新興自動車メーカーにとっては参入障壁が著しく下がることに
フォルクスワーゲンが、先日よりティーザー画像を公開していた「IDバギー・コンセプト」を発表。
これはかつてビートルをベースに改造され、人気を博した「ビーチバギー」の現代版とも言えるもので、「I.D.」と名がつく通り「ピュアエレクトリック」カー。
このIDバギー・コンセプトはオフロード走行用にデザインされ、よって18インチホイールにはBFグッドリッチ製のオールテレーンT/Aタイヤが装着されています。
このプラットフォーム「MEB」は自由にボディの上半分を変更できる
I.D.バギーの最低地上高は思ったほど高くはありませんが、これはプラットフォームがEV用の「MEB」で、フロアにバッテリーを敷き詰めていることがその理由かも(それでも最低地上高24センチを確保している、とのこと)。
なお、面白いのは、今回フォルクスワーゲンが「I.D.シリーズのプラットフォームを、どこであろうが他社に供給する用意がある」とアナウンスしたこと。
I.D.のプラットフォームはこんな風になっていて、構造的には「プラットフォームさえ手に入れば」あとは第三者が「上モノを自由に」載せることができるようになり、好き勝手なクルマを作ることができるように(スロットレーシングカーやラジコンカー、プラモデルの”シャシーとボディ”の関係のような感じ)。
これが通常のモノコックボディを採用するガソリン車のように「ボディ(上モノ)もサスペンション入力など外部の応力を受ける」構造を持っていればこの方法は使えないわけですが、まさにEV時代ならではの新しい試みだと言えそう。
そして今回のIDバギーコンセプトについては、発売を前提としたクルマのプレビューを行ったというよりも、「このMEBプラットフォームを使用すれば、こんなクルマも作れる」とサードパーティーに示すためのものなのかもしれませんね。
つまるところ、お金があれば誰でもフォルクスワーゲンからこのMEBを購入して「自動車メーカーを始めることができる」ということになるのかもしれません(基本の車体部分はVWなので、メーカーとしてはVWでの登録になるのかも)。
今回発表されたIDバギーコンセプトについて、62kWhリチウムイオンバッテリーを搭載し、リアに取り付けられたモーター(201馬力)を駆動。
これによって0-100キロ加速は7.2秒をマークするとされていますが、VWは以前に「モーターの数」「バッテリー容量」を容易に変更できるとしており、このプラットフォームを購入する会社も自由にそれを指定できそうです。
なお、フォルクスワーゲンが今回この決断を行ったのは「MEBプラットフォームの数をできるだけ多く販売し、コストを下げたいから」。
同時にこのプラットフォームが普及すれば、パーツの規格などについてもフォルクスワーゲンは「覇権」を握ることが可能となり、それも視野に入れているのでしょうね。