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RAV4 PHVが人気すぎて発売一ヶ月で受注停止!受注再開の目処は立たず、なぜそんなに人気なのかを考えてみた

2020/06/30

| 「PEHV=高くてもいい製品」という考え方の浸透、そしてRAV4 PHVの場合は”我慢して乗るエコカー”ではなくガソリン車よりも性能がいいから? |

トヨタが6月8日に発売したばかりのニューモデル、RAV4 PHVの注文を一時停止、と発表。

RAV4 PHVの製品ページトップには「RAV4 PHVに搭載するバッテリーの生産能力を大幅に超える注文があるため」としており、注文再開については「今後の生産及び、来年度の税制状況を踏まえ」改めて案内を行う、とのこと。

よって現時点では「注文再開の目処が立っていない」ということになり、相当な人気を集めたということがわかります。

なお、RAV4は2019年4月に発売され、発売2ヶ月目には国内自動車登録ランキングにおいて7位にまで上り詰め、これはSUVとしては過去に例を見ない快挙。

ほぼ同時期に発売された、ホンダC-RVに大きく差をつけており、そのタフなルックスが高く評価されたのかもしれません。

参考までに、この「SUV最高位」は後にライズに抜かれることになりますが、このライズもやはりRAV4的ルックスを持っていて、これらのデザインが受けた、ということになりそうです。

RAV4 PHVはなぜそこまで人気が出たのか

なお、RAV4 PHVの目標月販台数は300台。

通常モデルのRAV4だと、コロナ前の2020年2月には5379台、コロナまっさかりの2020年5月では22382台が売れているので、この「300台」というのはけっこう低い数字だと思いますが、これはガソリンモデルの価格(X 2WDの2,656,500円から、G Z Package 4WDの3,410,000円まで)、ハイブリッドモデルの価格(HYBRID X 2WDの3,261,500円からHYBRID X E-Fourの3,514,500円)に比較してPHVモデルが高価(4,690,000円~5,390,000円)な設定を持つためだと思われます。

実際のところかなりな価格差があると言ってよく、RAV4ハイブリッドとRAV4 PHVのトップグレード同士では1,875,500円もの差があるということになります。

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それでもなぜ消費者がPHVを選んだのか、ということをここで考えてみましょう。

まず、プリウスにもPHVモデルが存在しますが、こちらはトヨタの以降に反してあまり売れているとはいい難いようで(売れているという報道はなく、しかし一時期のプロモーションの力の入れ具合から判断してですが)、しかしRAV4 PHVは人気化したわけですね。※先代プリウスにもPHVがあり、しかし売れなかったために現行プリウスPHVでは外観上の差別化を大きくするなど、価格納得性を高めている

たしかにRAV4 PHVは初期、そしてランニングコストが安い

燃費について、カタログ値だとRAV4ハイブリッドX E-FourはWLTCモードでリッター20.6km。

一方のRAV4 PHVについてはWLTCモードでリッター22.2kmなのでそう大きな差はない、と考えられます。

その差は10%程度なので、毎月2万円をガソリン代に割いている人であれば、それが(RAV4 PHVだと)18,000円になり、1年で24,000円、5年で12万円の差が出ることにはなりますが、とても車両価格をペイできるほどではない数字です。

次に税制優遇ですが、RAV4 PHV(Gグレードの場合)ではエコカー現在30,000円、環境性能割115,100円、グリーン化特例32,500円、CEV補助金(220,000円)を見込むことができ、これらの合計は397,600円。

一方、RAV4ハイブリッド(G)だとエコカー減税30,000円、環境性能割95,400円、グリーン化特例32,500円を期待できるので合計157,900円。

その差は239,700円なので、(車両本体価格の差額を埋めることはできないものの)数字としてはけっこう大きいように思います。※いずれのRAVとも、値引きはさほど期待できないと思われる

なお、売却時にどちらが有利になるのかは現時点では不明。

そのクルマについて「価格の安いグレード」と「価格の高いグレード」とで比較した場合、値落ち率、値落ち幅ともに「価格の高いグレード」のほうが(安い方に引っ張られて)大きくなる傾向があり、PHEVはバッテリー劣化も加味されるため、一般に買取価格が安くなる傾向があります。

ただし現在のRAV4 PHVの人気、そして多少劣化したとしても実用では問題のない大容量バッテリーを持つということを考慮すると、これまでの例を覆し、RAV4では「PHVのほうが高く売れる」かもしれませんね。

RAV4 PHVは高い走行性能と環境性能を両立している

両者の大きな違いは「走行性能」で、出力面だとRAV4ハイブリッドはガソリンエンジン178PSにフロントモーター120PS、リヤモーター54PS。※ただしそれぞれが同時に最高出力を出すわけではなく、システム合計での最高出力は222PS

RAV4 PHVだとガソリンエンジン177PS、フロントモーターが182PS、リヤモーターが54PS。

こちらのシステム合計出力は306PSとなり、0-100km/h加速は6.0秒を誇り、トヨタ86の8.2秒どころかポルシェ・マカンの6.5秒はもちろん、カイエンの6.2秒よりも速い驚愕の数字です。

一方で「モーターのみ」での走行となると、RAV4ハイブリッドは「毎日の運転が十分可能なレベル(数字は示されていない)」、RAV4 PHVでは「95km」。

現在、多くのPHEVのエレクトリックモードでの走行距離は60キロ程度であり、実際に北米市場においては「販売されるすべてのPHEVの中で」RAV4 PHVの走行距離が最も長い、とされています。

これまでのPHEVというと「ガソリン車に対して出力が低い、遅い」という印象があったものの、RAV4 PHVでは出力やパフォーマンス向上にためにハイブリッドを使用していることが(トヨタとしては)新しく、いうなればターボやスーパーチャージャーが乗っかったようなイメージ。

これによってハイブリッドへのイメージが180度変わったという人もいそうですが、RAV4 PHVについては「とにかく加速がスゴい」という報道が多く、なんだかんだ言って、そのクルマへの注目度を高めさせるには「エコ」よりも「パワー」なのかもしれません。

RAV4 PHVは質感が高い

そしてRAV4 PHVは、その価格の高さを正当化するためか、内外装に上質さをプラスしているということも特徴。

外装だとグロス仕上げのブラックを随所に配置しており、内装だと「力強さと上品さ」を演出した加飾がなされるほか、EVモード走行多用を考慮して防音や遮音対策を(通常のRAV4よりも)高め、ダッシュボードやフロアに対しても吸音材の使用範囲を拡大し、さらにショックアブソーバーの摩擦特性・減衰力特性を見直すことでコーナリング時の操縦安定性や乗り心地を改善したと紹介されています。

RAV4 PHVは災害時にも有用

そしてRAV4 PHVは大容量バッテリーを備えるため、「電源」としても活用ができ、トヨタによれば3日ぶんほどの電力を外部に供給できる、とのこと。

日本は災害が多く、この機能を(使うことは実際に稀だとしても)予防的に求める人も多いかもしれませんね。

なんだかんだ言って日本では最上位グレードが人気

色々と比較してみたものの、ハイブリッドとPHVとの差、PHVのメリットがどれほど消費者に伝わっているのかはわからず、どれほどの人が理解しているのかも謎。

もしかすると、日本では「いいものには高くてもお金を払う」という傾向があり、これまでの新型車についても売れ筋は上位モデルに集中しているため、RAV4 PHVについても「一番いいRAV4」ということで人気化しているだけなのかも。

ただ、プリウスでは売れなかったPHVがRAV4では人気化しているというのは紛れもない事実であり、トヨタの啓蒙活動によって「PHV=価格に見合う良さがある」ということが周知され、人々の理解度が進んでいること、PHEVが市民権を獲得しつつあることもひとつのファクトだとも考えられます。

こうやって時代は少しづつ変わってゆくということになりますが、もうちょっとすれば「高くてもEVを買う」という認識が定着するのかもしれませんね。

そして何よりも大きいのは、PHEV=なにかを我慢して乗らねばならないエコカーという認識をRAV4 PHVが覆したこと。

ガソリン車以上のパワーや走行性能、ガソリン車では得られない快適性を持つに至ったことが大きく、「PHEVこそが、走行性能や快適性、環境性能などすべての面において、現時点でもっとも優れたクルマ」という衝撃を世に与えたことがヒットの理由なのかもしれません。

参照:TOYOTA

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