| 親切とは、したくてするものであり、強要されるたぐいのものではないと思う |
さすがにこの場合は支払いを拒否せざるを得ない
さて、米国のスターバックスのドライブスルーにて、自身は6ドル(670円くらい)の商品しか注文していないのに、会計時に46ドル(5100円くらい)を請求されたという話がちょっとしたニュースに。
いったいなぜこんなことが起きたのかというと、アメリカでときどきある「ペイ・イット・フォワード」なる仕組みのためで、これはレジなどに並んでいる場合、「自分が後ろの人の分まで料金を支払う」というシステムに起因するから。※映画「ペイ・フォワード 可能の王国」みたいな考え方
そして、この「親切」は誰かがはじめると、その後も「バトン」として受け継がれてゆくことになり、このドライバーは「バトン」を前の人から渡され、会計の際に「後ろの人の分を支払うよう」レジの人から伝えられたということになります。
自分の分はすでに前の人が払っていてくれたが
報道によると、すでに自分のぶん(6ドル)は前のクルマに乗った人が支払ってくれており、よって自分は後ろのクルマの注文分を支払うのが「この親切のバトン」の流儀であるわけですが、もちろんこれは強制でも強要でもなく、よってこのドライバーに支払の「義務」はありません。
そしてこのドライバーは「23台続いた親切のバトン」が自身で途切れることにちょっぴり罪悪感を感じつつ、しかし自分が注文した8倍近い価格を支払うことに納得できず、この支払を拒否した、と報じられています。
ちなみに「自分のぶん」は前の人が払ってくれているので、このドライバーははからずも「タダ」で商品をゲットしてしまったということになりますが(たしかに罪悪感は感じそう)、こういった親切の強要には応じる必要はなく、ドライバーの心境も痛いほどよくわかります。
加えて、報道によると、こういったペイ・イット・フォワードはコロナ禍となったのちに大きく注目されているといい、その理由としては不明ではあるものの、アメリカ人特有の「助け合い」精神が影響しているのかもしれません。
同報道では、3日間にわたり900人もの客が「親切のバトン」をつないだ例もあるといいますが、この善意を逆手に取って「必要以上の注文をする」場合も無いとは言えず(逆に自分がそういった人の支払をせねばならない場合もある)、なんとも難しい問題だとは思います。
アメリカ人は相互扶助の精神が強い
なお、様々な社会実験を見ていると、アメリカ人は特に他人の力になりたい、他人を助けたいという意識が高いように思われ、たとえば道で倒れている人を見かけた場合、多くのアメリカ人はそれを助けようとするそうですが、またある国では「ほとんどが見て見ぬ振り」。
ただ、この「知らんぷり」についても、見知らぬ人に声をかけるのが大変な失礼にあたるということや、けが人や病人を装った強盗も少なくないという理由があり、一概に見て見ぬ振りをする人を責めることはできないのかも。
参考までに、(建築家の)アントニオ・ガウディは道端で倒れ、しかし着ている服があまりに質素だったので誰からも声をかけられずにそのまま死亡してしまったとも言われますが、もしアントニオ・ガウディが倒れたのがアメリカだったならば、また違った結果になっていたのかもしれません。
たしかに、アメリカへゆくと、あまりに親切な人が多くて「なんかウラがあるんじゃないか・・・」と勘ぐってしまうこともあり、しかしそのほとんどにはウラがなく、単に彼ら/彼女らは人に親切にしたいだけであり、下心を疑ってしまった自分を恥じたりすることも。
さらに言うと、アメリカ人は「チャリティオークション」に対しても非常に熱心で、お金を持っている人はこういったオークションを通じ、自身が得たお金を社会に還元しようと考える人がたくさんいる、とも報じられています。
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参考シボレー・コルベット「最後のC7」そして最後のFRが約3億円で落札される。スープラの2.7億円といい、なぜアメリカ人は「高額で落札」するのか?
| クルマが欲しいというだけではなく、社会的に貢献したいという意識の高さもあるようだ | シボレー・コルベットは新型(C8)ではミドシップへとスイッチすることになりますが、現行(C7)コルベットは当初 ...
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参照:Frontrow