| ポルシェはスポーツ性能と環境性能の両立のため、涙ぐましい努力をしている |
さて、今日ポルシェ718ケイマンに給油してふと気づいたこと。
それは「燃費が伸びている」ということですが、具体的な数字だと直近での燃費がリッターあたり13.3キロ。
ぼくはいつも「満タン法」による計測で、おおよそガソリンタンクがカラに近くなった状態で給油するようにしています。
ちなみにオンボードコンピューターによる燃費表示はリッター12.8キロなので、さほど現実との誤差はないと考えてよいのかもしれません。
現在、ポルシェ718ケイマンの平均燃費はリッター11.68キロ
なお、購入してから現在に至るまで、ポルシェ718ケイマンの平均燃費(通算)はリッター11.68キロ。
正直「もうちょっと伸びて欲しい」とは思いますが、300馬力を発生するスポーツカーにしては悪くない、とも考えています。
718ケイマンは購入時から燃費がほぼ変わらず、ここへきてちょっと燃費が良くなってきている傾向が見られ、しかしその理由は不明。※走行環境、条件は変わっていない
「エンジンが慣れてきた」という見方もできますが、現代の工作精度だとそれは考えにくく、むしろ「慣れ=摩耗」が進んでいるのもまた問題(よってこれは”ない”)。
気温に関してだと、低いほうが燃焼効率が良いはずで、暖かくなってきた今のほうが燃費がいいというのもちょっと不思議。
考えられるのはヒーターを使用しなくなった(ヒーター使用時でもA/Cは常にOFFにしていた)ことくらいで、これが意外と大きく影響していたのかもしれません。
このあたりは、夏場になって冷房を入れるようになると答えが出そうですね。
ちなみに、記録が残る範囲にて、これまで所有してきたクルマの平均燃費は下記の通り。
以前に乗っていた981ボクスターよりも(718ケイマンの)燃費はよく、アウディTTにはちょっと劣る、というところです。
アウディTT(8S)・・・12.55km/L(230馬力/2リッターターボ/4WD/6AT) ランボルギーニ・ウラカン・・・6.29km/L(610馬力/5.2リッター/4WD/7AT) ランボルギーニ・ガヤルド・・・6.14km/L(560馬力/5.2リッター/4WD/6AT) ポルシェ・ボクスター(981)・・・11.16km/L(265馬力/2.7リッター/MR/7AT) アウディTT(8J)・・・13.56km/L(211馬力/2リッター/FF/6AT) ミニクーパーS(R56)・・・14.95km/L(175馬力/1.6リッターターボ/FF/6MT) レンジローバー・イヴォーク・・・9.34km/L(240馬力/2リッターターボ/4WD/6AT) フォルクスワーゲン・シロッコ・・・15.48km/L(140馬力/1.4リッターターボ+スーパーチャージャー/FF/7AT) |
なお、現在ポルシェはフォルクスワーゲングループに属し、つまりアウディとも同じ資本。
よって多くを共有することになりますが、エンジン制御については大きく差があります。
たとえば、ボクの乗ってきたアウディTT、ポルシェ718ケイマンともに「2リッター4気筒ターボ(エンジン型式は違う。これらに設計上の共通点は無い)」、トランスミッションはデュアルクラッチ。
アウディの燃費向上施策は「コースティング」
そしてアウディが採用する(制御面での)燃費向上策は主に「コースティング」。
たとえば走行中にアクセルを抜くと、クラッチが切り離されて「空走(コースティング)」状態に入り、エンジンへのガソリン噴射を最小限にしながら走行できるわけですね。
ただ、これの弊害としては、再加速に時間がかかるということ。
コースティング状態から、何らかの理由で加速しようとアクセルを踏むと、そこから「クラッチが繋がる→エンジン回転数が上がる→ターボが効く→ようやく加速」。
この間は数秒かもしれませんが、実際に運転していると「あれれ」と思うことがあります。
ポルシェの燃費向上施策も「コースティング」だが制御は違う
そしてポルシェ718ケイマンに採用される燃費向上施策についてもやはり「コースティング」ですが、この制御はちょっと概念が異なります。
ポルシェ718ケイマンの場合は「アクセルオフ」でもクラッチは切れず、しかもエンジン回転数も下がらず。
この理由は明白で、「こうしていないと再加速できないから」。
自然吸気エンジンを積むポルシェだと、アクセルオフでガクンと回転数が落ちるものの、ターボエンジン搭載のポルシェでは回転数が落ちず、このあたりはNAから乗り換えると驚くところです。
718ケイマンは「ダウンサイジングターボ」を積んでいて、加給がかかっていない状況だと(排気量が小さいので)トルクがスカスカ。
よって回転数を下げる=加給しないという状態を作ると、上述のアウディTTのように、加速しようとアクセルを踏んでも「あれれ」となり、”ポルシェ”と名がつくからにはそういった事態は許容できず、これを回避するために「アクセルオフでも回転数を落とさない」のでしょうね。
そういった制御もあって、718ケイマンは再加速においても「ほぼ」ターボラグのない加速を見せてくれますが、そうなるとエンジン回転数を上げておくためにガソリンを噴射し続けるので、燃費が悪化してしまうことに。
そこでポルシェが採用したのが「クルマが停止しようとしているとき、停車する直前にエンジンを停止させる」。
各種センサーが「このクルマは今、停止しようとしている」と判断すると、まだ走行している状態でも「スコン」とエンジンが止まり、停止までのわずか数秒間であってもアイドリングストップを早く作動させ、ガソリンを噴射する時間を短くしようというわけですね。
これについて、その制御を知らないと、走行中にエンジンが止まるので、「え?ちょっと待ってオイオイオイオイ」となってしまうのですが、それくらい(停止前の)早い段階でエンジンがストップする、ということになります。
「この数秒間は必要なのか」と考えることもありますが、ポルシェのモットーは「燃費性能の向上が伴わない出力向上はやらない」。
また現代の環境規制にマッチさせるためには、ここまでしないといけない、ということなのかもしれません。