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方針を変更したロータスが「エミーラのハイブリッド化と延命」について言及。「今の時代は何ごとにも柔軟に対応することが原則です」

ロータス・エミーラ

Image:Lotus

| 近年の「EV不人気」によって多くの自動車メーカーがその戦略の変更を強いられる |

ロータスは数ヶ月前まで「ラインアップを完全にEVへと入れ替える」予定であったが

さて、早ければ2030年、そうでなくとも2035年には(ガソリンやディーゼルエンジンなど)内燃機関を搭載するクルマの販売が禁止されようとしており、こういった状況の中で多くの自動車メーカーが「内燃機関搭載車の開発を停止し、既存車種を後継モデル(EV)登場までの”つなぎ”として販売するという手法を採用していますが、ロータスも同様で、エミーラは「登場したときから販売終了期間が定められ、(直接の)後継モデルの存在もない」とされていたクルマです。

ロータス・エミーラ
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ただし近年の「EV敬遠」ムードで大きく状況が変わる

しかしながらつい最近ロータスはいくつかの方針変更を加えていて、それは「(ハイブリッドを軸とした)内燃機関の継続販売」。

EVの販売が芳しくないこと、電動化技術の進歩が思ったよりも早くないことから電動化に対する注力を弱め、より人々が求めるであろう、そしてより安価で安定した技術であるハイブリッドを中心に展開を進めてゆくというものですが、これによってロータスが予定していたピュアエレクトリックスポーツ「タイプ135」の発売も実質的に延期となってしまい、さらにはロータスブランド全体での完全電動化の目標についても「2028年までに延期する」と発表しています。

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そこで生じる可能性がある変更が「エミーラの延命」で、今回オートカーがロータス・ヨーロッパCEOダン・バルマー氏の弁として「エミーラのハイブリッドもありうる」という方向性を紹介することに。

ただし同氏はこれについては断言したわけではなく「今の時代では”けして何も断言”できません。これが基本ルールです。というのも市場のニーズや、私たちにとってどんな技術が利用可能かを理解し、柔軟に対応する必要があるからです」と述べており、実際のところ現代の自動車メーカーの経営に求められるのは「確固たる信念」というよりも「状況に応じて都度都度方針を変更できる柔軟さ」であり、よってダン・バルマーCEOも「可能性に言及する」ことしかできないのかもしれません。

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なお、ロータスは今後「プラグインハイブリッド」「レンジエクステンダー」両方において電動化を展開することについても言及していますが、思ったよりもエミーラの電動化が早く実現する可能性もあり、それは「エミーラのエンジンが他社から供給されるもので、すでに電動化されているという例があるから」。

ベースモデルのエミーラに搭載されるのは、メルセデスAMGから供給されたターボチャージド2.0リットルガソリンエンジンですが、メルセデスAMGはこの「M139」4気筒エンジンを、同社の「35」シリーズのコンパクトモデルへとマイルドハイブリッド仕様で搭載しており、プラグインハイブリッド仕様も存在します。

そして上位モデルのエミーラに積まれる(より強力な)スーパーチャージド3.5リットルV6「2GR-FE」はトヨタから供給されており、こちらもすでにトヨタによって電動化され、市販車に積まれているため、いずれの(現行エミーラに積まれる)パワーユニットも電動化が難しくない、というわけですね。

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そしてもしロータスがエミーラをハイブリッド化する決断を下した場合、車両は確実に重量が増すことになり、しかしポジティブに考えれば、少なくともエミーラは長く販売されることになるのは間違いなく、ロータス創業者であるコリン・チャップマンの信念であった「シンプルにして軽さを加えろ」という理念とは正反対の方向に進むことにはなりますが、世界中で排出規制が厳しくなっているため、内燃機関を積むスポーツカーが生き残るためには、ハイブリッド化して規制に適応する以外の道はなく、これは必要な悪と言えるのかもしれません。

もうひとつ、ダン・バルマーCEOは「タイプ134」と呼ばれ、ポルシェ・マカンに対抗するはずだった電動SUVの発売延期の理由について、「市場が何を望んでいるか、そしていつそれを望んでいるのかを教えてくれたからです」と語っており、つまるところ「ほとんどの人がSUVといえどピュアエレクトリックカーを望んでいない」ということもわかります。

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