| マツダは昔から「時代の先駆者」であったようだ |
コンセプトアーティスト、Yi Dong氏が「マツダ・ヴィジョン・コスモ」を公開。
言うまでもなく1967年に発売された「コスモスポーツ」のリバイバルですが、当時あまりに未来的であったコスモ同様、このヴィジョン・コスモもまたマツダの未来を具現化しているようです。
初代コスモは「コスモスポーツ」として1967年に発売され、これは量産車初のロータリーエンジン搭載車であるのはあまりに有名。
10A型2ローターエンジン(491cc x 2)を搭載した2シータークーペで、エンジンはフロント、駆動輪はリア。
ほぼ継ぎ目のない美しいボディデザインが特徴であり(デザイナーは小林平次)、ロータリーエンジンはじめ様々なこだわりがが盛り込まれたため、当時のスカイラインに比較して1.5倍くらいの価格を持っていたようですね。
顧客第一号は松下幸之助、そしてその未来的なフォルムからウルトラマン、エヴェンゲリヲンに登場したことでも知られ、総生産台数は1,176台だとされています。
2代目コスモはマイルドに
そして2代目コスモは「コスモAP」として登場しており、これはオイルショック後に登場した初のマツダ車。
「AP」とは「Anti Polution」つまり低公害ということをアピールしたクルマでもあり(クルマの名前としてはあまり適さないようにも思える)、初代コスモスポーツのスポーツ性が影を潜め、GTカー的な性格が与えられています。
エンジンは13B(135馬力)と12A(125馬力)、そして通常のガソリンエンジンも用意。
通常のガソリンエンジン搭載と聞くと「え?コスモにロータリー?」となるものの、このエンジンは「3元触媒を使用した初のキャブレーター仕様エンジン」だったとされ、ここでもマツダは”先を行っていた”ということですね。
デザイナーは前田又三郎ですが、この人は現マツダのチーフデザイナー、前田育男氏の父でもあります。
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3代目コスモもまた「時代の先」を行っていた
3代目コスモは1981年に登場し、ハードトップとセダンがラインアップされ、ハードトップはリトラクタブルヘッドライトを備える斬新なルックスで登場。
通常のガソリンエンジン(レシプロエンジン)が先行発売され、ついでロータリーエンジン(12A)が追加されています。
デジタル式メーター、当時世界トップクラスのcd値(0.32)等数々のトピックを持っており、これもまた「コスモらしい」一台ですね。
4代目コスモは過去に例を見ない「バブル車」
そして今のところ「最後のコスモ」が4代目となるユーノスコスモ。
バブルまっさかりの1990年に「史上最高のロータリーエンジン搭載車」として誕生し、名実ともにマツダのフラッグシップに君臨することに。
エンジンは13B(2ローター)と20B(3ローターターボ)で、20Bはフル加速時に「ジェット機と同じサウンドが出る」とも当時の評論家が述べていたように思います。
世界初のカーナビゲーションシステムを用意し(20Bには標準装備、13Bにはオプションで80万円くらいだったような気がする)、トップレンジの新車価格は532万円(当時、ロードスターは168万円くらいだった)。
もちろん内外装、とくに内装はその価格を正当化するための豪華装備がふんだんに盛り込まれ、ぼくとしては「ソアラと並ぶ、国産車最高のインテリアを持つクルマ」だと認識しています。
ただ、バブル期にはスバルも「アルシオーネSVX(1991)」を発売しており、こちらの価格は400万円(当時のレガシィは140万円代からのスタート)だったので、当時は各メーカーとも異様な勢いがあったのかもしれません。
ちなみにユーノスコスモの燃費はリッター3キロくらいで、ブガッティ・ヴェイロンとドッコイであったようです。
「ヴィジョン・コスモ」はこんなクルマ
そして今回のヴィジョン・コスモ。
これまでのコスモが色々な意味で「業界の先端を行っていた」ように、やはり最新モデルもマツダの威信をかけたクルマであるように見えます。
ヴィジョン・コスモをデザインしたYi Dong氏はまず初代コスモスポーツのデザインを分析したようですが、このヴィジョン・コスモはコスモスポーツの直接の後継ということになりそうですね。
そしてこちらが完成した「ヴィジョン・コスモ」。
たしかにコスモスポーツの特徴でもあった、水平ラインを持つリアのタイヤハウス、バブル形状のキャビン、特徴的なCピラーがしっかり再現。
少しわかりにくいものの、テールランプも「上下二分割」されているようですね。
こちらはインテリア。
やはりコスモらしい豪華さを持っているようです。
VIA:Yi Dong