| トヨタは現地での開発を強化し中国向けの製品を展開することでこの状況打破を狙っている |
さらには現在の拠点を統合しコストを削減する意向
さて、現在自動車メーカー各社とも「中国での販売不振」による深刻なダメージを受けているといった状況ですが、トヨタがそういった様相を「どこ吹く風」と受け流し、中国での生産台数を(2023年に生産した)175万台から、2030年末までには年間300万台へと”ほぼ倍増”させる計画を発表しています。
このほかトヨタは「効率向上のために中国での2つの合弁会社を統合すること」にも言及していますが、これらは他の日本の自動車メーカーが行うのを躊躇している大規模な投資を必要とするもので、現在勢いのあるトヨタにしか取れない戦略なのかもしれません。
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中国にて「中国車のシェア」が60%に達する。このままだと2年後には80%という予測が出され、トヨタやVWは市場を失い続ける可能性。なおBYDは5月単月で16%を占めるまでに
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トヨタは中国の地元ブランドと真っ向勝負
トヨタは中国市場に対する野心を一層強化しており、BYDなどの急成長する地元ブランドに奪われた市場シェアを取り戻すべく「中国国内で年間最大300万台の車両を生産すること」を目指しており、この動きは、トヨタが中国という”世界最大の自動車市場”において、地元ブランドが提供する競争力のある製品に徐々にシェアを奪われている現状に「正面から対抗し、勝利する」ことを意味しています。※これまでの中国生産の”記録”は2022年の184万台で、これに対しても(300万台は)63%増となる
関係者が語ったとされる報道によると、トヨタは一部のサプライヤーにも生産拡大の計画を伝えており、また今後は中国の現地スタッフを中心に車両の開発を進め、中国スタッフによる中国消費者の好みに対する理解を活かす方針を示した、とのこと。
中国市場は「非常に難しい」独特のマーケットに
現在多くの自動車メーカーが中国市場にて(中国の自動車メーカーに対し)遅れを取っている理由のひとつは「価格」、そしてもう一つの大きな理由が「中国の嗜好とマッチしない商品展開」にあり、これは常々言われるとおり「中国市場では独特のデザインや装備が好まれるものの、日米欧の自動車メーカーはそれに対応しておらず(できず)、よって”より中国人好みのクルマ”を作る中国の自動車メーカーにシェアを奪われているから。
よって(中国への依存度が高い)アウディやフォルクスワーゲンは中国の自動車メーカーとの協業により「より中国人に好かれる」クルマを作ろうとしていて、つまりトヨタもこれに倣うということになりそうですね。
さらトヨタは中国の2つの合弁会社の統合を計画しており、将来的には一つの拠点で車両を生産しつつ、異なる販売ネットワークでそれらを販売するという、より統一されたアプローチを採る予定であるとも報じられていますが、これらは現在取りうる「極めて妥当な」対策でもあり、しかしトヨタの場合は「現状維持」「失ったシェアの奪還」のみではなく、さらにその上を目指すもので、かなりアグレッシブな計画だと言えそうです。
なお、上述のとおり、トヨタの苦境は中国市場における他の従来型自動車メーカーにも共通していて、トヨタのように「対抗」する例もあれば、ホンダや日産のように(回復は難しいとして)生産能力を縮小したり、かつ三菱のように市場から撤退する例も。
よってトヨタの反撃が奏功するのかどうは他の自動車メーカーにとっても「注目の的」だと思われ、しかしトヨタが失敗したとなれば、もうほかのどの海外の自動車メーカーも中国市場を攻略することはできないのかもしれません。
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