| このフェラーリF512Mは一時期日本にも輸出されたことがあるそうだ |
なお自分のフェラーリが盗まれたにも関わらず、ベルガーとアレジはサンマリノGPでは表彰台を獲得
さて、28年前に盗まれ、それ以降ずっと行方不明となっていたゲルハルト・ベルガーのフェラーリF512Mがようやく発見されることに。
遡ること1995年4月、イタリアのイモラでサンマリノグランプリが開催され、このレースに参戦するためにゲルハルト・ベルガーはロッソのフェラーリF512M、ジャン・アレジもやはりロッソのF355にて現地入りするものの、残念なことにこれら二台のフェラーリは盗難にあってしまい、ゲルハルト・ベルガーは「自分のフェラーリが盗まれ、走り去ろうとしているその瞬間に」盗難の現場に到着したのだそう。
参考までに、サンマリノGPの決勝において、自分のフェラーリが盗まれたにもかかわらず、ジャン・アレジは2位、ゲルハルト・ベルガーは3位に入賞しているので、このあたりは「さすがプロフェッショナルF1ドライバー」だと感心させられますね。
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いったいなぜ28年後に盗難されたフェラーリが見つかったのか
そこで気になるのが「なぜ28年前に盗難されたゲルハルト・ベルガーのフェラーリがいま見つかったのか」。
その経緯としてはまず、2023年にこのフェラーリ512Mを米国人が(英国のブローカーから)購入し、その後なんらかの懸念が生じたのか(このあたりの経緯は明かされていない)英国メトロポリタン警察がこの車両を調べ、そこで「28年前に盗まれたゲルハルト・ベルガーのクルマである」ということが判明したもよう。
なお、盗難された後はずっと欧州で乗られていたわけではなく、過去には日本へと輸出されたこともあり、その後2023年末に英国へと持ち込まれ、そこから米国の顧客がこれを購入しようとした、という流れとなるようです。
もしかすると英国から米国へと輸出される際、税関がこの車両に違和感を感じて調査を行った可能性もありそうですが、メトロポリタン警察の組織車両犯罪対策課は4日を費やしてこのフェラーリF512Mを調べることになり、捜査を主導したマイク・ピルビーム氏は以下のように語ることに。
この調査は本当に骨の折れる作業で、(今までにこのフェラーリF512Mが輸出された)世界中の当局に連絡することも含まれます。 私たちは国家犯罪庁、フェラーリや国際的な自動車販売店などのパートナーと迅速に協力することで、この車両の背景をつきとめ、今回国外への流出を阻止することが可能となったのです。
現在捜査は継続中
メトロポリタン警察によれば現在もまだ捜査は継続しており、今のところ逮捕者は出ていないとのこと(英国のディーラーや米国の購入者も、このクルマが盗難車だと知らなかった可能性が高く、むしろ被害者なのかもしれない)。
ただ、随分前のことなので、当時直接盗難した人物を探し出すことは難しいのかもしれず、そして何より気になるのはこのフェラーリF512Mの「今後の行方」。
おそらくゲルハルト・ベルガーは(盗難による)保険金を受け取っているものと思われるので本人に返却されることはないと思われ、よってどこかの場面でオークションにかけられることになるのかも。
現在の仕様が当時のゲルハルト・ベルガーがオーダーした仕様そのものかどうかはわかりませんが、ステアリングホイールやシフトノブはMOMO製へと交換され、フロアマットはカロ製へ、そしておそらくシートは(標準の)タンレザーからこのレッドへと張り変えられているようですね。
ちなみにメトロポリタン警察は2023年に418台の車両を押収しており、そのうち326台は組織的犯罪に関連している、とのこと(この326台だけで約40億円ぶんの価値があるようだ)。
なお、このフェラーリF512Mはテスタロッサの最終バージョンという位置付けにて1994年に発売されていて、公的に「限定モデル」と宣言されていなかったものの、実際に販売対象となったのはフェラーリの中でも「限られたVIP客」のみだったとされ、フェラーリと付き合いの深い顧客であっても購入権が与えられなかったという話も聞かれます。
つまりはかなり「生産が絞られた」クルマであり、実際に製造されたのはわずか501台のみ。
中古市場そしてオークションにおいても高い注目度と人気を集めています。
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参照:Metropolitan Police, Motor1