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ヒュンダイ・キアが「電子式クラッチ」を持つMTを開発!これはもしかすると革命か?

2020/06/30

| 欧州の特殊事情を考慮するに、大きなインパクトとなりうるかも |

さて、ヒュンダイ傘下のキアが「クラッチバイワイヤ」技術を使用したマニュアルギアボックスを開発し、その内容を公開(開発そのものはヒュンダイ自動車の欧州術開発拠点で行われている)。

この「なんとかバイワイヤ」というのは、物理的構造にてデバイス同士がつながっているわけではなく、電気的にのみデバイスが接続されている状態を指し、たとえば「ステアリングバイワイヤ」だと、ステアリングホイールにつながるシャフトがステアリングラックに連結され、操作とともにピニオングアでもってタイヤを左右に動かすのではなく、「ステアリングホイールはゲームのコントローラー(ハンコン)と一緒で、シャフトにもステアリングラックにもつながっておらず、単なる(センサーを伴った)スイッチ」ということですね。

クラッチバイワイヤは「燃費向上のため」

よって、クラッチバイワイヤの場合も、クラッチペダルがレリーズフォークにつながっていて、これを踏むと物理的にクラッチが切り離されるのではなく、「クラッチという名のスイッチを踏むと、電気信号が流れてアクチュエーターがクラッチを切り離す」ということに。

そして今回、キアがこれを開発した理由としては「燃費向上」のためとしており、残念ながら「スポーツカーに搭載する」というわけではなさそうです。

端的に言うと、「アイドリングストップよりも、エンジンが停止している時間を長くする」ことで燃料消費を抑えるということになりますが、ロジックとしては、ギアが入っている状態にてコースティング(アクセルペダルを離しての空走)に入るとエンジンが停止し、もう一度アクセルを踏み込んだり、シフトチェンジをしようとクラッチを踏んだ際にエンジンが再始動するという仕組みのようですね。

Kia-Gearbox-1

ATやデュアルクラッチでもこれは再現できそうではあるものの、「再始動した際のギアの選択」が難しく、よってここは「人による適切な判断がないと」走行中のエンジン停止ができないのかもしれません(走行中にクラッチを自動で切り離すということについては、すでにアウディはじめいくつかのメーカーが取り入れているが、エンジンまでは停止しない)。

なお、このクラッチバイワイヤはマイルドハイブリッドとの併用が前提であり、エンジンが再始動してから「適切な速度を発揮できる回転数に達するまで」エレクトリックモーターがアシストするというロジックを持つ模様(でないと急激に速度が落ちたり、加速できなかったりして危険な状態を作ってしまう)。

名付けてiMT

そしてこのキアが考案したシステムは「iMT」と名付けられており、キアいわく「トルコン式ATやデュアルクラッチは多くのドライバーにマッチすることだろう。しかし欧州では多くのドライバーがMTを好む」とのこと。

この傾向はエレクトリック化されたクルマにおいても変わらないとキアは見ており、今後「ハイブリッドが主流」となるであろう自動車業界において、他社が持ち得ない「ハイブリッドのMT」をラインアップすることで優位に立とうということなのでしょうね。

なお、欧州のMT比率は85%程度と言われ、その理由として、プジョーによると「欧州ではガソリン価格が高く、小排気量エンジンが多いため」、燃費に優れ、よりエンジンの性能を引き出せるMTが好まれてきたという土壌があるそうですが、現代ではMTよりも燃費の良いATもたくさん存在するので、いまだ欧州の人々は「MTのほうが燃費がいい」と頑なに信じているか、もしくは「運転する楽しさ」のほうを重視しているのかも。

Kia-Gearbox-3

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ちなみにこぼれ話だと、「欧州駐在員の妻の苦労」として、現地で安い中古車を購入しようと思うとMTしかほぼ選択肢がなく、非常に苦労している、という事情を聞いたこともあります。※日本ではMT比率が90%を超えるので、MTを運転したことがない人も多い

そしてやっと探してゲットした「ATの中古車」は、その駐在員が帰国する際、新たにやって来る駐在員の妻に受け継がれてゆくことになるそうで、つまりはそれほど「MTが圧倒的(ATを探すのが難しいほど)」なのかも。

こういった状況において、キアおよびヒュンダイが「クラッチバイワイヤ」を開発したのは大きな意義があるのかもしれず、もしかすると大きな話題を呼び、追随するメーカーも出てくるかもしれませんね。

参考までに、フォルクスワーゲンが以前に発表した「ゴルフR400コンセプト」は、「そのほうが楽しいから」という理由にて、DSGなのにMT操作ができるHパターンシフトを採用しています(ただしこちらはクラッチペダルはない)。

そのほか、シボレーも「クラッチバイワイヤ」の特許を出願していて、同様のことを考えているメーカーも既にいくつかは存在するようですね。

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