| キャデラックは他社が難しいとする完全自動運転を目指すようだ |
最終的な目標は「衝突ゼロ、排出ゼロ、渋滞ゼロ」の世界
さて、キャデラックがラスベガスにて開催中の家電見本市、CESにてコンセプトカー「インナースペース」を発表。
なお、一般に新型車やコンセプトカーの発表はデトロイトやニューヨーク、ジュネーブ、フランクフルトなどのモーターショーにて発表されることが多く、しかしCESでは「家電関係のショー」ということもあり、エレクトロニクスに特化したコンセプトカー、またそれに搭載される技術が発表されるという例が多くなっています。
インナースペースは「自立運転」を実現したラグジュアリーカー
そして今回発表されたキャデラック・インナースペースにつき、キャデラックいわく「ドラマチックな2人乗りの電動・自律走行ラグジュアリーカー 」。
同様のコンセプトは「自動運転が話題になり始めた」4年ほど前に各自動車メーカーの間でもてはやされ、「自動運転のクルマに乗って、リッチなカップルが悠々と旅行する」ためのクルマが多数登場しています。
ただ、「自動運転の実現が難しい」とわかった昨年あたりから急速にこういったコンセプトカーが少なくなり、しかしキャデラックはあえてそこに再挑戦した、ということになりそうですね。
モーターショーではなくCESにて発表を行ったというこことを鑑みるに、キャデラックもこのクルマそのものの実現を目指しているわけではなく、あくまでもこのインナースペースに装備されるデバイスやデザイン、考え方が「今後のキャデラックに対し、部分的に反映されている」ということを示したいだけなのかもしれません。
実際のところ、キャデラックはインナースペースに関し、「クルマとしての機能」についての説明を多く行わず、あくまでも「キャデラックの未来」を見せるにとどまっているもよう。
なお、タイヤには石油系オイルの代わりに大豆油と籾殻由来のシリカを主成分とするグッドイヤー社製の専用品が装着され、このタイヤは、サウンドコンフォートテクノロジーに加え、"空気圧、温度、荷重、その他の性能に関する重要な情報を伝える "SightLineテックも搭載しています。
画像を見ると、乗降時には、ドアに加えてルーフ(パノラミックグラス)も開閉し、乗降を容易にしているようですね。
乗降時にはシートも回転し、さらにイージーなアクセスを可能としています。
キャデラック・インナースペースのインテリアはこうなっている
そしてこのキャデラック・インナースペース最大の特徴はこの巨大な、外からも視認可能なスクリーン。
これは「拡張現実のエンゲージメント、エンターテインメント、ウェルネス・リカバリーのテーマ」を提供する「没入型パノラマSMD LEDディスプレイ」だと紹介されています。
シートはたっぷりとスペースをとったラウンジスタイルで、GMの開発したウルティウム・プラットフォームのワイヤレス・バッテリー・マネジメント・システムによってバッテリーモジュールを車両全体に分散させることが可能となり、これによって流麗なスタイリングと "スポーツカーのような極端に低い着座位置 "をも可能にした、とのこと。
座るとこう。
ステアリングホイールがなく、完全に「自分で運転しない」自立型自動運転を備えます。
ダッシュボードが開くとスリッパ、毛布などが登場。
見たところかなり大きな車体を持つものの、シートは「2つのみ」となっていて、車体後部にはこんな感じで「ラゲッジスペース」。
まさに贅沢極まりないクルマだといえそうです。
GMのグローバル・アドバンスド・デザインおよびグローバル・アーキテクチャ・スタジオ担当エグゼクティブ・ディレクター、ブライアン・ネスビット氏によると、「このインナースペース・コンセプトは、"衝突ゼロ、排出ゼロ、渋滞ゼロの世界を目指し、ゼネラルモーターズが持つ自律駆動技術への包括的アプローチによって実現を可能とする、次の10年とその先のヴィジョン "」であると述べ、「電動化と自律走行は、自動車の役割と顧客が自動車とする体験を根本的に変えるだろう」とも。
つまりキャデラックが進むのは「この方向」ということになりますが、高級車ブランドであるキャデラックらしいアプローチだとも言えますね。
キャデラック「インナースペースコンセプト」を紹介する動画はこちら
参照:Roadshow