
Image:Porsche
| EV+PHEVの合計で前年同期比+14.5ポイント。完全電動版「マカン」が成長を牽引 |
やはり中国市場の大幅な減少が「足かせ」に
ポルシェは2025年上半期(1月〜6月)に世界で146,391台を納車し、そのうち36.1%(前年同期比+14.5ポイント)が電動化モデル(EVまたはPHEV)になったと発表。
このうち23.5%が完全EV、12.6%がPHEVという内訳で、電動化が加速していることが見て取れますが、特に新型EVマカンが販売全体をけん引し、ブランド初の半期最多EV納車台数を記録したことについてもアナウンスがなされています。
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モデル別販売:マカンが最量販、911は一時的な減少
そしてまず以下がモデルごとの「販売内訳」。
タイカンや718シリーズの落ち込みは、モデル末期やEUのサイバーセキュリティ規制による影響だとされており、911もモデルチェンジ時期の関係で一時的に数字が落ちている、と説明がなされています。
- マカン:45,137台(+15%)
→うちEV版が25,884台(約60%) - パナメーラ:14,975台(+13%)
- 911:25,608台(−9%)
- 718シリーズ:10,496台(−12%)
- タイカン:8,302台(−6%)
- カイエン:41,873台(−23%)
地域別:北米と新興国が過去最高を更新
一方こちらは「地域別」。
欧州と中国の販売減は、2023年の反動や中国市場の競争激化が原因とされ、しかしポルシェは「中国については、価格でライバルに対抗するのではなく、バリュー重視(量より価値)」の戦略を継続するとコメントしており、販売台数が落ち込んだとしても利益率をキープする考え方を示しています。
- 北米:43,577台(+10%) →過去最高記録を更新
- 新興市場(中東・南米など):30,158台(+10%) →こちらも過去最高
- 欧州(独除く):35,381台(−8%)
- ドイツ:15,973台(−23%)
- 中国:21,302台(−28%)
- 日本:4,676台(+18.5%)
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電動化戦略は今後も加速へ
ポルシェAGの営業・マーケティング担当役員、マティアス・ベッカー氏は以下のように述べていますが、このマカン・エレクトリックの人気は「電気自動車が売れずに困っていた」ポルシェを勇気づけるに十分なもので、しかしこれが「一時的なものかどうか」には注意が必要なのかもしれません。
「完全電動マカンは、電動化率の向上に大きく貢献しました。今後もパワートレインや装備の多様性を通じて、各市場の多様なニーズに応えます。」
いずれにせよ、ポルシェは今後も、カイエンはじめEVモデルのさらなる拡充とともに「911の電動化」「次世代タイカン」「718後継車」など注目の新型車が控えており、2025年下半期以降、これらの動き次第では販売台数のV字回復も十分に見込める可能性もありそうですね。
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