| 予定だとアバルトは2024年には「エレクトリックのみ」のブランドに |
今のバッテリー技術では、エレクトリック化とコンパクトカー、とくにホットハッチとは相性が悪い
さて、他の自動車メーカーの例に漏れることなくフィアットも電動化の道を進むことになりそうですが、実際のところ2020年にはフルエレクトリック版のフィアット500が発売済み。
となるとやはり気になるのがフィアット500のハードコア版「アバルト595/695」で、しかし今回、フィアットとアバルトのCEOを務めるオリバー・フランソワ氏がじきじきに「エレクトリック版のアバルト595/695の開発は順調に進んでおり、2023年の後半には発表されることになるだろうとコメントしています。
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アバルト595/695のエレクトリックバージョンは「けっこう難しかった」
なお、このアバルト595/695のエレクトリックバージョンにつき、2020年にフィアット500EVが発表された時点でその存在に触れられたものの、2023年後半にならないと発表されないのは「開発に時間がかかった」ため。
フィアットいわくアバルト595/696のEV版開発に対し”積極的に取り組んでいる”にもかかわらず、当初考えていたよりも”複雑”になってしまったとコメント。
当初はフィアット500EVと同じ電動パワートレインの仕様も考えたものの、「本当のアバルトらしさを達成するには、フィアット500と同じエレクトリックパワートレインでは実現できない」という判断に至り、目標とするパワーとトルクの数値を考慮すると、駆動系やブレーキなど「根本的に全て」を作り直す必要があり、そのためにここまでの長い時間を要しているのだそう。
ただし現在はその高いハードルをなんとかクリア、もしくはクリアする目処が立ったということになり、予定通り2023年後半に発表された後、2024年には実際に発売されることになりそうです(ステランティスが発表したロードマップだと、2024年にはフィアット/アバルトがエレクトリックブランドになることが示唆されている)。
つまり2024年には現在のガソリンエンジン搭載モデルの販売が終了しラインアップはすべてEVへと切り替わるということになりそうですが、アバルトのラインアップは(オリバー・フランソワCEOによると)常時1~3台になるだろう、とのこと。
アバルトのエレクトリックバージョンには期待できそうだ
現時点ではエレクトリックバージョンのアバルトがどういったモデルになるのかはわかりませんが、スポーティなボディキットや大径ホイールなどの外観上の改良に加え、もちろん出力が向上し、おそらくは現行のガソリンエンジン搭載車よりも「パワフルに」なるうえ、硬められたサスペンションや大容量ブレーキとの組み合わせによって「サーキットを走って楽しいハンドリングマシン」となりそうです(ただしその楽しさと引き換えに、満充電あたりの走行可能距離は短くなるようだ)。
オリバー・フランソワCEOはこのアバルトEVについて、「きっと素晴らしいものになるでしょう。音もとても面白くなりそうです。無音かそうでないかの選択もできるようになります」とコメント。
加えて、アバルトのファンは、今後のモデル開発において重要な役割を果たすとし、ソーシャルメディアを通じて、ファンに働きかけていくとしているので、なんらかのアンケートなどが実施されるのかもしれません。
なお、EV化はコンパクトカーにとってやや「不利」な流れであり、現在のバッテリー価格を考慮すると「ガソリン車よりも割高」になってしまうためで、そうなるとコンパクトカーにおいて最も重要視される要素のひとつ「価格」にて優位性を失うことに(しかしいずれはその価格がガソリン車と逆転すると言われる)。
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加えて、重量もガソリン車に比較して重くなってしまい、そして重くなった重量をカバーするために多くのバッテリーを積むと高価になってしまうという負のスパイラルも待ち受けており、「重くても高価であってもOK」なプレミアムカーやSUVとは異なる側面もあわせもっていて、結局のところ「バッテリー容量を抑えて安価そして軽量(少しでも航続距離を長くするため)につくる」ことになりますが、それでも走行可能距離は「200キロ前後」となってしまい、実用面からはとても許容できないシロモノになったりするわけですね。
さらにホットハッチのように「走り」を標榜すると、一瞬でバッテリーを消耗してしまい、なおのことこちらは「エレクトリック化と相性が悪い」カテゴリだと思います。
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参照:Autocar