| ランボルギーニがル・マンに参戦することになれば、レースが大いに盛り上がることになりそうだ |
しかしランボルギーニは「自社によるモータースポーツ活動を行わない」はずでは?
さて、ランボルギーニのモータースポーツ部門、スクアドラコルセが2024年に、LMDh規定に沿ったマシンを使用し、IMSAに参戦するとの報道(まだ正式発表はない。9月にも公表される可能性があると言われている)。
そしてこれが実現すれば、同じマシンを使用して出場できるルマン24時間レース”ハイパーカークラス(LMH)”への参戦も期待でき、ハイパーカークラスががぜん盛り上がることになりそうです。
LMDhとはなんぞや
そこでこのLMDhですが、これはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の最高峰クラスで採用されているDPiの発展形規則で、参戦するチームは特定コンストラクターによるLMP2ベースのシャシー(マルチマチック、ダラーラ、リジェ、オレカ)を選択し、そこへボッシュ製の67HPを発生するエレクトリックモーター、そしてウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングが提供するハイブリッドシステム(リアアクスルに取り付け)を搭載する必要があります。
エンジンは自社で開発可能ではあるものの、車輌の開発コストについては制限があり(これが参入障壁を下げている)、その他発表されている規定は下記の通り。
LMDhカテゴリーの車輌規定
- ダウンフォース:ドラッグの比率は4対1
- 全長5100ミリ、全幅2000ミリ以下
- ホイールベースは共通で3150ミリ
- フロアは変更不要
- ボディ形状は変更可能
- 車体重量は1,030kg
なお、このLMDh規定に従って制作されたレーシングカーはル・マン24時間レースの「ハイパーカークラス」にも参加することが可能で、これによって自動車メーカーはアメリカ(IMSA)、ヨーロッパ(ル・マン)市場において存在感を強めることができ、つまりは「より低いコストで、より大きな宣伝効果を得られる」ということに。
よって、このLMDhとル・マン「ハイパーカークラス」の乗り入れが可能となったことで、一気にこれらへと参加する自動車メーカーが増えているわけですね、
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現在このLMDhカテゴリについては、アキュラ、アウディ、BMW、ポルシェ、キャデラックの参加が公式に表明もしくは参加が報じられており、そのうちのいくつかはル・マンへと参戦する見込み。
ただしLMDh規定が導入されるのは2023年からだとされているので、実際にレースが盛り上がるのは2023年以降ということになりそうです。
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ランボルギーニは「自社でのモータースポーツ活動を行わない」
なお、今回LMDh規定にてIMSAへと参加することになったとしても、ランボルギーニのシニア・モータースポーツ・マネージャーであるクリス・ウォード氏によると「ポルシェや他メーカーのように、メーカー(ランボルギーニ)としての参加は行わない」。
つまりはメーカーの「ワークス」ではなく「プライベーター」チームへとエンジンを供給するということになりそうですが、これについてはいくつか現実的なプランがあるようで、SRO AmericasもしくはK-PAX Racingを「カスタマー」として参戦する可能性が高い、とも。
参考までに、使用するシャシーは「マルチマチック」になるとも言われていますが、「ダラーラ」でないのはちょっと意外。
ちなみにダラーラは1972年にジャンパオロ・ダラーラによって創業されており、このジャンパオロ・ダラーラはランボルギーニにてミウラの開発にかかわった主要メンバーの一人(フェラーリ、マセラティで経験を積んだ後、ランボルギーニにスカウトされている)。
ただし本人はロードカーよりもレーシングカーに対して強い興味を持ち、そこで「モータースポーツ活動を禁止している」ランボルギーニを去って自身のレーシングカーコンストラクター「ダラーラ・アウトモビリ」を設立しています(近年になり、初の市販車を発表した)。
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そしてランボルギーニはジャンパオロ・ダラーラの独立後も有効な関係を結んでおり(現在でも、ランボルギーニ公式サイトに「キーパーソン」としての記述がある)、実際にウラカンのレーシングバージョン、「ウラカン・スーパートロフェオ」はダラーラとの共同開発。
ちなみにこのウラカン・スーパートロフェオは、ウラカン発表とほぼ同時に公開されているので、ウラカンの設計にもダラーラが関与していると考えるのが自然かもしれません。
そして、そういったダラーラがLMDhのシャシー供給元として存在するにもかかわらず、マルチマチックを選ぶというのがちょっと「意外」だということです。
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ランボルギーニはなぜ自社でモータースポーツ活動を行わないのか
なお、上述の通りランボルギーニは自社でモータースポーツ活動を行わないというのがその「主義主張」。
これはランボルギーニ創業者であるフェルッチォ・ランボルギーニが決定したことで、その理由としては「モータースポーツをバックボーンとするフェラーリとの差別化を考え、ロードカーに特化する」ためだというのがよく知られるところ。
しかしながら、ランボルギーニが雇い入れた元フェラーリのエンジニア(”宮廷の反逆”にて追い出された)、ジオット・ビッザリーニがフェルッチォ・ランボルギーニに対し、「モータースポーツが企業をいかに疲弊させるか、そしてフェラーリがどうなったか」を説いたため、フェルッチォ・ランボルギーニが”リソースを消費する”モータースポーツ活動を行わないと決定したという説もあるようです。※フェルッチォ・ランボルギーニは、スーパーカーの製造販売を、自身の趣味趣向からではなく、ビジネスとして行っていた
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参照:RACER