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マツダが「ロータリーエンジンの累計生産が200万基に達した」と発表。その誕生から現在までの歩みを見てみよう

マツダが「ロータリーエンジンの累計生産が200万基に達した」と発表。その誕生から現在までの歩みを見てみよう

| ロータリーエンジンの生産を再開して4ヶ月後に「累計生産200万基」を達成 |

そしておそらく、内燃機関が禁止されるまで、二度とロータリーエンジンの灯火が消えることはないだろう

さて、マツダが「累計200万基のロータリーエンジンを生産した」と発表。

マツダは唯一ロータリエンジンの市販化に成功した自動車メーカーであり、しかしロータリーエンジンそのものはマツダの発明ではなく、ドイツ人のフェリクス・バンケル(ヴァンケル)なる人物によるもので、バンケル社とNSU社によって1957年に(エンジン本体の)実用化がされています。

そしてマツダは1961年、このNSU社とバンケル社との技術提携によってロータリーエンジンの車両搭載に関する研究を進め、1967年にはじめてのロータリーエンジン搭載車としてコスモスポーツを発売することになるわけですね。

マツダの歩みはロータリーエンジンとともにあった

なお、マツダがなぜロータリーエンジンに目をつけたのかは定かではありませんが、1963年に当時のマツダの社長から「ロータリーエンジンの実用化」を命じられたのが故山本健一氏。

同氏は自身含め47人のチーム(「ロータリー47士」として知られる)にてロータリーエンジンの開発を進め、そして実用化にこぎつけたことから”ロータリーエンジンの父”とも呼ばれています。

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その後の「ロータリー年表」としては、1968年にファミリア ロータリークーペ、1969年にルーチェ ロータリークーペ、1970年にはカペラ・ロータリーシリーズ、1971年にはサバンナ、1972年にルーチェ・ロータリーシリーズといったぐあいに「毎年」ロータリーエンジン搭載車を発表しており、1973年には早くもロータリーエンジン生産50万台を達成。

さらに1974年には二代目カペラ/プロシード/パークウェイ ロータリー、1975年にはロードペーサー/2代目コスモ、1977年には3代目ルーチェ、1978年にはサバンナRX-7が登場し、同年にはロータリーエンジン累計生産100万台を記録することに。

1981年には3代目コスモ/4代目ルーチェ・ロータリーシリーズ、1985年には2代目サバンナRX-7を発売し、翌1986年にはロータリーエンジン累計生産150万台に達するとともに5代目ルーチェも発売。

1990年には4代目コスモ、3代目RX-7も登場し、1991年にはロータリーエンジンを搭載するレーシングカー「マツダ787B」にてル・マン24時間レースに挑み、日本の自動車メーカーとして初の総合優勝を成し遂げています。

2003年には最後のロータリーエンジン搭載車であるRX-8が登場するも、このRX-8は2012年6月に生産が終了し、ここで「ロータリーエンジンを直接の動力源とする」クルマの生命が尽きてしまいます。

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参考までにですが、RX-7(FD3S)に積まれるロータリーエンジン(13B-REW)までは職人による手作りで、しかしRX-8に搭載されるロータリーエンジン以降はオートメーションによって製造されている、とのこと。

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いったん、ロータリーエンジンの灯火は途絶えるが

その後、約10年の空白が空いたのちにレンジエクステンダー(発電機)としてロータリーエンジンが復活してMX-30 Rotary-EVに搭載され、同年10月にめでたく累計生産200万台を迎える、といった流れとなっています。

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こういった流れを見るに、一時期ロータリーエンジンの灯火は途絶えるものの、マツダのエンジニアたちの心からその情熱の炎が消えたわけではなく、「空白の10年間」においても、なんとかロータリーエンジンを復活させる方法がないかと継続して研究がなされていたということもわかりますね。

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そしてマツダはジャパンモビリティショーにおいても、「2ローター」ロータリーエンジンを搭載した「アイコニックSP」を発表し、今後もロータリーエンジンが存続してゆくことを示唆しており、マツダのDNAは(ロータリーエンジン誕生から数えて)数世代のエンジニアの手を経て進化を続けることになるのは間違いなさそうです。

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マツダ取締役専務執行役員 向井武司(むかい たけし)

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参照:MAZDA

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