| 次期メルセデス・ベンツSLCは急速にその必要性が失われつつある |
メルセデス・ベンツSLC(旧SLK)の後継モデルはやっぱり無い、という可能性が濃厚に。
これはメルセデス・ベンツのボス、ディーター・ツェッツェCEOが「次期SLCが実現する可能性は限りなく薄い」と語ったことが報じられたことに端を発しますが、これまでにも何度か「次期SLCはおそらく無い」という話題が出ていたため、さほど驚きを感じないのが現状でもあります。
中国で売れないクルマはもう必要ではない
なお、ディーター・ツェッツェCEOが述べた内容としては「SLCのようなスペシャルティカーは我々のプロダクト・ポートフォリオの中において、その存在感を急激に失っている」というもので、さらに「特に中国においては、誰もそのような車には興味を示さない」と断じています。
たしかに中国においてはスポーツクーペの人気が「異常に」低く、逆に人気があるのはセダンとSUV。
これは価格帯こそ異なれどベントレーも同様の見解を示しており、「中国の富裕層はスポーツに興味はなく、よってスポーティーな車に興味を持たない」としており、高級志向が強いこと、安楽な車が好まれることから「スポーツカー撤退」という結論へ至った模様。
なお、中国でスポーツクーペの人気がないのには民族性よりも「価格」の問題があるとぼくは考えていて、というのは「中国では現在スポーツクーペが売れないため、中国で生産できず、よって欧州など本国で生産して中国へと輸出しているので、中国での価格が(関税や輸送費のため)高くなる」というもの。
たとえばメルセデス・ベンツだと、よく中国で売れるC/Eクラスは現地生産を行なっていて、となると関税の影響を受けず「安く」売れるものの、SLCのようなスポーツモデルは販売量が期待できないので現地生産を行えず、かなり高価に。
よって中国では「SLCの価格がCクラスの3倍くらい」という現象が生じることになり、となると「買う気すら起きない」ということになります。
よって、売れないから現地生産できない→現地生産できないから高くなる→高くなると誰も買わないという負のスパイラルが生じることに。
これはアウディやBMWでも同じ状況であり、さらにオープンモデルについてはもっと中国で人気はなく、よってアウディも「次期TTロードスターは無い」と言われていて、同じジャーマンスリーの一角をなすBMWは新型Z4の開発コストを吸収することができないと判断して「トヨタ・スープラとの共同開発を行うことでコストを抑える」という手段に出ているわけですね。
とくにメルセデス・ベンツについては「中国寄り」の姿勢が明確になっており、たとえば「マイバッハ・アルティメイト・ラグジュアリー・コンセプト」は中国で人気のあるセダンとSUVとを融合させたもので、車内には「茶器」が装備されるなど完全に中国向け。
しかもメルセデス・ベンツは大株主が中国人となってしまったので、今後はさらに「ルック中国」の姿勢が強くなりそうです。