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ロレックスが自社で「認定中古腕時計」を販売すると発表!おそらくは中古相場の高値安定化、長期的な価値の向上を狙うものと思われ「買いやすくなるわけではない」と推測

ロレックス・デイトナ

| 現在のプレミアムブランドのトレンドに照らし合わせると、これは「当然」の成り行きだとも考えられる |

当面は大きな混乱は見られず、徐々に市場価格が変化するものと思われる

さて、ロレックスが突如「認定中古腕時計の販売を行う」と発表。

これはロレックスが公式にプレスリリースとして公開したもので、ロレックスによれば、「正規販売店にて、正規品として保証された中古ロレックスを販売する機会を提供し、これらの腕時計は、ロレックスのすべての製品に固有の厳格な品質基準と、ロレックスのネットワークで再販された日から有効な2年間の国際保証を受けることができる」とのこと。

現時点では具体的な展開について触れられておらず、ロレックス正規店の店舗内にて「中古のロレックス」を販売するのか、それとも中古専門の独立した店舗を展開するのかについても不明です(おそらくは前者だと思われる)。

ロレックスによる中古腕時計販売の概要はこうなっている

そこで今回ロレックスが発表した内容をざっとまとめてみると下記の通り。

  • ロレックスの腕時計は非常に高い耐久性を持つように設計・製造されているため、複数オーナーの手に渡ることがしばしばある。よって今後、ロレックスの正規販売店は、本物であることが証明され、新たに2年間の国際保証が付いた中古モデルを販売することができるようになる。
  • ロレックス認定中古時計は、まず6カ国(スイス、オーストリア、ドイツ、フランス、デンマーク、イギリス)のロレックス・ブティックにて2022年12月初旬から販売される。このプログラムに参加することを選択した他のロレックス正規販売店は、2023年春から同様に、中古のロレックスを販売できるようになる。
  • この新プログラムは、ロレックスが自ら認定・保証した中古時計を購入することを可能とするもので、その目的は、既存のロレックス中古時計に付加価値を与えることにある。

ロレックスは自社の腕時計の価値を永続的に上げてゆきたい

こういった内容を見るに、今回の「ロレックスが直接、中古市場に参入する」目的につき、ロレックス製品の中古市場の高値安定化、そして継続的に相場を上昇させることによりロレックスブランドの価値を上げ、「新品の」ロレックスをより高く売る環境を作ることにあるものと思われます。

これはパテック フィリップが「自社の過去の腕時計をオークションにて高額落札し、高値相場を自ら作り出す」「オーデマピゲが中古市場に参入し、中古相場の底上げを行っている」のと同様の動きだと考えていいのかもしれません。

つまり、ロレックス自らが中古腕時計の販売を開始し始めたからといって「ロレックスの腕時計を入手しやすくなる」わけでも「中古ロレックスの相場が下がる」わけでもなく、むしろロレックス自らが「保証した」中古ロレックスを市場よりも数段高い価格で販売し、それにつられてほかの(正規店による販売ではない)二次流通ロレックスの価格も引き上げられることになるので、消費者としてはあまりいい話ではないかもしれません(ただ、品質が担保されたロレックスを安心して購入できる機会が増えるということ、長期的に見るとロレックスがその価値を上げていってくれるので、将来的な売却時には高値で売れるであろうことはメリットとなる)。

ロレックスGMTマスター

自動車業界で言えばレクサスやフェラーリの行動がこれに近く、自社にて中古車を買い取り、質の良い中古車を高い価格で再販することでブランド価値を上げ、それによって新車を高く売ることができるようになり、しかし消費者は「レクサスやフェラーリは高く売れるので、新車が高くとも買って損はない」という認識を持つようになるわけですね。

そしてランボルギーニやブガッティもこの流れに乗っていますが、中古相場の高値安定化はブランド価値を上げるにはもっとも効果的だと多くのブランドが考え、それに取り組み始めていることもわかります。

ブガッティ
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ロレックスは中古相場の暴落を防ぎたい

そして、もうひとつ考えられるこの”プログラムの目的”としては「暴落の防止」があるんじゃないかと考えていますが、ロレックスは、パテック フィリップやオーデマピゲ、ヴァシュロン コンスタンタン等に比較すると、文字通り「桁違い」の本数を生産していて、現在希少価値を担保することがやや難しくなっています。

そうなると懸念されるのが「欲しい人に行き渡ってしまい、需要と供給のバランスが崩れること」。

ロレックスはこれを非常に恐れているように見え、そして市場でも「ロレックスバブルの崩壊」があちこちでささやかれるようなっていて、しかし自社で相場をコントロールできるようになれば、こういった暴落も防げるわけですね。

その手法としては、ロレックス本社が、このプログラムに参加する正規販売店に対して「最低販売価格の厳守」を徹底させるものと考えられ、これができれば一定以上の価格より安く売られることがなくなります(そして、最低販売価格を上げてゆくことで高値相場を形成できる)。

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ただ、正規販売店としては「需要よりも高い価格で売る」イコール長期在庫化を意味するので、販売店によってはこれをリスクだと捉え、中古販売プログラムへの参加を行わない例もあるかもしれません。

さらに、ロレックスは人気モデルの「柱」を増やそうとしているようにも見え、そのために次々とニューモデルを発表し、例えば「レフティ」の追加など、新しい人気モデルを育てようとしている印象も(既存人気モデルのカラバリ追加、ブレスレット違いの追加も同じ理由だと思われる)。

つまりロレックスはプレミア価格で販売されるモデルを増やしたいと考えているはずで、そして自社で中古相場をコントロールできるのであれば、市場の人気に関係なく特定モデルの中古価格を高値に設定すること(プライス・キーピング・オペレーション)も可能となり、これによって「高プレミアモデル」を意図的に作り出すことも可能となります。

よって今回の「ロレックスが中古腕時計に参入」については、「ロレックスが、ロレックス相場を牛耳り、自在にコントロールするため」の第一歩だとしか考えられないわけですね(当然だが、ロレックスは消費者よりも、自社の利益を優先している)。

長期的には「得」だと考えるしかないだろう

ただ、上述の通り、長期的には「手に入れたロレックスの価値が上がるので」ぼくら消費者にとってもある程度のメリットがあると捉えるしかなく、今後の成り行きについては市場の動向を見守りたいところ。

なお、巷の(ロレックス正規店ではない)腕時計ショップにとって、今回の発表は「いい話」だとも考えていて、つまりロレックスが勝手に中古腕時計を高く売ってくれるので、その他のショップは「ロレックスの認定中古よりもちょっと安く」販売すればホイホイと中古ロレックスが売れる、ということに。

ロレックス・ヨットマスター

加えて、認定中古ロレックスとして販売するにはそれなりのコストがかかるので、仮にロレックスが「買い取り」を行うとしてもそれは高値とはなりえず、よって腕時計ショップは買い取りにも困らない(いい値段を提示できれば、どれだけでもロレックス正規販売店の買い取りを差し置いて買い取れる)と考えていて、これはまさにレクサスの中古車事情と同じだと言えるかもしれません。

ロレックス発行のプレスリリースに戻ると、その中でロレックスは自社の哲学について下記のように述べています。

ロレックスは、常々自社製品の耐久性を提唱しており、妥協のない品質基準のおかげで、可能な限り長寿命の時計を製造することに成功しています。

そのため、ロレックスは、すでに市場に流通している時計のセカンドライフに寄り添い、既存のものを保存、維持、保証してゆきたいと考えました。このアプローチは、卓越性の絶え間ない追求と次世代への長期的なコミットメントという、”パーペチュアル”哲学に沿ったものです。

これらの認定中古時計はまた、顧客にロレックスの世界の一部となる具体的かつ直接的な機会を提供するものであり、具体的には、ロレックス認定中古時計プログラムは、3年以上経過したロレックスの中古時計が、ロレックス認定中古時計プレート(看板)を掲げた正規販売店によって再販される際に、本物かつ真正であることを証明します。

ロレックス認定中古時計は、ロレックスのすべての製品に固有の品質基準と、ロレックスの世界的な専門家ネットワークによるノウハウとプロフェッショナリズムの恩恵を受けることを保証するものです。

ロレックス認定腕時計には「シール」が付与され、これはロレックスの認定中古品としてのステータスを象徴しています。

販売時に渡されるロレックス認定中古品保証書は、その時計が本物であることを公式に確認し、その正常な機能を保証するもので、このカードには "Certified Pre-Owned "の文字があり、正式な証明書として機能します。

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参照:Rolex

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