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トヨタの株主は豊田章男社長に不満?同氏の「急激な電動化に待った」発言に対し「豊田章男は、世界で何が起きているのかわかっていない」

2021/05/14

| 豊田章男社長の「急激な電動化に待った」発言は、トヨタ自動車単体ではなく、日本の自動車産業全体を考えてのものだと捉えるのが正しい |

さて、ロイターによると、トヨタの株主が「トヨタが電気自動車に対して出遅れている」ことについて不満を漏らしている、とのこと。

正確に言うならば豊田章男氏の姿勢について非難しているようで、同氏がかねてより言う「ガソリンエンジンのファン」「電動化を急ぎすぎるのは危険」というスタンスに大きな懸念を示しているようです。

トヨタイムズ
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豊田章男氏の発言の意図を正確に汲み取るのは難しい

なお、豊田章男氏の発言については、その一部だけを切り取られて報道されることが多く、よってその「前後」がわからないために真意のわかりにくい、というのもまた事実。

「ガソリンエンジン大好き」については、自身のクルマへの愛を直接的に語ったものとして好意的に受け止められることが多いように思いますが、「電動化を急ぎすぎるのは危険」という発言に対しては真意が正しく伝わっていないことも多く、ここで重要なのは「どの立場にて発言しているのか」。

この発言については、実際のところトヨタ自動車の代表取締役社長として発言したのではなく、「日本自動車工業会(JAMA)の会長として」発言しており、トヨタ自動車単体のことよりも、協会に属する多くの企業の中には”急速な電動化に対応できず、企業としての強みを失い、存続ができなくなる”という意図にて、協会所属企業を養護する立場にて発言したと考えるのが妥当です(加えて、一部の国でガソリンエンジンが禁止されたとしても、ほか多くの国ではガソリンエンジンが存続し、それらの国向けに部品を作る必要があり、すべての会社が電動化への対応を迫られるべきではない)。

そうなると、この発言の真意というのも自ずと捉え方が変わるということになり、「より大きな」視野にて、個人の好みやトヨタ自動車単独ではなく、日本の自動車産業全体の存続を考えての言葉であったと考えるのが妥当なのかもしれません。

こういった「立場による発言の意味の相違」について、周囲が容易に理解できるものではなく、このあたり「複数の立場を持つ人」にとっての難しさなのでしょうね(だからこそ、豊田章男社長はモータースポーツ参戦時には”モリゾウ”という別のパーソナリティを用いているのだとは思われるが、それだけでは足りないようだ)。

しかし投資家の反応はやや厳しい

そして実際のところ、海外の投資家はこういった「立場の違いから来る発言の意図」についてまでの理解は難しく(このような立場の使い分けは、日本特有のものなのかもしれない)、単に字面だけを捉えて「トヨタは電動化に消極的」だと捉える向きが多い模様(それはそれで仕方のないことではある)。

それら海外投資家の中には「豊田章男は、世界で何が起きているのかを理解していない」と厳しい指摘を行なうものも見られ、豊田章男社長は「誤解を受けやすい立場」にあり、その微妙なポジション、そして発言の真の意図がなかなか理解されにくいのだと思われます。

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参照:Reuters

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