| ある日、父親がピカピカのモントリオールに乗って帰ってきた |
レンダリングアーティスト、ルカ・セラフィニ氏の考えた、アルファロメオ・モントリオール・ヴィジョンGT。
アルファロメオはかつて(1970-1977)「モントリオール」というクルマを作っていたことがあり、今回のレンダリングは、その名称からもわかるとおりに「モントリオールを現代に蘇えらせた」もの。
オリジナルの「アルファロメオ・モントリオール」は、モントリオール万博に、このクルマの前身となるコンセプトカーが出展されたことから”モントリオール”と命名されていますが、2.6リッターV8エンジンを搭載し230馬力を発生するという、当時としてはなかなかにパワフルな車です。
なお、デザイナーは(当時ベルトーネに在籍していた)マルチェロ・ガンディーニ。
当時はポルシェ911、ジャガーE-Typeのライバルでもあったようですね。
少年時代の「モントリオール愛」が今ここに
こちらがそ当時の「モントリオール」。
今回公開されたレンダリングを見比べてみると、フロントの盾形グリルはもちろん、ボンネット上のNACAダクト(ポルシェが市販車においてNACAダクトを初採用したのは、991世代の911GT2 RSなので、モントリオールはかなり進んでいたと言っていい)、サイドウインドウのグラフィック、ドアの形状、その後ろのスリット、ホイール形状等に類似性が見られます。
なお、オリジナルのモントリオールのボディサイズは全長4,220ミリ、全幅1,675ミリ、全高1,205ミリ。
かなり短く、低いクルマであることがわかります。※フェラーリF8トリブートの全高は1,206ミリ
なお、ルカ・セラフィニ氏がアルファロメオ・モントリオールをレンダリングのベースに選んだのは、以前に彼の父親がモントリオールに乗っていたため。
1986年のある日、彼の父親はオレンジ色のモントリオールを購入し、自宅に戻ってきたそうですが、ガレージに後ろからアルファロメオ・モントリオールを入れるときのサウンド、ピカピカのエキゾーストシステム(これは社外品だったそう)、テールパイプからもうもうと上がる白煙、そして煙を通してみるモントリオールのテールランプの光は「少年だった自分にとって、自動車業界に入るきっかけとなるには十分だった」。
少年ルカ・セラフィニは幾度となくガレージに行ってはモントリオールのカバーを外してはそのボディラインを眺め、インテリアの革の臭いをかぎ、シートに座って自分がレーシングドライバーであることを夢想しながら育ったと語っており、”あれは、ぼくにとってのユニコーンだった”とも。
そういった少年の想いが詰まったのがこのレンダリングということになりますが、たしかに熱い情熱を感じさせる作品でもありますが、父親のアルファロメオ・モントリオールの「その後」も気になります。
VIA:Luca Serafini