| ブガッティは常に独自の発想にてよって新しい時代を築いてきた |
そしてその基本的な思想は今日のブガッティにも息づいている
さて、ブガッティはたびたび「タイプ35」に関するコンテンツを公開していますが、今回もまたタイプ35に関する「秘話」を公開。
このクルマはその美しさ、高度なエンジニアリングを有することで知られていますが、ブガッティによれば「タイプ35 ほどモータースポーツにおいて成功したクルマは他にほとんど例がない」。
エットーレ・ブガッティによる先見性のある設計を持ち、そして完璧さへの飽くなき追求が相まって、グランプリ、ヒルクライム、ラリーにおいて世界的に圧倒的な人気を博し、現役時代には約2,500回、月あたりなんと12回の優勝を果たしています。
ブガッティ タイプ35はモータースポーツ界を席巻する
このブガッティ タイプ35はこの時代最大のロード レース (タルガ フローリオなど))から、フランスのラ・トゥルビーなどのヒルクライム、はたまたフランスのグランプリ・ド・ラ・ボール・ビーチ・レースなどマイナー(あるいは忘れ去られた)レースでも勝利を収めていますが、1924年のリヨン グランプリでデビューしてからわずか2年後の1926年のグランプリ世界選手権で優勝し、さらには1925年から1929年にかけて過酷なタルガフローリオでも活躍し、シチリアの山岳地帯では5回連続での優勝を飾っています。
この主たる要因は時代を超えた先見性によってなされた設計、全体的なコンセプトから細部に至るまですべてが精密に行われた製造など”エンジニアリング面”によるものであることは間違いなく、しかしブガッティは別の要因として「ドライバーにどのような感覚を与えたか」を挙げています。
これは単純にドライバビリティという意味にとどまらず「ドライバーに最高の自信と純粋な生きる喜びを与え、それがドライバーを最も過酷な条件やライバルたちを相手に何度も挑ませ、勝利へと駆り立てた」という情熱面にもあると述べ、これは当時の「常に死と隣りあわせであった」レースにおいて何よりも重要な要素であったのかもしれません。
なお、タイプ35の歴史においてとくに大きな意味を持つのはヒルクライム競技であったとされ、この時代、モータースポーツはまだ初期段階にあり、専用のサーキットはまだ非常に少なかったため、(公道を使用した)ヒルクライムは高い人気を誇り、かつサーキットや長距離ロードレースと同じように高い評価を受けていたと言われます。
ただしこれに勝つにはタイトなカーブを制する機敏なハンドリング、急な坂を駆け上がることができる優れたパワーウェイトレシオと加速力を備える必要があり、つまりはマシンの高い総合能力が求められ、これらを兼ね備えていたのがタイプ35。
当時のレースはなによりも強力なエンジンが必要だとされ、これによって「いかに直線を速く走れるか」がレーシングカー設計におけるもっとも重要なポイントであったとされますが(これこそがエンツォ・フェラーリがエンジンをもっとも重視し、エアロダイナミクスやブレーキ、レイアウトを二の次とした理由でもある)、そんな中においてもブガッティはいちはやく「曲がる」ことを考えていたわけですね。
そして1928年には開催された26のトップクラスの国際レースのうち、ブガッティは11回のグランプリとタルガ フローリオを含む23回のレースで優勝し、タイプ35においてもっとも輝かしい年のひとつとなったのは翌1929年。
ここではモナコ出身のドライバー、ルイ・シロンが(オープンしてからわずか2年後の)ニュルブルクリンクで行われたグランプリ オブ ネイションズで優勝し、ドイツの自動車産業をその地元にて打ち負かすことに。
さらに同年にはモナコグランプリが初開催されますが、ここではウィリアム・グローバー・ウィリアムズがタイプ35Bを駆って「初のモナコグランプリの勝者」に輝いています。
そしてこのブガッティ・タイプ35は数々の勝利を「量産」しただけではなく「レースカーのあり方を再定義」したことでも知られていますが、それは上述のようなマシン全体のバランスやサスペンション、ホイール、重心など、現代につながるレーシングカーの基本的な考え方を取り入れた先駆的存在であったからだといい、つまりブガッティ・タイプ35の「登場前」「登場後」ではレーシングカーに対する思想そのものが大きく変わったと考えることも可能です。
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参照:Bugatti