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ポルシェが2024年の業績を発表、販売台数に売上そして利益が減少。原因は「中国市場の不振」、そして2025年に対しては厳しい見通しを示す

ポルシェが2024年の業績を発表、販売台数に売上そして利益が減少。原因は「中国市場の不振」、そして2025年に対しては厳しい見通しを示す

Image:Porsche

| ただし4つの市場で記録更新、カイエンは「過去最高」を記録するなど明るい材料も |

現在、ポルシェは大きな変革の真っ只中に

さて、ポルシェが「2024年の業績」確報を発表していますが、ここでは「販売台数、売上高、利益ともに減少に転じた」という報告を行い、ついにポルシェの成長神話が途絶えたとして話題に。

なお、今回の「前年割れ」を誘発したのは(かねてより報じられる)中国市場の不発であり、中国にて販売台数が28.6%も減少してしまったことが大きく響いています(ほかのいくつかの市場では成長が見られるものの、中国のマイナス分を相殺できなかった)。※世界5地域のうち4地域で販売記録を更新

2024年、ポルシェはこういった業績であった

そこでポルシェの2024年を振り返ってみると以下の通りで、ざっと項目別にまとめています。※投資家向けの報告なので、良かった面、これからの成長を感じさせる点にスポットライトが当てられている

  • グループ売上高:401億ユーロ(1.1%減少)
  • グループ営業利益:56億ユーロ(22.6%減少)
  • グループ営業利益率:14.1%(昨年は18%)
  • 強力なキャッシュフロー:2023年の記録的な水準にほぼ到達
  • 配当金:前年と同額を提案
  • 市場の影響を一部相殺:中国市場の動向、EV普及の遅れ、サプライヤーの混乱による影響を部分的に緩和
  • 4つの地域で過去最高の販売記録
  • 企業および製品戦略の強化:包括的なコスト見直しと調整プログラムを開始、内燃エンジン、プラグインハイブリッド、バッテリー分野への追加投資
  • 多様なパワートレイン戦略を継続:内燃エンジン、ハイブリッド、EVを並行展開

ポルシェCEO、オリバー・ブルーメ氏のコメント

「私たちは6つのモデルのうち5つ(911、カイエン、パナメーラ、タイカン、マカンEV)を刷新し、製品ラインアップを大幅に強化しました。これにより、今後数年間の成功の基盤が築かれました。私たちの目標は、アイコニックなスポーツカーでお客様を魅了することです。」

ポルシェCFO、ヨッヘン・ブレックナー氏のコメント

「ポルシェは2024年、困難な状況下でも高い収益性を維持できることを証明しました。長期的には営業利益率20%以上を目標とし、中期的には15〜17%を目指します。現在、包括的な見直しを進め、ポルシェの将来を持続的に強化しています。」

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ポルシェは今後こういった戦略を採用

そしてこちらは現在進行中のプロジェクト、そして「これから」のポルシェ。

すでに報じられた内容の再確認が中心となっていますが、いくつかの新しい情報も含まれています。

  • 内燃エンジン、プラグインハイブリッド、EVの3本柱を維持
  • 2030年代まで全車種に複数のパワートレインを提供
  • 限定生産のヘリテージモデル(911)を含む高収益な派生モデルを拡充
  • スポーツカーセグメントの新たな基準となる旗艦モデルを追加予定
  • 電動マカンは、性能・運転体験・デザインの面で新基準を確立(マカンの販売のうち、44%を構成)
  • マカンの内燃エンジンモデルは段階的に廃止し、将来的にはEV専用モデルに
  • カイエンでは2023年に大規模な改良を実施し、2024年には過去最高の販売台数を記録
  • 次世代カイエンは完全電動化を予定(内燃モデルも2030年代まで併売)
  • 718シリーズの次世代EVスポーツカーを開発中
  • ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクトゥーアのオプションを1,000以上に増加
  • 特別仕様車の需要拡大(カスタムオーダーの平均単価が過去5年間で2倍に)
  • 2024年2月末に経営陣を刷新、CFOにヨッヘン・ブレックナー氏、営業・マーケティング担当役員にマティアス・ベッカー氏を起用
  • 2029年までに1,900人削減(自然退職・新規採用制限を活用)
  • 契約社員2,000人の雇用終了
  • 追加の構造改革パッケージを年後半に策定予定
  • 「Road to 20」収益性向上プログラムを推進、2024年は困難な経済環境下でも営業利益を一定水準に維持するほか、2025年以降、コスト削減をさらに強化
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そのほか、2024年の実績はこうだった

そしてこちらは以上に含まれない2024年の販売状況や実績など。

  • 車両販売台数:310,718台(前年比▲3%)
  • 地域別販売記録欧州、ドイツ、北米、新興市場で過去最高
  • 車種別販売台数
    • カイエン:102,889台(最多)
    • マカン:82,795台
    • 911:50,941台
  • 2024年の電動モデル比率:27%(EV+PHEV)
  • 2025年には電動モデルが33〜35%に増加見込み(EV比率は20〜22%)
  • FIA世界耐久選手権(WEC)ドライバーズタイトル獲得
  • IMSAレースシリーズ全クラス優勝
  • フォーミュラEではパスカル・ウェーレインがドライバーズ王者に
  • 2024年度の配当金・・・普通株式:1株あたり2.30ユーロ(前年同額)優先株式:1株あたり2.31ユーロ(前年同額)

加えて、2025年の展望としては以下がアナウンスされています。

  • 800百万ユーロを追加投資(製品ポートフォリオ、ソフトウェア、バッテリー事業に)
  • 収益性向上と事業のスリム化を推進
  • 中国市場の競争激化、地政学リスク、追加関税の可能性

2025年の業績予測

  • 売上高:390〜400億ユーロ
  • 営業利益率:10〜12%(2024年の14.1%を下回る見込み)
  • 中期的な目標:営業利益率15〜17%
  • 長期目標:営業利益率20%以上

 「ポルシェは長期的な営業利益率20%以上を目指します。2025年は事業の大幅な見直しに伴い、短期的な利益は圧迫される見込みですが、持続的な成長のための強固な基盤を築いていきます。」

ポルシェCFO ヨッヘン・ブレックナー

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参照:Porsche

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