2017-2018年は「新SUV元年」だった
ロールスロイスは「ブランド初」のSUVとなるカリナンを発売していますが、この反響は凄まじく、「生産が全く追いつかない」とのこと。
ロールスロイスはすでに2018年の販売が過去最高(4,107台)であったこと、そして需要に対応するために従業員を200名増員し、その数も過去最多となったことを報告していますが、それでもまだ「生産キャパシティが足りない」ようですね。
SUVの有無が今後の勢力図を決定する
なお、ここ最近で「ブランド初」SUVを発売したのは2017年のベントレー「ベンテイガ」、アルファロメオ「ステルヴィオ」、マセラティ「レヴァンテ」、そして2018年のランボルギーニ「ウルス」にロールスロイス「カリナン」。
いずれのSUVも大きな成功を収めるもしくは多大な受注を獲得しており、これほどまでにSUVを求める人が多かったのかと驚かされることに。
とくにマセラティ、アルファロメオはSUVを発売していなければかなり「ヤバい」状況となっていたはずで、まさにSUVは”救世主”。
カリナンはロールスロイスを一気に若返らせる
ロールスロイスにとってもそれは同じだと思われ、というのもカリナンの顧客の多くは若者と女性だと今回報道されていて、つまりこれまでロールスロイスの中心ではなかった人々。
ブランドを永続させるには「若返り」が必要ですが、これができなければ従来の客層とともにブランドは「老朽化」してしまうわけですね。
そういった意味でカリナンは現在の売上を確保するだけではなく、ロールスロイスの将来を担保するクルマだと言え、その名称の由来である「世界最大のダイヤモンド」が示すように、ロールスロイスは「大きなダイヤを掘り当てた」と考えて良さそう。
さらにカリナンは従来のロールスロイスオーナーが「買い増し」する傾向も強く、あらゆる面でロールスロイスの「計算通り」なのでしょうね。
ロールスロイス・カリナンの購入者はカスタム意欲が旺盛
なお、ロールスロイス・カリナンを購入する顧客は「100%カスタム(オーダーメイド)」しているとアナウンスされていますが、これも今後ロールスロイスの利益を押し上げる一因。
ロールスロイスのオプション群は非常に豊富で、しかしそれらは単にカラーや素材の変更といったものではなく、「湿度調整機能付きの葉巻ケース」「シャンパンクーラー」「グラスホルダー」「ピクニックセット」などライフスタイルを彩るものばかり。
そしてこういった「心を豊かにする」オプションを選ぶ人はお金に糸目をつけない傾向があり、同時にその要望もハイレベル。
ロールスロイスとしてはそのハイレベルな(場合によっては経験したことがない)カスタムの要求に答える必要があり、それもまたひとつの「チャレンジ」だと思われ、顧客とともに成長するというのもまた理想的な企業のあり方なのかもしれません。
ロールスロイス・カリナンはこんなクルマだった
先日ロールスロイス・カリナンに試乗する機会があり、すでに試乗レポートを公開していますが、一言で言えば「これは売れるわ・・・」という感じ。
乗り心地はよく言われる「魔法のじゅうたん」そのもので、特筆すべきは、どんなに乱暴な運転をしても「魔法のじゅうたん」のままなこと。
世の中には乗り心地の良い高級車はたくさんあるものの、やはり乱暴に扱うとラフな乗り心地となったり予想外の挙動を示すことになり(これが普通でもある)、しかしロールスロイス・カリナンの場合は「どうやっても崩れない」という印象で、ここが「普通ではない」とぼくが感じたところ。
価格は3894万円と高価ですが、ある意味では価格の近いランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ・スパイダー、フェラーリ488GTBスパイダーを購入するよりも「幸せになれる」可能性があり、複数台のスーパーカーを保有している人にとってもスーパーカーの増車ではなく「ちょっと今回はカリナン買ってみるか・・・」と思わせるに十分な存在だと考えています。