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【試乗:VW アルテオン〜後編】コスパだけじゃない。走行性能や快適性、その実力は相当なものだ

2018/01/15

| ブランド間のヒエラルキーを崩しかねない”アウディイーター” |

フォルクスワーゲン・アルテオンの試乗レビュー「後編」。
前編ではアルテオンの基本的な性質やスペック、外装デザインについて触れましたが、ここまで「筋肉質」と言う表現が似合う車もそうそうない、と考えています。
直線をプレスラインで表現し、それにハリのある面を加えることでこれまでにない立体感を表現しているように思われ、それに金属調の加飾も加わり、スポーティーさ、躍動感、上品さなど様々な要素を備えた車だと言えそう。

二度見するほど美しい車

とにかくその佇まいというか強烈なオーラはこれまでのフォルクスワーゲンにないもので、道路ですれ違ったとしても「え?今の車なに?」と振り返りそうな美しさ、そしてインパクトがある、と思います。

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フォルクスワーゲン・アルテオンの内装を見てみよう

インテリアに関しても上位ブランド、アウディ譲りの高品質パーツのオンパレード。
メーターはアウディの「バーチャルコクピット」、そしてペダルもアウディと同じもの。

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レザーシートには独特のパターンがステッチにて施され、カーボン調クロスも採用。
メモリー機能もついており、運転席にはマッサージ機能まで内蔵されています。

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インフォテイメントシステムは最新のタッチ式"Discover Pro"。
エアコン吹き出し口はトリムと同化するようにデザインされ、フロントグリルと同じように「横方向のルーバー」にてワイドさが強調されたデザイン(新型ポルシェ・パナメーラもそうですが、エアコン吹き出し口を隠すのは最近のフォルクスワーゲン・アウディグループのトレンドである模様)。
全体的にエッジが強調されたパーツが与えられており、それらがソリッドでスマートな印象を醸し出しているようですね。

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アンビエントランプも前席から後席まで。発光色はブルー、イエロー、ホワイトから選択可能。
後席も広々!

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フォルクスワーゲン・アルテオンで走ってみよう

室内に乗り込んでまず感じるのは見晴らしの良さ。
ダッシュボードが低く、サイドのベルトラインも低いので見晴らしは抜群。
新形状のドアミラー越しの後方視界も良く、全方位にわたってかなり死角が少ないという印象です(ドアミラーは結構大きいものの、これが視界を邪魔することはない)。

ドライビングポジションも決まりやすく、ステアリングホイールやペダルレイアウトもかなり良好。
ここで驚くのはステアリングホイールに使用されるレザーの質感で、「手に吸い付くような」なめらかさ。
この価格帯でこの質感を持つ車はなかなかなく、これは現行世代のゴルフにも通じる部分ですね。

なお、フォルクスワーゲンCEOが「手に触れる部分」についてかなりのこだわりを見せていると聞いたことがあり、他メーカー車に採用されるウインカーレバーのタッチまでもチェックし、それを超える操作感を自社の車に与えるべく関係者に指示を行なっている、とも言われます。

キーは「スマートキー」化されており、新形状へ。
エンジンスタートはアウディと同様にセンターコンソール上のプッシュボタンを押して行いますが、エンジン始動時の静かさは特筆もの。
ぼくのアウディTT(8S)と同じMQBプラットフォームそして2リッターエンジンを持つはずですが、全く異なるレベルの静粛性を持っているのには驚きです。

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操作系は基本的にアウディと同じで、セレクターレバーをDレンジに入れて電気式パーキングブレーキを解除しアルテオンの試乗スタート。
ここでも驚かされるのは7速DSGの滑らかさで、ステアリングホイールの手触り同様、「まさにスムーズ」。

アルテオンの足回りは?

さらに驚くのは足回りのしなやかさ、そして乗り心地の良さ。
これもステアリングホイールと同じく「吸い付くような」印象があり、むしろ段差を越えるのが楽しくなるほどのしなやかさ(この段差を越える時はどういった動きをするんだろう、と期待したくなる)。

それでいて「柔らかすぎる」と感じることはなく、ホイールサイズが20インチということを考えると「どうやってこんな素晴らしいセッティングを出したんだろうな」と不思議になるくらいですね。

実際にカーブを曲がったとしても気になるようなロールは見せず、レーンチェンジを行ってもそのロールがすっと収まり、まるで何語もなかったかのような所作を見せてくれます。

アルテオンのブレーキは?

ブレーキについては初期はマイルド、踏み込んでゆくとしっかり効くという感じ。
よってストップ&ゴーの多い街中でも安心してブレーキを踏むことができ(ピッチングも抑えられていてフラットライド)、しかし止めたいときには止めたいところでピタリと止まる、という印象です。

余談ですがホイールのカラーが「マットグレー」なので、ブレーキダストは目立たないかもしれません。



アルテオンのハンドリングは?

アルテオンのサスペンションはフロントがマクファーソン・ストラット、リアが4リンク式。
フォルクスワーゲンはじめアウディでも多く採用される形式で、かなり熟成が進んだもの。
横方向の剛性が高く、コーナリング中の安定感は抜群だと言えます。

ホイールベースが2835ミリと長いために挙動がマイルドで、しかしハルデックス5の持つとトルクベクタリングによって加速やコーナリングには最適なトルク配分が行われており、ダルい印象は全くなし。
ステアリングについても可変レシオを持つ「プログレッシブステアリング」が採用されているため、「ぐるぐるステアリングホイールを回さなくても」狭い道を曲がったり簡単に駐車することができます。

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アルテオンの加速は?

何と言ってもエンジン出力は280馬力、しかも4WDシステム”4MOTION”を持つために不満など出るはずもなく、通常の走行ではまず満足できるレベル(ぼくのアウディTTでも240馬力に満たない)。

なおお馴染み「ドライブモード」も備えているので、これを「スポーツ」に設定すればかなり高回転までシフトチェンジを行わない設定となり、合わせてダンパーの特性、ステアリングホイールの「重さ」も変化し、状況に応じた使い方も可能となっています(ゴルフRとは異なり、エキゾーストサウンドまでは変化しない模様)。

正直どうなのフォルクスワーゲン・アルテオン

デザイン性に優れ、筋肉質かつ知的で上品な印象も受けるアルテオン。
実際に乗ってみてもそれは同じで、手に触れる部分、加速したり減速したりカーブを曲がってみた印象もやはり「筋肉質で知的」。
見た目と実際の印象とがこれほどマッチする車も他にないと思える一台で、その見た目に惚れたのならば、その「性格」も見た目通りなので、まず買って間違いのない一台。

実際にアルテオンを見て試乗してみても「すごいなこの車」という感想しかないのが事実であり、アウディTTと同じプラットフォームと足回りやエンジンを持ち、しかもパワフル。
ステアリングも可変レシオを持っていて、トルクスプリット式フルタイム4WD、可変ダンパー、電制デフロックが与えられ、さらには7速DSG搭載にて燃費は公称値で13.3km/L。

インテリアだと9.2インチサイズのタッチ式インフォテイメントシステム、バーチャルコクピット(デジタルメータークラスター)、LEDヘッドライト、シーケンシャルLEDウインカー、快適なレザーシートを装備し、アンビエントライトまで。

安全装備では渋滞追従支援システム、アダプティブクルーズコントロール、レーンキーピングアシスト、レーンチェンジアシスト、リヤトラフィックアラート、パークディスタンスコントロール、プリクラッシュブレーキシステム、ダイナミックコーナリングライトなどなど。

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およそ「現時点で考えうる走行性能向上や快適性向上、安全性向上のための装備は「全部」入っていると言ってよく、同グループのアウディ含め、メルセデス・ベンツ、BMWであれば「この価格でこの装備」は絶対にありえないという設定となっています(これ以上何を望もうか、というレベル)。

とにかく「お買い得」感の強い車ですが、唯一の懸念は「フォルクスワーゲン」である、ということ。
コストパフォーマンスはずば抜けている車ではあるものの、フォルクスワーゲンにしては高価であることは間違いなく、そしてそのブランドイメージに対してその対価を支払うことに抵抗がある人も多そう。
ディーラーさんの話だと実際に「この(VWの)エンブレム他のに変えられんの?」という人も多いそうで、これを気にするのはぼくだけではなさそうです(それをフォルクスワーゲンも理解しているからこそ、この価格設定なのだと思う)。

ただ、アルテオンは「割安」なだけの車ではなく、その走行性能や快適性も非常に高いレベルにあり、正直「自分のTTもアルテオンと同じレベルの走行性能や快適性を備えていたらよかったのに」と思うほど。
それほどまでに衝撃的な車であることは間違いなく、久々に大きな衝撃を受けた車であるのは間違いありません。

他の画像はFacebookのアルバム上に公開しています。

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