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シボレーのエンジニア「ミドシップ化できるチャンスを待つのに54年かかった」。なおC8コルベットの価格は30%増しの見込み

2018/10/13

| コルベットのエンジニア達が語る、ミドシップ化の裏事情 |

新型コルベット(C8)がミドシップ化されるのは周知の事実ですが、これには「ZORA(ゾラ/ゾーラ)」というペットネームが与えられる可能性が大。
そしてこのZORAというのは初代コルベットの主任エンジニアであった「Zora Arkus-Duntov(ゾラ・アンカス・ダントフ)」氏に由来。

同氏はコルベットのパフォーマンスアップに心血を注ぎ、1964年の時点でミドシップコルベットの試作車「XP-819」を作成(XPはエクスペリメンタルの略で、テスト用の車両によく用いられるコードネーム)しています。

しかしながら当時は市販化には至らず、しかし現代にそれを蘇らせるにあたり、「ZORA」の名を用いるのはごく自然な流れだと言えそうですが、1964年の「ミドシップコルベット」の存在を記憶し、かつこの決断を行ったシボレーには喝采を送りたいところ。

コルベットがミドシップ化するまでに54年

ただ、ミドシップコルベットの計画が出た1964年から数えると、今に到るまでに過ぎた年月はなんと54年。

なぜここまで時間がかかったのについて、ハガーティがコルベットの前エンジニア3名にインタビューを敢行。
この3名はデイブ・マクルーラン氏、デイブ・ヒル氏、トム・ウォレス氏ですが、この3名によると主に2つの理由からミドシップ化が見送られてきており、ひとつは「従来の顧客が重要であり、変化を恐れたから」、そしてもうひとつは「高価になりすぎるから」。

前者は言うまでもありませんが、コルベットというとフロントに大きなエンジンを積んだロングノーズ・ショートデッキのスタイルが特徴的であり、これが欧州のスーパースポーツとの明確な相違であったと思います。
そこには「流れに与しない」というコルベットの強気の姿勢も感じられ、そこがまたコルベットファンの矜持が保たれてきた部分なのかもしれませんね。

よってぼくは、コルベットがミドシップに移行するということについては、「ついにコルベットも世界的な流れに乗る、もしくは流されてしまった」というマインド的なネガティブインパクトがあるんじゃないか、とも考えています(コルベットのフロントエンジンは、アメリカの独立精神の象徴であるような気もしている)。

そしてもうひとつの価格については、ミドシップカーを一から設計すると、とんでもなくコストがかかり、結局それは市販価格に跳ね返る、というもの。
よって上述のエンジニア達は「ミドシップ版コルベットは相当に高価になる」という見解も示しています。

なお、新型(C8)コルベット発売後もC7コルベットは継続して販売されると言われ、これについてぼくは「ミドシップコルベットが失敗した時の保険」だと考えていましたが、C8コルベットが非常に高価になるとすると、C7コルベットも売らないと「販売台数を稼げない」ということにもなりそうですね。

同インタビューでは、新型コルベットの価格は7万ドル〜10万ドルくらいになると語られており、現行C7コルベットの価格が56,445ドルからなので、およそ30%ほど現行より高くなる、という計算になります。

コルベットをミドシップ化するチャンスは「今しかない」

今回コルベットをミドシップ化するという経緯について、おそらくはコルベットのパフォーマンスがフロントエンジンというレイアウトに起因する「限界」に達しつつあること、エレクトリック化の波によってプラットフォーム新設計が要求されるタイミングであること、そしておそらくはGMの資金的に余裕が出てきたこと等、すべての条件が揃ったのが「今」なのかもしれません。

そして3名のエンジニア達は、「シボレー(GM)がコルベットのミドシップ化を決断した意味は非常に大きく、人生に一度あるかないか、というくらいの大きな英断だ」と語っており、エンジニア達にとっても大きな驚きであったようですが、今回「ZORA」という名が与えられたことを考えると、シボレーはこの54年間「ずっと」ミドシップ化できるチャンスを狙っていた、つまり悲願であったとも考えられます。

VIA:HAGARTY

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