
| さすがにこれはポルシェとしては軽率なプロモーションだったかもしれない |
なお、「ピンク」は中国では男女問わず人気があり、購入比率は男女半々
さて、Globeによると、ドイツ本国ではポルシェが女性客にいまひとつ売れていない、とのこと。
ご存知のとおり、現在のポルシェの販売は全体的に見て非常に好調ではあるものの、ドイツのシュピーゲル誌が行った調査では「ポルシェに対して肯定的な人はほぼ男性のみ」という調査結果が出ていると紹介されています。
これにはいくつかの要因があるそうで、まず背景としてあるのは「男女間の賃金格差」。
ドイツの女性に対する考え方は旧時代的?
Globeによれば、「ドイツの男女平等指数は153カ国のうちで11位」とのことですが、今でも男女間の賃金格差があるといい、ドイツには「女性は仕事よりも家事に専念すべき」「女性は物欲を持つべきではない」「女性は他人に尽くすべき」というステレオタイプな考え方があるとされ、同じ仕事内容であっても「女性の方が賃金が安い」傾向がある模様。
ただ、別のメディアで目にした記事によると、「ドイツでは独立した女性が男性に好まれており、そのため自力で(まだ)お金を稼ぐだけの経験がない若い女性は男性に人気がなく、しっかりとした経済性を身に着けた大人の女性が好まれ、よってほかの多くの国のように”若い女性がもてはやされる”傾向はない」と断じていましたが、このあたりはコラムニストの性別や置かれた環境に左右されるのかもしれません。

話をGlobeの記事に戻すと、ドイツでは女性がお金を稼ぎにくい環境にあり、実際にポルシェで「初」の女性役員が誕生したのは今年6月の話で、さらにポルシェにおける女性従業員は全体の16%にとどまり、これは(ポルシェが女性の活用を推進しているにもかかわらず)2013年の13%からわずか3%増えたのみ。
そしてもちろんポルシェはドイツにおいても高価なので、ポルシェを購入するのは裕福な男性という図式が成り立っているものと見え、女性がポルシェに乗っていると「愛人に買ってもらった」という見方をなされることがほとんどだといい、つまりドイツにて女性のポルシェオーナーが少ないのは「女性が経済的に成功できるチャンスが少ない」「成功したとしても、イメージの問題でポルシェに手を出せない」からということになりそうです。
そしてこの「イメージ」については意外と影響が大きいのかもしれず、それは日本における「プリウス」「アルファード」の例を考えてみるとわかりやすいのかもしれません。
ポルシェ自身のそのイメージを懸念
そしてポルシェ自身もこのイメージを十分理解しているようで、実際にポルシェのマーケティング・チーフであるRobert Ader氏は、シュピーゲル誌に対し「女性がポルシェに乗っていると愛人に買ってもらったと思われる傾向があり、よって成功した女性でもポルシェの購入を躊躇する」傾向があることについて言及(ポルシェ自身がそう言うということは、けっこう一般的な風潮なのかもしれない)。
そのためドイツではポルシェの顧客における女性比率はわずか13%にとどまるといい、アメリカの25%、中国の50%に比較するとかなり少ない数字となっているようですね。
そしてポルシェはこういった現状を打破すべく「女性に買ってもらえるよう」イメージを変えてゆくためのマーケティングを開始し、そこで例の「フローズンベリーメタリック」を新色として導入することになったわけですが、ポルシェがこれについて「女性を意識した」とコメントしたためにSNS上で(女性=ピンクという短絡的な発想に対し)炎上してしまったといい、こういったところを見ても、まだまだポルシェ上層部には女性に対するなんらかの偏見が根強く残っているのかもしれません。
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それでももちろんポルシェは今後も女性を取り込むことに対して積極的に活動してゆくことになり、そのために「内装の選択肢の拡充」などオシャレさを押し出してゆくといい、ハイブランドの「バルマン」のクリエイティブディレクターに助言をあおぐなど徐々に変わりつつあるようですね。
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参照:Globe