
まず「アリ」なところから見てみると、物理的には全然可能であり、実際にポルシェは限定モデルながらも「911スポーツクラシック」なる、ターボベースの後輪駆動モデル(しかもマニュアル・トランスミッション搭載)をリリースしています。
このモデルについては非常に評価が高く、よってこれを定番モデルとして(911ターボの後期モデルとして)導入する可能性も十分に考えられ、実際にポルシェとしては911ターボを後輪駆動化することが可能であり、その動機もある、ということになりますね。※かつて911Rを限定として導入した際、多くの人がこれを求めるも購入できず、結果的に中古市場で価格が異常なレベルにまで高騰し、その後(911Rと同じ仕様を持つ)911GT3ツーリングをカタログモデル化して事態の沈静化を図ったこと同じ考え方
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そしてもうひとつの理由としては、「2025年はポルシェ911ターボの元祖、930ターボ発売から50周年」を迎えるという事実があるためで、そしてこの930ターボは「後輪駆動レイアウト、マニュアル・トランスミッション」をもってデビューしています。
そしてポルシェは現在過去オマージュの方向性を強めており、様々な方面にて930ターボを全面に押し出しており(プーマとのコラボアイテムにおいても同様)、そしてこの930ターボに対して思い入れを持つ富裕層へとアピールするため、初代への回帰色を強め、よりエクスクルーシブなモデルへと発展させることで利益率を高める可能性も考えられ、911ターボを「コレクター向けのヘリテージモデル」へとシフトさせるのかもしれません(ポルシェは今後、より特別なモデルをもって利益率を高めてゆくと言及している)。
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ちなみにですが、現行の911ターボにも「930ターボへのオマージュ」が部分的に取り入れられていて、たとえばドアインナーパネルの「斜めのステッチ」が復活していますが、そここ最近のポルシェが推すペピータ(千鳥格子)もまた過去オマージュの一つの例だと言って良いかと思います。※ポルシェ911ターボの生産第一号車はポルシェ創業者の娘であるルイーゼ・ピエヒのために作られており、この911ターボ「#1」のシートに採用されていたのもまたペピータであった
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ポルシェ911ターボに「MT、後輪駆動」はない?
反面、ポルシェ911ターボが「MTのみ、後輪駆動」にシフトすると考えにくい理由もあり、それはまず(性質は全く異なるが)911GT3との構造的差異が小さくなってしまい、両者の存在意義があやふやになってしまうため。
さらには「911GT2 RS」との位置関係も不明瞭となり、むしろ911GT2 RSのと排他性を残ってしまうことで「ポルシェが911GT2 RSでお金を儲ける」機会を損なってしまうかもしれません。
そしてもうひとつは「安全面」であり、そもそも993以降のポルシェ911ターボが4WD化されたのも”そのパワーを御すには4WDでないと不可能”だとされたためで、実際に近年のポルシェ911ターボは「4WD+PDK」というパッケージングのみで提供されているわけですね。
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ただ、上述の911スポーツクラシックは「後輪駆動+MT」ではあるものの、おそらくは安全上の理由にて(リアフェンダー上からダクトを除去しクリーンなルックスを再現したいということも理由の一つであったのかもしれない)ベースモデルである911ターボSからマイナス30馬力というデチューンが施されていて、こういった事実を見ても、カタログモデルとなる911ターボに「後輪駆動、MTのみ」という未亡人製造機をあえて用意することはないんじゃないかとも考えています。
さらに新型911ターボは現行モデルよりも出力が向上するはずで、ターボSでは700馬力に達するとも言われており、となれば「いくら車両制御技術が向上といえど、700馬力のRRを誰でも注文できる状態にする」のはあまりに危険。
これらを総合して考えるならば、新型911ターボは今まで通りに「4WD+PDK」にて登場し、限定モデルとして930ターボへのオマージュとなる「後輪駆動+MT」モデルを非常に高価な値付にて、ポルシェが選んだ限られた人々のみに提供するのでは、と推測しています。
なお、ポルシェ911は全般的に非常に高い価値を誇るものの、こと「911ターボ」に関しては新車購入価格に比較した中古相場が軟調に推移する傾向があり、ポルシェはこの現状をなんとかすべく、911ターボ全般の価値を上げる方向にてなんらかの施策を講じる計画を持っていて、そのひとつが「930ターボ回帰」なのかもしれません。
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参照:Rennlist