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初代NSXをベースにした「NSXコンセプト」。なぜ多くのアーテストは現行NSXを無視して初代をモチーフに起用し続けるのか

| やはり現行NSXには、初代NSXのような「価値観の転換」を感じさせる何かが無い? |

さて、人気なのか不人気なのかよくわからないホンダNSX。

現行NSXは3モーターを採用するハイブリッド4WDというパッケージングを持っており、非常に先進的なテクノロジーを搭載しています。

ただ、先代の「ピュアさ」とは方向が異なるためか多くの人の興味を引くことが難しく、フェラーリやランボルギーニ、マクラーレンに対しては今ひとつ競争力を発揮できていない状態だと言えるかもしれません。

そこで一人のデザイナーが立ち上がった

そして今回、CGデザイナーであるJordan Rubinstein-Towler氏が「新型NSX」のレンダリングを作成していますが、面白いのは現行NSXをベースにせず、初代NSXをモチーフに次世代NSXを考えたこと。

このあたりは初代が神格化されカルト的な人気を博しているということが影響しているのだと思われ、たとえばスープラについても多くのアーティストが「現行」ではなく「80」世代をベースにしたレンダリングを作成するのによく似た状況であるとも考えられます。

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そのデザインは初代NSXとは直接の共通性が無いように思われるものの、リトラクタブル・ヘッドライト風のデザインを持つことが「初代風」。

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そしてそのヘッドライトは「通常時はボディカラー同色、発光時は表面が透明に」なるという構造を持っており、技術的に実現可能かどうかは別として、なかなかに面白い機構だと思います。

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サイドビューも「なんとなく」初代風。

もうちょっとルーフが低く、リアセクションのボリュームが大きければさらに初代風だったのかも。

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リアも初代をイメージした「ボディ一体型」風のウイングを持ちますが、このウイングはアクチュエーターによって昇降する仕組みを持つようです。

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NSXコンセプトの内装はこうなっている

こちらはNSXコンセプトのインテリア。

非常にシンプルなコクピットを持ち、デジタル式メーターに小ぶりのインフォテイメントシステムが与えられ、センターコンソールには最小限のスイッチ類が並ぶのみ。

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コンセプトCGにしてはかなり珍しい、「現実的」なインテリアだと思います。

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NSXコンセプトはこんな構造を持っている

そしてこちらはNSXコンセプトはコンセプトの車体構造。

カーボンファイバー製モノコックシャシーに金属製のサブフレームを備え、サスペンションはインボード式のダブルウィッシュボーン。

エンジンはリヤミッドに、そして初代NSX同様に「自然吸気エンジンを横置き」するという想定です。

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なお、初代ホンダNSは1989年に発表されていますが、「世の中のスポーツカーメーカーや、スーパーカーメーカーが認識を改めざるを得なくなった」画期的なスーパーカー。

その理由は主に「乗りやすさ」と「信頼性」にあると考えられていますが、当時のスーパーカーというと「乗りにくく、壊れやすい」シロモノであり、しかしホンダNSXは”緊張ではない、開放するスポーツだ”をキャッチコピーとして日常性をアピールしたわけですね。

これは「スポーツカーやスーパーカーは特定の目的のもとに作られたクルマであるからして、乗りにくくて当たり前。犠牲は仕方がない」という常識を覆すことになり、その後は多くのスーパーカーやスポーツカーがNSX同様の方向を向いたのは承知の通り。

そして新型(現行)ホンダNSXもまた、初代のように既存スーパーカーの「常識」を覆そうとした意欲作であるとは考えていて、そのために採用したのがハイブリッドシステム+4WD(SH-AWD)であると考えられます。

ただ、初代のようにスーパーカーの価値観におけるパラダイムシフトを引き起こせなかったのは残念な限りで、それはやはり「パフォーマンス」が既存スーパーカーを凌駕するものではなかったからなのかもしれません。

やはりスーパーカーには「数字」「パフォーマンス」が重要であり、それらがすべてを正当化するという傾向があるのもまた事実で、現行NSXははパフォーマンスが「ぶっちぎり」ではなかったために、ハイブリッドシステムや重量を正当化できなかったのだろう、と考えています(ここが”R35 GT-Rが、パフォーマンスをもって重量やパッケージングを正当化した”のとは異なる)。

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参照: Jordan Rubinstein-Towler

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