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【速報】つい1年前までは「好調」であったポルシェとボルボが約7,000人の大規模リストラを発表。背景にある業界の厳しい現実とは?

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| ポルシェとボルボが合計約6,900人のリストラを発表 |

「世界が変わり、厳しい嵐に直面」

欧州の自動車業界は現在、厳しい経済環境の中で大きな変革を迫られていることがたびたび報じられていますが、直近ではポルシェとボルボが世界規模で合計約6,900人の人員削減を計画していると発表。

これは、両社が今後の競争力を維持するための重要な再編成の一環であり、これから迎えるであろう「厳しい状況」を予感させます。

ポルシェ:EV普及の遅れが戦略変更を後押し

ポルシェは電動化の「移行期間が予想より長引いている」ことを理由に、電気自動車(EV)へのシフトを一部見直し、内燃機関(ICE)搭載車やプラグインハイブリッド車のラインアップを増やす方針がすでに発表され、これに伴い、バッテリー関連部門の再編成も同時に進められていると報じられています。

そして今回、ポルシェは「大規模なコスト削減・規模縮小プログラム」を開始し、2029年までに約3,900人の人員を削減する予定で、労働組合と「中長期的にポルシェの効率化を図る構造改革」についても協議中だと報じられています。

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ポルシェCEO、オリバー・ブルーメ氏は以下のようにコメントしており、現状を受け入れ、それに対応すべく行動することを示すことにとなっていますが、この数ヶ月の間でも様々な方針の変更が見られるため、ここから暫くの間、「さらなる計画の変更」が見られるのかもしれません。

「世界が変わった。激しい嵐に直面しているが、我々はこの挑戦を受け入れ、計画を持ち、迅速に行動している。」

ボルボ:コスト削減のために3,000人規模のリストラ実施へ

一方、スウェーデンのボルボは「コストと資金繰りの改善策」の一環として、全世界で約3,000人の人員削減を計画中。

特にスウェーデン国内のオフィス勤務者を中心に影響が出る見込みだと報じられ、この数字はグローバルのオフィススタッフの約15%に相当するというので、相当に大きなリストラであると言えそうですね。

なお、この中には約1,000人のコンサルタントと1,200人のスウェーデン社員が含まれており、削減は今年秋に実施予定であること、今回の再編にかかる費用は約15億スウェーデンクローナ(現在の為替レートだと約225億円)だと見込まれています。

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そしてボルボのCEOハーカン・サミュエルソン氏が語ったのは以下の通り。

「今回の決断は苦渋の選択だが、より強靭で持続可能なボルボを築くための重要な一歩です。自動車産業は難しい時期にある。現金収支を改善し、構造的にコストを削減しなければならない。」

ボルボは現在中国の吉利汽車(Geely)傘下にあり、同グループの意向もあって「完全電動ブランド」へとシフトを進めていたものの、ポルシェ同様に「電動化への移行が思ったより進まない(電動化を消費者が受け入れない)」ことを理由とし、内燃機関搭載車の拡充を計画していると報じられていますね。

欧州自動車業界の未来に向けた人員削減の波

昨年、フォルクスワーゲンが2030年までにドイツで35,000人超の削減を発表し、業界全体に波紋を広げたばかりではありますが、今回のポルシェとボルボの動きは、その流れを追う形となり、欧州の自動車メーカーが厳しい環境に対応するために規模の縮小や再編を急いでいることを示しています。

このほかロータスも人員削減を発表しており、おそらくはこれらに続く「リストラ発表」が相次ぐことになるのかもしれません。

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